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【9割の主婦“出戻り”に賛成】一度退職した会社に戻るのは、あり?なし?

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働き方

アルムナイという言葉、あなたは聞いたことがありますか?

「卒業生・同窓生」という意味の言葉ですが、最近は企業の離職者 OB・OGのことを指し、人手不足時代の貴重な人材として注目されています。

この制度は日本ではまだ導入されている企業は少ないですが、欧米のコンサルティング業界では一般的に導入されている制度です。

退職した会社に戻る、退職した社員が戻ってくることについて、働く主婦はどのように感じているのでしょうか?

しゅふJOB総研の「出戻り就職について」のアンケートデータをまじえ、主婦のコメントをご紹介していきます!

アンケートデータ:『出戻り就職について』(有効回答数744件)

一度退職した会社に復帰したいと思ったことが「ある」56.2%

「あなたは今まで、一度退職した会社に復帰したいと思ったことはありますか?」という質問に対して、あると回答した人が56.2%でした。

また、「「ある」と答えた方にお聞きします。復帰したいと思った理由は何ですか」という問いに対して、39.2%の人が「辞めてから元の会社の良さがわかった」と回答しています。

次いで、「育児で退職したが、子どもの手が離れた」が26.1%、「元の会社から復帰要請があった」が19.9%でした。

復帰したいと思ったことはある。その理由は…

理由が「その他」だった割合が18.2%もあることが気になりますね。

「その他」と回答した方から寄せられたコメントを見てみましょう。


・業務内容は好きだったが人間関係で、辞めた。原因の人間も辞めたのなら復職したい(40代:派遣社員)

・今なら、また違った気持ちでできそう(40代:派遣社員)

・社内結婚だったので退職せざるをえなかった。本当はもともとやめたくなかった(40代:パート/アルバイト)

・今年定年退職をして環境が良かった(60代:今は働いていない)

・ずっと勤めていたかったが派遣だったから(40代:今は働いていない)

・景気が悪くなり、パート全員解雇になったから、景気が良くなってまた採用できるようになったらまた行きたい
(50代:パート/アルバイト)

・辞めたくて辞めたわけではないので(40代:派遣社員)

・給料が良かったから(30代:パート/アルバイト)

・他の仕事を探すより手っ取り早かったから(30代:パート/アルバイト)

・何となく思い出しただけ(30代:SOHO/在宅ワーク)

・辞めた理由が離婚で職場の問題ではなかった(20代:今は働いていない)

・自分のスキルが上がり、再度貢献したいと思った(60代:パート/アルバイト)

・慣れた仕事内容だと復帰しやすいから(40代:パート/アルバイト)

・会社の状況が変わった(悪いところが良くなった)と聞いたから(50代:パート/アルバイト)

・雇用形態が変わっての業務なら家事と両立出来るかと考えた(40代:派遣社員)

・仕事の内容が好きだった(50代:契約社員)

・歳を取り就職難になり経験を活かしたい(50代:パート/アルバイト)

・怪我のため、泣く泣く辞めたので(60代:今は働いていない)

・出産しても育休をとり復職する気でいたが、夫の強烈な反対で断念したので未練が大いにある。チャンスがあればまたその会社で働くつもり。今は別の仕事をしてチャンスを待っています(50代:パート/アルバイト)

・元いた会社が合併で大きくなり、福利厚生と給与待遇が変わったので(40代:今は働いていない)


家庭の事情で退職をした声や、条件面を重視した声も聞こえてきます。

実際に復帰したことは「ない」76.6%

「ある」と回答した人は、実際に復職をしたのでしょうか?

「実際に復帰したことはありますか」という問いに対して、ないと回答した人が76.6%でした。

 

復帰するなら「その会社に在職中の元上司に相談する」40.5%

「もし一度退職した会社復帰するとしたら、どのような方法を取りますか。」の問いに対して、「その会社に在職中の元上司に相談する」が40.5%、「その会社に在職中の元同僚に相談する」が33.6%、「求人募集を待って一般応募する」が31.6%でした。

「もう一度退職した会社に復帰するとしたら、会社側に何を要望しますか」という問いに対しては、最も多かった回答とは「勤務時間や勤務地など働きやすい環境」が63.3%、次に「今の自分のスキルや経験に相応しい職務」と回答した人が39.9%、ほぼ同率で「今の自分のスキルや経験に相応しい給与」が39.5%の回答でした。

復帰する時の心境「その時になってみないとわからない」43.1%

「もし一度退職した会社への復帰が決まったら、どんな心境になると思いますか?」という問いに対して、最も票を集めたのは「その時になってみないとわからない」でした。

次に、退職後に成長した姿を見せたいが23.15、今度は辞めないように頑張ろうと答えた人が21.9%でした。

 

一度退職した会社に元社員が復帰できる制度。あなたは賛成・反対?

では、一度退職した会社に元社員が復帰できる制度への賛否はいかほどでしょうか。

「一度退職した会社に、元社員が復帰できる制度に賛成ですか。」という問いに対しては、自分が復職する立場でも復帰を受け入れる立場でも賛成と回答した人が85.6%でした。

なお、

自分が復帰する立場の場合 賛成89.4% 反対10.6%

復帰を受け入れる立場の場合 賛成88.8% 反対11.2%

という結果も出ています。

みんなのコメント&体験談

上記のアンケートで、フリー欄にコメントが寄せられました。

復帰したいと思ったことがある人、ない人はどのような意見を持っているのでしょうか?

◇フリーコメントより(年代:就業形態)

退職した会社に復帰したいと思ったことが「ある」

・受け入れる立場としても、さまざまな負担(研修や社内システムの説明、社風があわずすぐ退職する可能性など) が軽減されると、復帰するような場合でも人間関係や職務内容の不安が少なく就業できると思う。特に出産子育てで退職→復帰は推進してほしい(30代:公務員/団体職員)

・育児、介護など、休職期間以上休む結果、退職など、やむを得ない理由の人は、復職制度があると、育児、介護に、専念出来る(50代:パート/アルバイト)

・スキルがあり回りの方とも環境も慣れているのでお互い楽だと思います。私は一度定年退職で辞めた会社に派遣で就業しています。とても楽しいですし、仕事慣れているので良いです。とても良くしてくれてます(60代:派遣社員)

・退職理由によると思う。止む無しに辞めたのならば復職はあり。自己都合で勝手に辞めた場合は復職なんて有り得ない(40代:正社員)

・一般の中途採用者同様、一から試用期間や研修期間を経て復帰した方が、自分も周りも安心すると思う(40代:パート/アルバイト)

・実際に一度退職した会社から、復帰の話を頂き、自分自身恥ずかしいと思いながら正社員にもなれるしと思い、復帰しました(中略)現在は、人事担当もしており、会社からみても特に人間性が分かってる従業員が戻ってくるのは、ハラスメントなどその様なリスク管理を考えれば、進めたい採用方法だと感じます(30代:正社員)

・辞めた理由はさまざま。受け入れてもらえるのなら、復職したいが(40代:パート/アルバイト)

・社内結婚をしたらどちらかが辞めなければいけないという前時代的なシステムをやめてほしい(40代:パート/アルバイト)

・今まで何回か復帰しました みんな快く迎えてくれました 復帰後、辞めた後の付き合いも変わらないです(40代:今は働いていない)

・復帰を希望するならば退職する際には綺麗な辞め方をするべき(40代:パート/アルバイト)

・退職前に習得したスキルを、ゼロからに戻すのはやめてほしい。勤務年数や、過去に築き上げたスキルを評価した上で時給や配属ポジションを考えて欲しい(40代:パート/アルバイト)

・送別会までして貰って退職した手前、復帰はし辛い。ただ気にせず復帰している元同僚を羨ましいと思う気持ちも有る(40代:パート/アルバイト)

・離職して10年は立ちますが、長く続いてその会社だけの技能なので早く復職したいです(40代:SOHO/在宅ワーク)

・配偶者の転勤が理由で何度も退職しています。自分の意志での退職ではないので、新しい勤め先を探すより、復帰できる環境があれば嬉しいです(40代:今は働いていない)

・私の場合、復職候補となるひとつの企業からは早期退職で辞めました。その際、今後はグループ会社を含むその企業には一切就かないという念書のようなものを書いたので、希望しても無理でしょう(50代:派遣社員)

退職した会社に復帰したいと思ったことが「ない」

・再雇用される側は精神的負担大。見られる、揶揄される、陰口等。再雇用前に、同じ部署や他部署の人たちの理解が浸透していることが大事。なぜ戻ってきたのか、という空気が漂わないように(40代:パート/アルバイト)

・人によっては浦島太郎状態で役に立たない場合があるのではないか。そういう「お荷物」も一律に元の待遇で復帰させるのなら反対である(40代:公務員/団体職員)

・会社側も一から教えなくても良いし、本人も一から覚えなくてもいいし、前との変更点をきっちり教えてもらえたらお互い良いと思います(50代:その他の働き方)

・会社の業績が好調なら復帰を考える(60代:派遣社員)・あり得ない(60代:今は働いていない)

・1度、辞める気持ちを持った職場は又、何かあると辞めたくなると思うし経営者側もそう感じて受け入れるだろうと思う(50代:公務員/団体職員)

・制度としてはいいと思うが、私個人の意見では、考えられない(40代:契約社員)

・復帰の候補に挙げて下さるのはありがたいことですが、退職に至った経緯がありその反省点を見出して、改善を行なって頂く事からの検討事案になると思います(50代:今は働いていない)

・特に退職した会社にこだわる意味がわからない。他で新しい経験を積んだ方が楽しい(50代:契約社員)

・企業側は即戦力になるので、メリットはあると思うが、自分としては何らかの理由で一回離れた職場に戻るとしても、以前と同じような能力で仕事ができるかもわからないので、逆にハードルが高いような気がする(50代:パート/アルバイト)

・退職の理由によっては戻ってきて欲しい人・欲しくない人に分かれる(50代:パート/アルバイト)

・主に、人間関係(パワハラ)などで辞めている為、その人が居る職場には戻りたくない(40代:パート/アルバイト)

・私は 辞めたいと思って辞めるので 復帰することは絶対にありません(50代:派遣社員)

・復帰するのは構わないが、またいつか辞めるのではないかと思われると思う(40代:パート/アルバイト)

・円満退社ではなかったため、復帰要請はないと思う。退社してから10年以上経過しているので、自分のスキルは通用しないだろう。任せてもらえる仕事があるとは思えない(50代:パート/アルバイト)

 

プロはどう見る?川上氏のコメント

ここで、しゅふJOB総研(※末尾) 所長の、川上 敬太郎氏のコメントをご紹介します。

■川上 敬太郎氏のコメント■

 元いた職場に復帰することは、”出戻り就職”などと呼ばれます。採用難の折、将来の再雇用などを視野に入れて退職者とのネットワークを大切にするアルムナイ制度を導入している企業もあります。退職経験を持つ人が多い働く主婦層に、「あなたは今まで、一度退職した会社に復帰したいと思ったことはありますか」と質問したところ、56.2%が「ある」と回答しました。あると答えた人に理由を尋ねたところ、一番多かったのは「辞めてから元の会社の良さがわかった」で39.2%。「育児で退職したが、子どもの手が離れた」との理由が26.1%でした。一方、復帰したいと思った人のうち実際に復帰したことがある人は23.4%で1/4以下でした。もし復帰するとしたらどのような方法をとるかについては、「その会社に在職中の元上司に相談する」が最も多く40.5%。次いで、「その会社に在職中の元同僚に相談する」が33.6%と、元いた会社のコネクションを使う人が多いようですが、「求人募集を待って一般応募する」という回答も3割超ありました。復帰する場合のルート選択は、退職した時の事情によっても変わってくるかもしれません。

復帰する際に会社に要望することとしては、6割以上の人が「勤務時間や勤務地など働きやすい環境」を挙げました。働きやすい環境を求めるのは復帰の場合に限ったことではありませんが、一度辞めた身だけに復帰を快く受け入れてくれるかどうかが気になったり、出産や配偶者の転勤などでやむなく退職した経験から働きやすい勤務条件を求める人もいるようです。また、「今の自分のスキルや経験に相応しい職務」「今の自分のスキルや経験に相応しい給与」を選んだ人も4割近くに及び、新人と同じではない、という意識も働いているように感じます。

実際に戻るとしたらどんな心境になるかについてはおよそ4割が「その時になってみないとわからない」と回答したものの、「退職後に成長した姿を見せたい」「今度は辞めないように頑張ろう」「一度辞めたのに申し訳ない」との回答も2割前後あり、人によって様々な思いや葛藤を抱いているようです。それでも、元社員が復帰できる制度については85.6%が「自分が復帰する立場でも、復帰を受け入れる立場でも賛成」と回答しています。退職に対する働く主婦層の意識は柔軟で、退職を会社との永遠の別れと捉える考え方は時代にそぐわなくなってきているのかもしれません。

 

お仕事復帰を控えたママの「3つの不安」

お仕事から離れて3年以上が経つママたちは、お仕事復帰にたいしてどのような不安を頂いているでしょうか。


1.子どもの急病

あらかじめ休むことがわかっていれば、同僚に代理を頼んだり、休んだとき仕事仲間が困らないように情報共有や引き継ぎをしておくこともできますが、急な場合はそれも困難ですよね。

職場によっては、自分が休む場合に代わりの人を自分で見つけなければいけないケースもありますし、周りに子育てをしている人がいないと理解してもらいにくいというケースもあります。

そうなると「急に休む可能性が高いなんて、周りの迷惑になるのでは……?」と、とても不安になってしまうようです。

2.周りの方とのコミュニケーション

仕事となると、様々なタイプの人たちとコミュニケーションを取る必要があります。

同僚になる人達と合わなかったら?と心配になることもあるでしょう。

他にも、「直属の上司と合わなかったらどうしよう……」という不安もあるようです。

3.仕事に対する不安

3年以上仕事を離れていると、実務経験がある仕事でも、勘を取り戻すのに時間がかかります。

未経験の仕事を始めるとなれば不安を感じてしまうのは自然なことでしょう。

仕事を覚えたり慣れるまで、誰かがつきっきりで教えてくれる環境とも限りません。

そうなるとどうしても「仕事を覚えきれず、ミスをしたら周りの迷惑になってしまう……」という不安を抱いてしまうようです。


このようにブランクのある主婦にとっての社会復帰は、不安が尽きないもの。ブランク歴が長くなれば、なおさらでしょう。

元の職場に復職する場合、2.周りの方とのコミュニケーションについては在職中に関わっていた人がいるなどのとっかかりがあったり、3.仕事に対する不安としても全く新しいことではないのである程度イメージを持って臨むことができます。

ただし離職の期間があったことは事実。不在にしていた数年の間に、同僚が退職していたり、仕事が大きく変わっているなんてこともよくあります。

復職をするにしろ、新しい扉をあけてお仕事にチャレンジしてみるにしろ、上記の3つの不安に対する解決策は考えておきましょう。

実際に長いブランクからお仕事を始めた、先輩パートさんたちはどのような対策をとったのか、下の記事にもまとめています。

まとめ

かつて務めていた会社に戻りたい、と思ったことがある人はアンケート回答者の半分を超えました。

逆に、自分が復職する立場でも復帰を受け入れる立場でも、一度退職した会社への復帰制度に賛成、と回答した人は8割を超えています。

大手飲食企業ではすでに雇用形態を問わず復職を歓迎しており、実際に”復帰歓迎”のコメントを見て戻ってきた、という声も聞こえてきます。

また、一度転職で外に出て、帰ってきた社員が新しいスキルを持っていたので業務改善が進んだ、という事もあるようです。

少子高齢化社会のなかこれから労働人口は減り、多くの企業が優秀な人材を採用するために間口を広げます。

“リファラル採用”として従業員の紹介での採用を優先する企業も増えきました。

今でこそ”出戻り”というネガティブな言葉で呼ばれていますが、これからアルムナイ制度がよりポジティブな採用になることはまちがいありません。

 

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