わかりやすい「高年齢者及び障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)」書き方と注意点 - しゅふJOB

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わかりやすい「高年齢者及び障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)」書き方と注意点

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毎年、6月になると労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届などの書類が届き、人事労務担当者は忙しい時期になりますね。

この記事では、毎年6月1日現在の高齢者及び障害者の常用労働者数を報告する 「高年齢者及び障害者雇用状況報告書(通称:ロクイチ報告)」の書き方や注意点について、ご紹介します。

この報告書が届いた事業主には、報告義務があるのでご注意ください!この記事が報告書作成時の参考になれば幸いです。

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高年齢者及び障害者雇用状況報告書とは?

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」と「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、事業主は6月1日現在の高年齢者や障害者の雇用状況を、本社所在地を管轄するハローワークを経由して厚生労働大臣に報告することが義務づけられています。

報告書類のうち、『高年齢者雇用状況報告書』は高齢者の雇用についての報告書類です。企業の雇用状況を定期的に報告させることによって、高年齢者の安定した雇用確保の促進や、定年退職者、その他の高年齢退職者に対する就業機会の確保するためのものです。

一方、『障害者雇用状況報告書』は、障害者の雇用状況を報告することで、障害者の雇用促進をすすめる目的があります。

◆該当する企業

以下に該当する企業には、厚生労働省(ハローワーク)から報告書用紙が郵送されてきます。

①高年齢者雇用状況報告書は、会社全体で常時雇用労働者が概ね「31人」以上です。
②障害者雇用状況報告書は、会社全体で常時雇用労働者が概ね「45.5人」以上です。
※常時雇用労働者…週所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇用見込みのある人のことを言います。

書類が届いた企業は報告義務があるため、報告書用紙に必要事項を記入し、期限までに電子申請または郵送、持参いずれかの方法で提出する必要があります。

◆事前準備

書類作成にあたり、以下のものを準備しておくとスムーズです。

1.就業規則
高年齢者の雇用確保措置について、就業規則に記載されている内容をもとに記入します。もし実態が異なっている場合は、就業規則の改定が必要です。

2.前年の報告書控え
毎年出すものなので、書き終わったらコピーをして保管しておくと便利です。制度変更があった場合は少し形式が変わることもありますが、前年の書類でも参考にできると安心です。

3.6月1日時点の数値
どちらの報告書でも、具体的な人数の記載が求められます。6月1日時点の数値を書き出しておきましょう。常時労働者数(1か月以上の雇用があるまたは雇用継続が見込まれ、週20時間以上勤務している人数)、定年到達者の人数、高年齢者(45歳以上)の離職者の人数、就業している障害者の人数を確認しておきましょう。

4.記入要領
報告書と一緒に、報告書の書き方(記入要領)が同封されてきます。すぐに記入を始める前に、一度要領を読んでからスタートしましょう。また、障害者雇用状況報告書について、企業によって記入方法が違います。自社はどれにあたるか、確認してみてください。

『高年齢者雇用状況報告書』の主な記入方法と注意点

ここからは報告書の各項目の記入方法と、それぞれの注意点を詳しくご紹介します。高年齢者雇用状況報告書の様式は厚生労働省のホームページからもダウンロードができます(ダウンロードはこちらから)。

報告書①~⑥は企業ごとの情報を記入します。⑦~⑩は就業規則を確認しながら記入をしましょう。

◆定年制の状況

まず、定年に関する記入内容が適正であるかどうかを確認しておく必要があります。

定年は「高年齢者雇用安定法」8条・9条で定められているとおり、60歳以下を下回ってはならず、定年を65歳未満に設定している場合には65歳まで勤務ができるよう雇用を確保する努力義務があります。
※2021年4月からは高齢者雇用安定法改正により65歳までの定年引上げが義務になり、65~70歳の継続雇用措置をとる努力義務に引き上げられます。高年齢者雇用安定法の改正についてはこちらからご覧ください。

定年の見直しが必要な場合、就業規則、労働協約または労働契約の改正が必要です。厚生労働省が作成している「高年齢雇用安定法ガイドブック」P15 に参考例が掲載されています。

就業規則に記載されている定年の内容が適切かどうか確認がとれたら、⑦定年欄の記入をしましょう。

報告書の ⑦定年欄 には、定年の有無や定年年齢を記入します。

「定年あり」とは、就業規則に定年について記載されている状況を指します。職種別に定年年齢が異なる場合は、最も低い年齢を記入します(60歳を下回る場合は、法律違反になるので早急に是正する必要があります)定年年齢を従業員が自由に選択できる制度がある場合、選択可能な最も高い年齢を記入します。また、⑧定年の改定予定等 欄には、定年の改定予定の有無と予定年月日を記入します。

定年がない場合は、⑨継続雇用制度の状況 ~ ⑪66歳以上まで働ける制度等の状況 の記入は不要です。

継続雇用制度の状況について

継続雇用制度とは、定年後も高年齢者の希望に応じて雇用を延長する、もしくは雇用機会を確保する制度のことです。

⑨継続雇用制度⑩継続雇用制度の導入・改定予定 については、継続雇用制度を導入する場合、希望者全員を対象とすることが求められています。一定の基準を設けている場合は、現状通りに報告します。〇〇歳まで雇用 の箇所について、年齢の規定がない場合は「99」と記入します。

ちなみに ⑨継続雇用制度 で「(注)」に記載されている内容について、平成25年3月末までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めた事業主以外は該当しません。

66歳以上まで働ける制度等の状況について

平成30年度から ⑪66歳以上まで働ける制度等の状況 が報告項目に加わりました。従来は65歳までの雇用確保を目的としていましたが、政府は高齢化の進展や労働人口の減少などにより、希望すれば70歳まで働ける環境づくりを図っています。

⑦の定年がない場合、定年年齢が66歳以上の場合、⑨の年齢欄のいずれかが66歳以上の場合 の3つの場合に当てはまるようであれば、この欄の記入は不要です。

常用労働者数と離職者数について

⑫常用労働者数(うち女性) は、6月1日現在の状況を年齢別で記載します。 ⑬過去1年間の離職者の状況(うち女性) は、過去1年間の状況を記載します。

常時労働者数とは、1年以上継続して雇用される、または1年以上継続して雇用される見込みがある者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の者をいいます。正社員、契約社員、パート・アルバイト労働者で条件に当てはまる人数を記載しましょう。なお、派遣社員は派遣元事業所の報告書で計上します。

また、離職者数とは、離職者全員の人数ではなく「解雇等による45歳以上65歳未満の離職者数」を記載します。
「解雇等」とは、以下の理由によるものです。
・解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く)
・継続雇用制度の対象者の基準に該当しなかったことによる退職
・その他事業主の都合による退職
それぞれ、内訳として女性の人数も記入します。

◆過去1年間の定年到達者等の状況について

⑭過去1年間の定年到達者等の状況(うち女性) は、前述の⑦~⑪で報告した高齢者雇用に関する制度を、定年した人や継続雇用が終了した人が実際に利用しているかどうかを報告するものです。高齢者雇用に関する諸制度が、有効に機能しているかどうかをチェックしています。

⑮過去1年間の改正法に規定する経過措置に基づく継続雇用の対象者に係る基準の適用状況(うち女性) については、経過措置利用企業のみ記入をします。経過措置とは、改正高年齢者雇用安定法に基づいて、継続雇用をする対象者を限定する基準を63歳以降の者に適用する制度を導入している場合のことを指します。

最後に、高年齢者雇用推進者として担当を選任している場合は氏名を記入します。もし推進者を選任していない場合は、記入担当者欄に氏名を記入しましょう。書類の不備や不明点があった場合の問い合わせ先になるので、その点留意して記名をしてください。

「高年齢者雇用推進者」は、高年齢者雇用安定法第11条において、企業における高年齢者の安定した雇用の確保を推進するための取り組みの中心的役割を担う人として、選任するように努めなければいけない(努力義務)とされています。

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『障害者雇用状況報告書』の主な記入方法と注意点

では、次に「障害者雇用状況報告書」の記入方法と注意点をご紹介します。

一定数以上の労働者を雇用している企業では、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用しなくてはいけないという義務があります(「障害者雇用促進法」43条)。
障害者状況報告書の記入については、特に
労働者数障害者数の定義が複雑なので、注意してみてください。

まずは、何人以上障害者採用をすべきなのか、人数の確認をしていきましょう。

◆法定雇用率とは?

従業員が45.5人以上の企業は、従業員に占める障害者の割合を法律で定められた一定の率以上にする義務があります。この割合を「法定雇用率 」といい、民間企業では2.2%と定められています。

2021年4月からは、2.3%に引き上げられ、従業員を43.5人以上雇用している企業は障害者を1人以上雇用しなければなりません。
4月からの法改正についてはこちらに具体的にまとめています。

なお、この報告書では雇用している障害者が0人の場合でも、報告をする義務があります。
書類が手元に届いているのであれば、必ず返送しなくてはいけないと心得てください。

報告書①~⑥については、企業ごとの情報を記入します。事業所数が6か所以上ある場合は(別紙)のほうに記入してください。⑦除外率 以降の書き方を中心にご紹介します。

◆労働者数と除外率について

報告書に記入する際は、まず事業所ごとに ⑦除外率 があるかどうかを確認します。

除外率は業種ごとに定められており、例えば倉庫業5%、医療業30%、道路旅客運送55%、幼稚園・こども園60%など、障害者の就労が一般的に困難であると認められる職種かどうかで率が決まっています。以下の表に当てはまる場合は ⑦除外率 欄を記入します。以下の業種に当てはまらない場合、⑦は空欄にします。

除外率の記入が終わったら、⑧常用労働者の数 を記入しましょう。

⑧常用労働者の数 について
(イ)常用労働者の数(短時間労働者を除く)…週30時間以上の労働時間の者
(ロ)短時間労働者の数…週20時間以上30時間未満の労働者の者

なお、週20時間未満の労働者はカウントしません。いずれも1年を超えて雇用されている、または1年を超えて雇用される見込みがあることが前提です。また、昼間学生やダブルワークの場合であっても、週所定労働時間が20時間以上であれば常時雇用者としてカウントします。

雇用保険を取り扱っている事業主の労働者として計上するので、出向中であっても、産休・育休などの休業中であっても該当します。ただし、海外勤務をしている労働者について、日本国内の事業所から派遣している場合はカウントし、現地採用している労働者はカウントしません。

(ハ)常用雇用労働者の数 には、(イ)に(ロ)を0.5倍した数を合算した数を記入します。
例:イ…550人 ロ…420人
550+(420×0.5)=760 →(ハ)…760

(ニ)法定雇用障害者の算定の基礎となる労働者の数 は、除外率がある企業は計算をして記入し、除外率がない企業は(ハ)の人数を記入します。除外率がある企業の場合、(ハ)に除外率をかけた数字(端数切り捨て)を(ハ)から引いた数を記入します。
例:ハ…7346.5人 除外率20%
7346.5 ー (7346.5 × 0.2)=5877.5 →(ニ)…5877.5

⑨常用雇用身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数

⑨常用雇用身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数 を記入します。かっこ内には、前年6月2日から本年6月1日までの新規雇入れ数を記入します。⑩には合計数を記載しましょう。

(ホ)(ト)…重度身体障害者(身体障害者手帳1級、2級)
(ヘ)(チ)…重度身体障害者以外の身体障害者(身体障害者手帳3~6級)
(ヌ)(ヲ)…重度知的障害者(児童相談所や障害者職業センターにおいて知的障害と判定された方のうち、程度が重いとされた)
(ル)(ワ)…重度知的障害者以外の知的障害者
(ヨ)(タ)…精神障害者(精神保健福祉手帳の交付を受けている)

※ホ、ヘ、ヌ、ル、ヨ欄には週の所定労働時間が30時間以上の労働者人数を、ト、チ、ヲ、ワ、タ欄には週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人数を記入します。いずれも1年を超えて雇用されている、または1年を超えて雇用される見込みがあることが必要です。

障害者の範囲は、制度により定義がさまざまです。

障害者雇用促進法では、身体障害者や知的障害者の雇用を義務づけていますが、障害者雇用率制度の上では身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています。

ほかにも、障害者雇用に関する助成金については、手帳を持たない統合失調症、躁鬱病(躁病、鬱病を含む)、てんかんの方も対象となります。また、ハローワークや地域障害者職業センターなどによる支援においては「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象となります。
記載する書類によって異なるので、記入時には何を以て障害者としてカウントするかを確認してみてください。

◆実雇用率について

企業における障害者雇用の現状を算出したものが ⑪実雇用率 です。前述の ⑧(ニ)法定雇用障害者の算定の基礎となる労働者の数 を分母に、実雇用率の計算基礎となる障害者数 ⑩計 を分子として計算します。

例:⑩欄の数 ÷ ⑧(ニ)の数 × 100
14.5 ÷ 760 × 100 = 1.91 (小数点以下第3位は四捨五入)

実雇用率が法定雇用率を上回っていれば「障害者雇用調整金」を受給できる可能性があります。

最後に、法定雇用率で義務づけられた障害者雇用数と実際の雇用数を比較して ⑫身体障害者、知的障害者又は精神障害者の不足数 を算出します。一般企業の法定雇用率2.2%(一部特殊法人は2.6%)となっています。なお、計算結果がマイナスになる場合は雇用が足りているので、0を記入します。

報告書の提出期限

2021年は7月15日が報告期限です。昨年は新型コロナ感染拡大を鑑み、持参提出ではなく電子申請制度を活用したり、期日を延期したり措置が取られました。本年も状況次第では、期限が延期になる可能性もあります。(提出書類は5月下旬頃に届く予定です。)

◆提出先・提出方法

本社を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出しますが、事務の集中化を避けるために別の事業所を指定される場合もあります。また、電子申請も受け付けていて、ユーザーID、パスワードは報告書に同封の「提出方法のご案内」に記載されています。電子申請の場合は、申請書を印刷し保管することを忘れないようにしましょう。

電子申請については、厚生労働省ホームページから手順を確認できます。電子申請の方法はこちらから。

◆報告しない場合の罰則・罰金

最後に、この書類を提出しなかった場合の罰則・罰金について言及します。

高年齢者雇用状況報告書ついては、報告しない場合には特に罰則はありませんが、報告書の提出後、雇用状況が改善されていないと「高齢者雇用安定法上の政指導があり、改善されない場合には、企業名の公表があります。

障害者雇用状況報告書障害者については、報告の義務を怠ったり偽ったりした場合、障害者雇用促進法第上に則り30万以下の罰金が科せられます。また、従業員数が一定以上いるにもかかわらず障害者の雇用義務を果たさない事業主に対して行政指導が入ります。

最後に

高年齢者雇用は、66歳以上も働ける環境づくりに変化しています。また、障害者雇用は、企業が法定雇用率を達成することを強く求められています。企業は、報告を機に高年齢者や障害者の雇用維持・拡大をさらにすすめることが期待されています。
自社の全ての事業所について高年齢者の雇用状況や障害者の人数をまとめ、報告書を作成するには時間がかかりますので、早めの対応を行いましょう。

今回は、書類の申請方法について詳しくご紹介いたしました。

ただし、この書類は毎年作成し、報告が求められるものです。限られた時間をより生産性の高い業務に充てるためにも、経験者採用をしたり、他の報告書類も併せて任せられる人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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