ダブルワークで働ける労働時間は週40時間?制限や残業代の仕組み
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お金と法律

ダブルワークの労働時間や残業代は、どのように扱われるのでしょうか。特に、子どもの学費や生活費のためにパートを掛け持ちしたいと考える主婦も少なくありません。
本記事では、ダブルワークの労働時間におけるルールを解説します。残業代や注意点も解説しますので、ダブルワークの働き方にお役立てください。
もくじ
【結論】ダブルワークの労働時間も法律で制限がある
ダブルワークで働く場合も、法定労働時間の範囲内であることが求められます。
労働基準法では、法定労働時間を以下のように定めています。
- ・週40時間以内
- ・1日8時間以内
法定労働時間とは、法律で定められた労働時間の上限です。法律で定められているため、原則として企業側は法定労働時間を超えて労働者を働かせることはできません。
法定労働時間は、ダブルワークの労働者にも適用されます。
参照:『労働時間・休日 』厚生労働省
ダブルワークの労働時間は2社通算して計算される
ダブルワークの労働時間も、パートのように雇用契約を結ぶ働き方であれば、法定労働時間の範囲内に収める必要があります。
ダブルワークの場合は、2社の労働時間を通算して計算します。たとえば1社で週30時間働く場合は、もう1社では10時間以内に収める必要があるということです。
ただし、労使協定として36協定を結んでいる場合、企業は法定労働時間を超えて働かせることができます。36協定については、次の章で詳しく解説します。
関連記事:ダブルワークとは?確定申告や社会保険、税金の注意点
労働時間の上限
労働基準法では、労働者の労働時間に上限を定めており、この上限を「法定労働時間」といいます。
具体的には、以下の内容で制限しています。
- ・週40時間以内
- ・1日8時間以内
しかし、企業の状況や繁忙期などにおいては、法定労働時間を超えて働かせることもあります。法定労働時間を超えて働かせるためには、労使間で「36協定」を結び、労働基準監督署に届け出をしなければなりません。
36協定とは
36協定とは、法定労働時間を超えた労働(時間外労働)に対する労使協定を指します。
36協定を結ぶことで、時間外労働に関するルールを明確にします。
36協定では、時間外労働の原則として以下の上限を定めています。
- ・月45時間
- ・年360時間
このように、36協定を結んだからといって無制限に時間外労働をさせられるわけではありません。
参照:『労働時間・休日 』厚生労働省
参照:36(サブロク)協定とは(厚生労働省)
ダブルワークにおける労働時間・残業代の扱われ方
ダブルワークにおける労働時間や残業時間はどのように扱われるのでしょうか。
パート主婦がダブルワークする際に特に知っておきたい内容は、以下の点です。
- ・所定労働時間は原則契約順に通算される
- ・原則は後から契約した会社が負担する
- ・先に契約した会社で負担するケースもある
- ・残業代(割増賃金)はいくら?割増率と計算例
それぞれの内容について、わかりやすく解説します。
所定労働時間は原則契約順に通算される
ダブルワークにおける労働時間は、所定労働時間(雇用契約で決められた労働時間)を基準に計算されます。
割増賃金は原則後から契約した会社が負担する
法定労働時間を超えた場合、割増賃金が支払われます。労働時間は、契約を結んだ順に計算されるため、原則として割増賃金は後から雇用契約を結んだ企業側が負担します。
たとえば、メインで働くA社で5時間働き、同じ日に掛け持ち先のB社で4時間働いた場合です。ダブルワークは労働時間を通算するため、労働時間の通算は9時間となり、「B社側で時間外労働が1時間発生した」と扱われます。
| 労働時間 | そのうち時間外労働 | |
| A社 | 5時間 | 0時間 |
| B社 | 4時間 | 1時間 |
| 通算 | 9時間 | 1時間(B社に負担義務) |
先に契約した会社で負担するケースもある
原則としては、後から雇用契約を結んだ企業が時間外労働を負担しますが、先に雇用契約を結んだ企業が割増賃金を負担するケースもあります。自社だけでは法定労働時間内であっても、後から契約した企業の労働時間をふまえると法定労働時間を超えることが明白であるのに、労働時間を延長して働かせた場合です。
たとえば、メインで働くA社(所定労働時間5時間)で6時間、掛け持ち先で働くB社(所定労働時間が3時間)で3時間働いた場合です。通算すると労働時間は9時間となるため、割増賃金が発生します。
| 労働時間 | そのうち時間外労働 | |
| A社 | 6時間 | 1時間 |
| B社 | 3時間 | 0時間 |
| 通算 | 9時間 | 1時間(A社に負担義務) |
この場合、先に契約したA社側で所定労働時間より1時間多く働いたことにより通算の労働時間が法定労働時間を超えました。そのため、法定労働時間を超える原因になったA社側に、割増賃金の負担義務が生じます。
参照:『「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A』厚生労働省
残業代(割増賃金)はいくら?割増率と計算例
法定労働時間を超えた分は「時間外労働」といい、通常賃金の25%(労働時間が60時間を超えた分は50%)を割増した「割増賃金」が支払われます。
たとえば、以下の状況による割増賃金の計算例をご紹介します。
| 労働時間 | 時給 | |
| 先に契約したA社 | 週25時間 | 1,300円 |
| 後に契約したB社 | 週20時間 | 1,300円 |
この場合、週の労働時間が45時間となり、法定労働時間を5時間超過しているため、後から契約したB社が以下の計算式で割増賃金を負担します。
| B社が負担する割増賃金の計算式 |
| ・1,300円×15時間=19,500(通常の賃金分) ・1,300円×1.25×5時間=8,125円(割増賃金分)→19,500円+8,125円=27,625円 |
なお、法定労働時間は「1日8時間・週40時間」と1日・週あたりで定められています。どちらか一方で法定労働時間を超えていれば、その分は割増賃金の対象です。
たとえば、平日の5日間をA社(所定労働時間5時間)で5時間、週1日月曜だけB社でも5時間働いたとします。1日あたりの労働時間は月曜のみ10時間、火曜から金曜はすべて5時間となり、週の労働時間は30時間です。
| 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 週通算 | |
| A社 | 5時間 | 5時間 | 5時間 | 5時間 | 5時間 | 25時間 |
| B社 | 5時間 | 0時間 | 0時間 | 0時間 | 0時間 | 5時間 |
| 通算 | 10時間 ※B社で割増賃金2時間 |
5時間 | 5時間 | 5時間 | 5時間 | 30時間 |
週の労働時間は30時間で法定労働時間内ですが、月曜は10時間働いているため、1日あたりの法定労働時間を超えています。この場合、月曜の時間外労働分(2時間分)が割増賃金となり、B社に支払い義務が発生します。
参照:『しっかりマスター労働基準法-割増賃金編ー』厚生労働省
ダブルワークの労働時間に関する注意点
トラブルなくダブルワークをするために、労働時間について特に以下の3点に注意する必要があります。
- ・健康管理や働きすぎに注意する
- ・企業側は割増賃金をできるだけ避けたいと考える
- ・先に契約した企業にダブルワークの旨を伝える
それぞれの点について詳しくご紹介します。
健康管理や働きすぎに注意する
ダブルワークをすることで、必然的に1日・週あたりの労働時間が長くなります。長時間労働が続いたり、無理な働き方をすることで、心身の健康を崩しやすくなる点に注意しなければなりません。体調不良が続いたり悪化したりすることで働けなくなるリスクもあるため、日頃から働きすぎに注意し、健康管理をおこないましょう。
企業側は割増賃金をできるだけ避けたいと考える
企業側は、できるだけ割増賃金を避けたいと考えます。そのため、ダブルワークであっても週の労働時間を40時間に収める努力をするか、それぞれの企業にダブルワークにおける所定労働時間をあらかじめ伝えておくことがおすすめです。
先に契約した企業にダブルワークの旨を伝える
ダブルワークをする場合、先に契約した企業にもダブルワークする旨を伝えることも大切です。先に契約した企業側がダブルワークについて把握をしていないと、割増賃金や労働時間に関する認識相違が生じて、トラブルにつながる恐れもあります。また、企業側には安全配慮義務もあるため、ダブルワークをすることになった時点で伝えましょう。
週20時間(30時間)以上は社会保険に加入する
ダブルワークでも、週の所定労働時間が20時間(もしくは30時間)以上の場合、社会保険の加入対象となります。
社会保険加入の前提として、所定労働時間(所定労働日数)がフルタイムで働く正社員の「4分の3以上」となる場合、社会保険の加入義務が生じます。週30時間という基準は、一般的なフルタイムで働く従業員の労働時間である週40時間における「4分の3」が30時間であるためです。「4分の3」というルールは、すべての労働者に適用されるルールです。
ただし、4分の3未満であっても、社会保険の適用拡大によって、企業規模が51名以上の場合は「週20時間以上」など特定の条件を満たすことで社会保険の加入対象になります。
なお、ダブルワークにおける社会保険の加入判定は、企業ごとに行われます。
たとえば、メインで働くA社が週25時間、B社が15時間の場合、A社でのみ社会保険の加入義務が発生します。A社もB社も週20時間以上となった場合は、いずれも社会保険の加入対象です。
参照:『パート・アルバイトの方への社会保険の適用について』厚生労働省
関連記事:パートの社会保険加入条件とは?2026年最新の年収の壁・メリット・デメリットを解説
関連記事:パート掛け持ちで130万円以内に抑えるには?扶養・社会保険・年収の考え方を解説
ダブルワークの労働時間に関するよくある質問
ダブルワークについてよくある質問をご紹介します。
平日は週5で働いているので土日に働けばいい?
平日で週5日働いている場合、ダブルワークとして土日に働くことはできます。しかし、平日に週5日で働いている場合、週40時間を超えた分は、時間外労働として扱われ、割増賃金が発生します。
たとえば、先に契約した(平日働く企業)企業の所定労働時間が8時間、後から契約した企業(土曜のみ働く企業)の所定労働時間が5時間の場合、後から契約した企業に5時間分の割増賃金の支払い義務が発生します。
通勤時間は労働時間に含まれる?
通勤時間は労働時間に含まれません。労働時間とは、企業側の指揮命令で業務にあたる時間が該当します。
参照:『労働時間 』徳島労働局
業務委託はダブルワークの労働時間に含まれる?
業務委託は、ダブルワークの労働時間には原則含まれません。業務委託とは、企業との雇用契約のもとで働く形態ではないためです。ただし、業務委託であっても、雇用契約の働き方に近い場合、実態は「労働者」とみなされ、労働時間の管理対象になるケースがあるため注意が必要です。
参照:『労働基準法における「労働者」とは 』厚生労働省
まとめ|ダブルワークも労働時間は上限あり!管理を行いトラブルを防ごう
ダブルワークで働く場合も、法定労働時間の範囲内で働く必要があります。しかし36協定を結んでいる場合は、定められた上限のもと、法定労働時間を超えて働くこともできます。
法定労働時間を超えて働く場合は以下の点に注意する必要があります。
- ・労働時間の数え方は、原則雇用契約を結んだ順
- ・割増賃金は、原則後から契約した企業に支払い義務が生じる
- ・割増賃金は先に契約した企業に支払い義務が生じるケースもある
- ・ダブルワークする場合は、双方の企業に相談・報告する
パートとしてダブルワークをする場合は、法定労働時間が適用される点やダブルワークにおける時間外労働・割増賃金の扱いを理解することが大切です。
また、ダブルワークでは長時間労働や働きすぎの状態になることも珍しくありません。労働時間の管理をおこない、ご自身の健康状態やそれぞれの企業の労働時間を適切に管理しましょう。




















