パート・アルバイトは厚生年金の加入で得できる?気になる加入対象やメリットをご紹介1
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お金のこと
パートのお仕事をするとき「保険料が高いし…加入したほうがいいの?」と、気になる厚生年金。
知っているようで意外と知らない厚生年金ですが、パートをする上で何をどう気を付けたらいいのでしょう?
そこで今回は
・厚生年金の加入で得をする?損をする?
・厚生年金の加入対象は?
・手元にお金を残したい場合に目指すべき年収は?
の3点から、パート主婦と厚生年金の関係について紹介します。
もくじ
そもそも厚生年金とは?
2022年10月からスタートする社会保険の適用拡大で注目される厚生年金ですが、そもそも厚生年金の制度についてご存じでしょうか?
適用範囲拡大により加入者が増加すると予測されている厚生年金について、本概要をおさらいしておきましょう!
国民年金と厚生年金
日本在住で20歳以上60歳未満の方は、すべて国民年金(基礎年金)に加入しなければなりません。
会社などで働く方々は国民年金に加えて、一定の要件を満たすと厚生年金にも加入することになります。
厚生年金に加入できるのは第2号被保険者のみです。
・第1号被保険者:自営業者や学生など
・第2号被保険者:会社員や公務員など
・第3号被保険者:専業主婦(夫)など
国民年金の保険料は月額16,980円ですが、厚生年金の保険料は月の給与額に対して変わるため人によって金額が異なります。
また、厚生年金保険料は、労使折半といって、勤務先の会社が半分を負担してくれています。
厚生年金に加入すると保険料の支払い額は増えますが、受けられる年金額が変わってきます。
国民年金と厚生年金という2種類の年金を受給できるため、厚生年金に加入すると将来もらえる年金の額が倍増するのです。
国民年金と厚生年金の違いを把握しやすくするために、両者について比較した以下の表を参考にしてください。
項目 | 国民年金 | 厚生年金 |
加入 対象者 |
20歳以上60歳未満の国民 ・自営業者、フリーランス、無職 ・学生 ・主婦 など (第1号被保険者、第3号被保険者) |
厚生年金保険および健康保険適用事業所に勤務する従業員 ・会社員 ・公務員 など (第2号被保険者) |
保険料 | 定額 (2024年度は月額16,980円) |
給与に比例する (標準報酬月額の18.3%を被保険者と会社で折半) |
年金額 | 定額 (2024年度は月額68,000円) |
報酬に比例 (平均標準報酬額と加入期間に比例) |
受給開始年齢 | 原則65歳 繰上げ受給:60〜64歳 繰下げ受給:66〜75歳 |
原則65歳 (「受給開始年齢の特例」に該当する場合は例外) |
老齢年金 受給要件 |
65歳以上で10年以上の保険料納付期間があること | 65歳以上で被保険者期間が1か月以上あること |
障害年金 受給要件 |
保険料納付要件を満たし、障害等級1級または2級に該当すること | 保険料納付要件を満たし、障害等級1級から3級に該当すること |
遺族年金 受給要件 |
保険料納付要件を満たし、子または子のある配偶者 | 保険料納付要件を満たし、配偶者・子・55歳以上の父母・55歳以上の祖父母 |
将来もらえる年金額はいくら?
20歳以上60歳未満の方は、すべて国民年金に加入することが義務付けられていることはさきほどご紹介しましたね。
年金は、保険料を納めた期間の長さに応じて65歳から受け取れます。
仮にすべての保険料を支払った場合(未納期間がない場合)は、毎月およそ68,000円の基礎年金を受給することになります(2024年度時点)。
では、国民年金に加えて、厚生年金に加入している場合は、いくらくらいになるのでしょうか。
厚生年金の支給額は会社に勤めていた期間と給与額によって異なるため、金額は人によって異なり一律ではありませんが、厚生労働省の調べによると、厚生年金受給者の年金は平均月額146,000円となっています(2020年12月時点)。
つまり、国民年金保険料を満額納付し、平均的な給与額で定年まで勤めた場合、老後にもらえる年金は月額約230,000円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)となります。
国民年金だけの場合と比べると、厚生年金の加入により将来の年金額が大幅にアップすることが分かりますね!
厚生年金は、給与と加入期間によって変動するため、一律の金額が定まっていません。そこで、将来もらえる厚生年金の受給額を簡単にシミュレーションした表を以下に作成しました。具体的な計算には複数の要因が関わるため、正確な数値は個別に求めるしかありませんが、おおよその目安として参考にしてください。
厚生年金の受給額簡易シミュレーション
加入期間 \ 年収 |
10年 | 20年 | 30年 | 40年 |
300万円 | 約37,000円/月 | 約74,000円/月 | 約111,000円/月 | 約148,000円/月 |
400万円 | 約49,000円/月 | 約98,000円/月 | 約147,000円/月 | 約196,000円/月 |
500万円 | 約61,000円/月 | 約122,000円/月 | 約183,000円/月 | 約244,000円/月 |
600万円 | 約73,000円/月 | 約146,000円/月 | 約219,000円/月 | 約292,000円/月 |
700万円 | 約85,000円/月 | 約170,000円/月 | 約255,000円/月 | 約340,000円/月 |
社会保険料が発生する「106万円の壁」
パートやアルバイトで働く方は「106万円の壁」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
この言葉は、年収が106万円を超えると手取り収入が減ってしまうケースがあることを表しています。
厚生年金や健康保険に加入する基準となる収入が106万円であるため、年収が106万円を超えると社会保険料の支払い義務が生じます。
そのため、年収が106万円を超えないように調整し、いわゆる「働き損」という状態を避けようとする方が多いのです。
しかし、先述の通り厚生年金の加入により手取り収入は若干減少することがありますが、将来もらえる年金額や充実した保障も考慮すべき。
106万円の壁を大きく超えれば、減少した手取りよりも収入が上回る状態を作ることもできます。
ちなみに、社会保険加入の条件は、年収だけでなく勤めている会社の規模も関係します。
2022年10月から始まる「社会保険の適用拡大」により社会保険加入の条件が緩和されたので、今後は社会保険加入者の数は大きく増加することが予測されています。
ここで気になるのは、つまり加入したら損なの?得なの?どっちにしたらいいの?ということ。
厚生年金の加入により得をするか損をするかは、どのように判断するのが正しいのでしょうか?
厚生年金の加入で得をする?損をする?
106万円の「壁」という言葉の影響もあり、「厚生年金に加入すると損をする」という漠然とした考えを持っている方もいるようです。
厚生年金加入により損をするとはどういう状態のことを指すのか、具体的にどのようなケースがあるのかについてみていきましょう!
厚生年金の加入で損をするとは?
厚生年金に加入すると損をするというのは、支払う必要のなかった保険料を払うことになった場合のことです。
単純に保険料の支払い分が支出となるので、収入が目減りすることで損をしたと感じます。
しかし、先述したように、社会保険に加入することにより将来もらえる年金額が増え、さまざまな保証も受けられるようになります。単純に手取り額の減少だけで「損をした」と考えるのはちょっと早いかもしれません。
「働き損」ってどういうこと?
「働き損」という言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
「年収の壁」という話題が出ると「働き損」に話が進むのはよくあるので聞いたことがある方も多いかもしれません。
働き損というのは、年収が増えたことにより厚生年金に加入することになり、保険料の天引きにより手取り額が減少してしまうことを指します。
場合によっては、自分よりも年収が少ない人の手取り額を下回るケースもあることから「働き損」と呼ばれているのです。
例えば、年収105万円の場合と年収106万円の場合を比較してみましょう。
所得税額や所得控除・住民税額などを一般的なもの(所得税率10%・社会保険料15%)と仮定すると、以下のような結果になります。
・年収105万円の場合、手取り額は約103万円
・年収106万円の場合、手取り額は約89万円
年収がたった1万円多いだけなのに、こんなに違うの?!と驚きますね。106万円の場合、手取りがおよそ14万円も少ないという結果になります。
しかし、繰り返しにはなりますが、手取り収入の減少は必ずしも損だとは言えません。年金額が変わってくるからです。将来的なメリットも考慮して判断する必要があるでしょう。
年金保険料に関して、少子高齢化に伴う年金の世代間格差が問題となっています。
年金保険料を払ったのに年金が受け取れない、金額が少ない!という払い損が生じることが懸念されていますが、基本的に「払い損」にはならないと日本政府は見解を表明しています。
また、厚生年金に加入すると得をするケースもあるのです。
【最新情報】「年収の壁・支援強化パッケージ」で働き損を解消する!
年収の壁問題に対応し、人手不足を緩和する施策として、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を導入しました。
先述した通り年収の壁とは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が一定の収入を超えると、税金や社会保険料が急増し手取り収入が減る現象で、働きたくても年収の壁を意識して労働時間を調整せざるを得ないという方が多数いました。
この問題に対処するため、2023年10月からキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)が導入され、企業に対して労働者1人当たり最大50万円の助成金が支給されるようになっています。
助成金が出ることにより、年収106万円の壁を超えても、それにより増加した保険料負担分の賃上げや手当が支給され、手取り年収が減らずに済むというのが狙いです。
さらに、130万円の壁への対策も用意されており、配偶者収入が一時的に130万円を超えても、事業者が提出する証明書で扶養家族認定の継続を可能にする仕組み作りが行われました。また、企業による配偶者手当の見直しが円滑に進行するように、見直しの手順を示したフローチャートも公開されています。
年収の壁・支援強化パッケージの内容を簡潔に示した表は以下の通りです。
施策内容 | 概要 | メリット |
キャリアアップ 助成金 |
企業に対して、労働者1人当たり最大50万円の助成金を支給する | 106万円の壁を超えても実質の収入が減らない |
扶養家族認定 の継続 |
一時的に130万円を超えた場合、証明書により扶養家族を継続可能 | 短期的な収入増加では扶養から外れなくて済む |
厚生年金への加入で得することはできるのか?
パート・アルバイトとして働く方が厚生年金に入ることで、本当に得ができるのでしょうか?
結論から言えば、得するケースもあれば損を被るケースもありますので、以下にて各ケースの特徴をご紹介します。
厚生年金加入で得をするケース
例えば「納税者が自営業、配偶者がパート」というケースは、配偶者が厚生年金に加入することで得をすると考えて良いでしょう。
上記のケースでは、配偶者はもともとパートとして働いており、国民年金保険料を支払っていました。そこに配偶者の年収が上がり厚生年金加入条件も満たすことで、厚生年金にも加入したとします。
その場合、パート先の会社が半額を負担してくれて厚生年金額が高くなります。
夫婦ともに国民年金のみの加入だった場合に比べて、将来の年金が増えることになるでしょう。
厚生年金加入で手取りが減るケース
厚生年金に加入することで、手取りが減ってしまうケースについても考えてみましょう。
ここでは「納税者が給与所得者(第2号被保険者)、配偶者は扶養内でパート」という事例を考えます。
この場合の配偶者は第3号被保険者として納税者の扶養に入っており、社会保険料の支払いを免除されています。
パートでの年収アップなどにより厚生年金に加入した場合には、それまで支払っていなかった厚生年金保険料の分だけ支出が増えることになるのです。
保険料を払っていなかった人にとっては、いくら将来年金が増えるとはいえ、急な支出増は深刻な問題になるかもしれません。
手取り額が減ったとしても、将来的に考えれば損とは言い切れません。
しかし、子どもの教育費や一時的な支出などにより、どうしても現在の収入を下げたくないという人もいます。
現在の手取りと将来の保証の両方を考え、自分の生活に合った選択をすべきです。こちらの記事も併せてお読みください。
厚生年金の加入条件・対象は?
厚生年金の加入条件
平成28年10月1日より加入対象が広がった厚生年金ですが、現在厚生年金の加入をしなければならないのは以下どちらかのケースに当てはまる人です。
ケース1:「短時間労働者の要件」全てに該当した場合
1.週20時間以上働くこと
2.給料が月額で88,000円以上であること
3.社会保険対象の従業員数が501名以上の企業で働いていること
4.1年以上働くことが見込まれること
5.学生でないこと
なお「3.社会保険対象の従業員数が501名以上の企業で働いていること」について、従業員が500人以下の企業であっても、雇用主と労働者が合意(労使合意)していれば加入が可能です。
また、2022年10月からは従業員数100名以上の規模へ、2024年10月からは従業員50人以上の規模へ適用範囲が拡大されることになっています。
新しいルールについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
ケース2:週あたりの勤務時間が正社員の4分の3以上、もしくは、月あたりの勤務日数が正社員の4分の3以上
一般的には、週あたりの勤務時間が正社員の4分の3=週30時間、と考えられています。
週30時間以上の場合には、社会保険加入が義務付けられますね。
勤務先の被保険者数がどれくらいいるのかは聞いてみないとわかりませんので、確認してみましょう。
「1年以上働くことが見込まれること」についても各社ルールがあるようです。あわせて確認してみましょう。
参照:厚生労働省「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」
2022年・2024年に社会保険の適用範囲が拡大
法律改正にともない、今後はパート・アルバイトなどの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されました。
適用範囲の拡張により、今まで厚生年金保険が適用されていなかった人も被保険者となる可能性があります。
以下にて適用範囲の拡張内容について解説しますので参考にしてください。
2022年10月からの改正
特定適用事業所の要件、および短時間労働者の適用要件が以下のように変わりました。
特定適用事業所の要件 | 短時間労働者の適用要件 | |
変更前 | 被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所 | 継続して1年以上の雇用が見込まれていること |
変更後 | 被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所 | 継続して2ヵ月を超える雇用が見込まれていること |
※参考:日本年金機構
2024年10月からの改正
特定適用事業所の要件が以下のように変わりました。
特定適用事業所の要件 | |
変更前 | 被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所 |
変更後 | 被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所 |
※参考:日本年金機構
どのような手続きのもと加入するの?
国民年金に加入している人が、就職したことにより厚生年金に加入すると第2号被保険者という扱いになります。では厚生年金に加入するためにはどのような手続きを行えば良いのでしょうか。
厚生年金に入るのが自営業やフリーランス・無職の人(第1号被保険者)である場合と、配偶者の扶養に入っている人(第3号被保険者)である場合などで手続きに多少の違いがあります。
ここでは、それぞれの手続き方法について解説していきましょう。
国民年金に加入している場合
国民年金は20歳以上〜60歳未満のすべての国民が加入しなければなりません。
そのため学生や自営業・フリーランス・農業従事者・無職などの方々は、第1号被保険者として国民年金に加入しているはずです。
国民年金に加入している人が、就職のタイミングで厚生年金に加入する場合には、本人が自ら役所を訪れて手続きをする必要はありません。
国民年金のみに加入している第1号被保険者が、厚生年金に加入して第2号被保険者に切り替える際は、勤務先の会社が年金事務所に届けを出すことになります。
切り替えのあとは、会社の給与から厚生年金保険料が天引きされ、国民年金の保険料もその中から支払われる仕組みです。そのため国民年金だけを自ら納める必要もなくなります。
国民健康保険に加入している場合
国民健康保険(国保)に加入している人が、就職して会社の社会保険(社保)に加入する場合には以下に注意してください。
国保から社保へ変更する場合には、国保から脱退するための手続きを自分で行う必要があります。
手続きの詳細については自治体ごとに異なる場合があるため、居住している市区町村に確認しましょう。
脱退の手続きには以下のものが必要になります。
・加入した社会保険証(写しでも可)
・以前の国民健康保険被保険者証
・運転免許証やパスポート等の確認書類
上記以外に、本人以外が手続きを行う場合には委任状も必要になります。
脱退手続きを行わなかった場合は、重複して保険料を払うことになるので十分に気をつけてください!
配偶者の健康保険に加入している場合
厚生年金保険に加入している配偶者(第2号被保険者)の扶養に入っている場合、その人は第3号被保険者という扱いになります。
第3号被保険者が、就職などで厚生年金保険に加入し第2号被保険者になる際にはどのような手続きが必要なのでしょうか。
厚生年金の加入手続きは勤務先の会社が行いますので、自ら手続きのために役所に行く必要はありません。
ただし配偶者の扶養から外れることになるため、配偶者は被扶養者を扶養から外す手続きをする必要があります。
「被扶養者異動届」と、被扶養者の「健康保険被保険者証」を配偶者の勤務先に確認してもらい、健康保険組合に提出してもらいましょう。
パートが厚生年金に加入するメリット・デメリット
パートとして働く場合でも正社員と同じように厚生年金に加入できるよう、社会保険の対象範囲を広げる取り組みがなされています。
しかし、パートの方が厚生年金に加入することで必ずしも得をするわけではありません。
加入による保険料負担の増加など、デメリットもあるでしょう。
ここではパートが厚生年金に加入することのメリット・デメリットについて解説いたします。
どのような場合にメリットが上回るかを考える際の参考にしてください。
パートが厚生年金に加入するメリット
厚生年金に加入するメリットとして、老齢年金が充実することが挙げられます。
国民年金の基礎年金部分に加えて、厚生年金の報酬比例部分が上乗せされるのです。
老後にもらえる年金額がアップすることで、将来への不安が軽減するメリットは非常に大きいでしょう。
厚生年金に加入している期間中に何らかの障害を負ってしまった場合に、障害厚生年金が上乗せされる点も見逃せません。さらに遺族基礎年金に遺族厚生年金の上乗せがあるというメリットもあります。
さらに、国民年金は全額自己負担となりますが、厚生年金は会社が半分を負担します。国民年金から厚生年金に加入するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
パートが厚生年金に加入するデメリット
第1号被保険者として国民年金に加入している人が厚生年金に加入する場合には、保険料の負担が減るメリットがあると述べました。
しかし配偶者の社会保険に加入している第3号被保険者の場合は、厚生年金に加入し第2号被保険者になることで、保険料の負担が増えるというデメリットが生じます。
扶養に入っている場合にはその分の保険料を支払う必要がありませんが、扶養を外れることで厚生年金保険料を自ら支払うことになるからです。
ただし厚生年金保険料の支払いによる負担が増えたとしても、老齢年金の額は増えることになるので、必ずしもデメリットの大きさばかりとは限らないでしょう。
手元にお金を多く残したい!パートが目指すべき年収は?
できるだけ手元にたくさんのお金を残すなら、どれくらいの年収を目指せばいいのでしょうか?
年収別にご紹介します。
◆年収103万円以下
所得税・社会保険料共にかかりません。
◆年収106万円〜130万円
103万円を超えると所得税が発生します。
かつ、前述の厚生年金の加入対象の
ケース1:「短時間労働者の要件」全てに該当した場合
に当てはまる人は、毎月8.8万円以上の収入を得ると厚生年金をはじめとした社会保険料の対象となってきます。ただし、130万円くらいまでは、負担が出てもそれほどの金額にはなりません。
※注意
社会保険の適用条件は月額賃金が8.8万円以上であるかないかのみに基づき判断し、年額(月額8.8万円×12か月≒106万円)では判断しません
◆年収130万円〜150万円
いちばん負担を感じるゾーンです。年収が増えても負担も増えるため、手取りが増えないゾーンです。
◆年収150万円以上
150万円を超えてしまうと、負担も大きいのですが、収入が大きいので、世帯全体の収入は増えます。
つまり、130万円以下で調整するか150万円以上しっかり稼ぐかを目指すのがいいでしょう。
調整する手段として、仕事量を調整する方法もありますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用するという方法があります。
老後のために年金を積み立てておけますし掛け金は全額所得控除になります。
主婦の場合は毎月23,000円まで積み立てることが出来ますので、あわせて検討してみてください。
これからパートを探す場合、この金額を目安にしてみてください。
たとえば時給が1000円だったら、週何日・何時間働けそうか?を考えるヒントにもなるはずです。
これで「働きすぎて損してしまった!」「私はもっと働けたのに、職場はシフトを増やしてくれない…」という不幸な事態も防げますよ。
扶養枠内でお仕事がしたい方も、しっかり稼いで年金を増やしたい方も、収入の事だけを考えて働くのは体力や気力が必要になります。
できれば、看護や介護など家庭の事情でお休みがしやすかったり、学生バイトより主婦パートを採用したい職場で仕事をすることがおすすめです。
主婦が働きやすい職場の求人をたくさん扱っているサイトもよかったら活用してみてください。
まとめ
パートで働いている人が厚生年金・社会保険に加入することのメリット・デメリットや、加入する際の手続きなどについて解説いたしました。
厚生年金に加入することで損をするか得をするかの境界を知っていれば、今の自分の生活に応じた正しい選択をすることができるはずです。
どのような場合に厚生年金に加入すべきなのか、手取りを優先すべきか老後の年金総額を優先すべきなのかなど、さまざまな角度からそれぞれがしっかりと考える必要があります。
年金の問題は現在の働き方だけでなく、老後までを見据えた長期的な視点に立つことが求められる問題です。
今後の働き方を考える際に、本記事を参考にしていただけることを願っています。
扶養枠調整しやすい・週3日前後のお仕事を探す|しゅふJOB
◇そもそも”年金”ってどんな制度かご存知ですか?こちらの動画もあわせてご確認ください!
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この記事を書いた人
しゅふJOBナビ編集部