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小・中学校の授業がオンライン化!【GIGAスクール構想】についてわかりやすくご紹介します

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子育のこと

 

20代のころにパソコンやインターネットが普及し始めたアラフォー以上の世代とは異なり、20代以下の子どもたちは生まれた時からインターネットが存在している、デジタル世代。

時代に合わせた学習方法を提供するため、いま授業のオンライン化が求められています。

「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現」を目指し、”GIGAスクール”が進められていることをご存知でしょうか?

 

「GIGAスクール」構想とは?

2019年12月に文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想

GIGAスクール構想とは、ひとことで言うと「これからの時代に向けた教育環境の整備を行い、1人ひとりに合った最適な教育を、全国で実現させる構想」です。

文部科学省が公表している「GIGAスクールの実現へ」では、以下のように定義をしています。


・1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育 環境を実現する

・これまでの我が国の教育実践と最先端のベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す


 

 

ひと昔前ならばワープロが使えれば事務の仕事ができましたが、今ではメールは送れて当然、Word・Excelなどの表や文章作成ソフトも使えることが当たり前になってきました。

子どもたちが社会に出るころには、さらなる変化が起きているに違いありません。

新しい社会を生きる子どもたちにとって、先端技術などを効果的に使って学習することが求められています。

 

ただし、学校によっては環境整備が遅れていたり、自治体ごとに格差も出てきています。

たとえば、佐賀県では2人で1台のパソコンを使えますが、愛知県・埼玉県では7.5人で1台のパソコンを使うような環境なのです。

そのため全国一律でICT環境を整えるために校内ネットワークの整備や、端末を整備しようとしています。

 

文部科学省では、2023年度までに、小学1年生から中学3年生までの児童生徒にむけ、1人1台の学習用端末を導入し、端末を全員が同時接続しても不具合がおきない高速大容量の通信ネットワークを整備するとしていました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅・オンライン学習の整備が急務であるとされ、2,000億円を超える補正予算案が組まれています。

 

 

具体的にどんなことが変わる?

GIGAスクール構想が実現することで、どんなことが変わるのでしょうか?


・一斉学習

従来、教師が黒板やホワイトボードなどを使って説明し、子どもたちの興味関心意欲を高める

→1人1台端末を使うことで、授業中でも1人1人の反応を教師が確認できる。子どもたちの反応をふまえて、双方向型の一斉授業ができるようになる

 

・個別学習

従来、全員がいちどに同じ内容を学習する(1人ひとりの理解度に応じて内容は変えられない)

→同時に別々の内容を学習することができるようになり、個々人の学習履歴を記録できる。1人ひとりに必要な学習ができたり、学習状況に応じて個別学習ができるように

 

・協働学習

従来は、手を挙げて発言をすることが多く、意見を発表する子どもが限られる

→画面の共有などで1人ひとりの考えをお互いにリアルタイムで共有し、子ども同士で双方向の意見交換ができるように。考えをすぐに共有して、多様な意見にもすぐに触れられる。


 

また、調べ学習で様々な情報を収集・整理・分析したり、推敲をしながら長文作成をしたり、写真・音声・動画を用いて多様な資料・作品作りに活かしたりすることもできるようになるでしょう。

 

 

GIGAスクール構想において1人1台配布される端末には、

①windows端末にWord、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトを入れるもの

②chrome OS端末にドキュメント(Wordのようなソフト)、スプレッドシート(Excelのようなソフト)、スライド(PowerPointのようなプレゼンテーションソフト)がインストールされたもの

③ipad OS端末にkeynote(プレゼンテーションソフト)、Numbers(表計算ソフト)、Pages(文章ソフト)が入ったもの

などの配布が予定されています。

 

いずれもビジネスの場で使用されているツールでもあるため、卒業後の就職活動にも役立つのではないでしょうか。

また、オンライン授業はインターネットを用いるので、海外や専門家との連携も可能です。

離島や過疎地に住む子どもたちも、多様な考えに触れる機会を持つことができます。

入院中に教室と子どもをつなげることもでき、学びの場が広がります。

オンライン教育を通して、より主体的で、深い学びができることが期待されています。

 

公式プロモーション動画では、1人1台端末環境で学校教育の姿がどのように変わるかが3分ほどでまとめられています。

 

 

教員の「働き方改革」にも

GIGAスクール構想では、1人1台端末の使用にあわせて、学習用ツールのクラウド化校務のクラウド化を推奨しています。

クラウドとは、データやアプリケーションがネットワークでつながった先にあるもので、オンライン上のサーバーのようなイメージです。

権限がある人だけがそこにアクセスしてデータを閲覧することができます。

学校で使用している名簿、出欠管理表、通知表、成績データ処理、授業の準備、経費申請など、クラウド化することで負担を大幅に軽減でき、教員の働き方改革にもつながるとされています。

教師はこれらの事務処理などで多くの時間を割かれがちですが、教室で生徒と向き合う時間が増えることも期待できます。

 

2020年12月に文部科学省が公表した情報によると、うつ病など精神的な病気で給食した公立学校の教員は1年間で5478人、前年よりも266人増えて過去最多となっています。

業務量の多さや、子どもだけでなく親、同僚との人間関係など多くの負担がある中で、さらにコロナ禍での対応を余儀なくされています。

教員の働き方改革にも、GIGAスクール構想が一役買ってくれるのかもしれません。

 

 

コロナの影響で

2020年4月、荻生田文部科学大臣は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、GIGAスクール構想を早期実現するための支援を積極的に推進する、と表明しました。

端末調達における業者選定や、コロナウイルスの感染拡大防止対応、個人宅のネットワーク環境、教師や親のリテラシーフォローはいまだ追いつかず、予定通りにはなかなか進んでいないようです。

また、他にも課題点があがってきています。

 

GIGAスクール構想の課題は

・環境整備が遅れている

『「GIGAスクール構想」について』の「学校のICT環境整備の現状(平成31年3月)」によれば、

教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数・普通教室の無線LAN整備率・普通教室の校内LAN整備率・インターネット接続率・普通教室の大型提示掃除整備率

すべてが目標値にとどいていないという報告がなされています。

 

 

・自宅環境の整備、管理が必要に

また学校だけでなく、新型コロナウイルス感染症の拡大により、家庭学習やオンライン授業などをおこなうにあたり、家庭での通信環境の整備、管理も必要となってきています。

これらにかかるコストをすべて保護者側が負担するのか?というのも議論の余地があります。

家庭の経済状況によってはICT環境を導入するのが難しいなど、格差が生まれやすいといった懸念も考えられます。

現在、生活保護対象世帯についての通信支援などが議論されています。

 

・教える側のリテラシー

教師や親などのITリテラシーも問われてくるでしょう。

「ママ、へんな画面が出てきたんだけど…」「こういうものを作りたいんだけどパパわかる?」と聞かれたとき、どう回答したら良いでしょうか。

また、個人情報の認識や、トラブルに巻き込まれないための助言も必要になるでしょう。

教える人がITやセキュリティ、ネットワークに関して知識を持っていなければ、子どもたちに適切に教えることはできません。

 

 

スクールサポーターの配置

パソコンやipadなどの設定や、インターネット環境の整備、各機器やソフトの使い方のマニュアルなどの作成を行う、ICT技術者が置かれることになります。

GIGAスクールサポーター”とよばれる人が4校に1人配置され、環境整備、マニュアル作成、納品対応、使用方法のレクチャーなどを行います。

いまのところ、ICT関係企業のOBなどが活用されることが検討されていますが、ゆくゆくは採用募集もあるかもしれません。

 

 

いつからスタートするの?

2018年度から始まった「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」。2022年度までには完了し、2023年からスタートする見込みです。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大による一斉休校などが再度起こることや、教育の支障が生じる事態に備えて、GIGAスクール構想の実現が急務となっています。

補正予算を増やし、整備を加速させる方針がとられているため、2023年を待たずにスタートする可能性もあるでしょう。

 

 

最後に

今回は、学校教育を令和にアップデートする「GIGAスクール構想」についてご紹介しました。

GIGAスクール構想とは、「これからの時代に向けた教育環境の整備を行い、1人ひとりに合った最適な教育を、全国で実現させる構想」です。

インターネットネイティブの子どもたちがこれから社会に出るための力をつけ、最先端の技術を身に着けていくことは必須となっています。

各家庭での通信費用や環境、教師や親のフォローなど、まだまだ解決すべき課題は多くありますが、新しい教育が新しい時代を生きる子どもたちの生きる力を促してくれるのではないでしょうか。

また、セキュリティ知識や各ソフトの使い方の知識は、親にもあったほうが良いものです。

IT系の仕事に就いている人にはお手のものかもしれませんが、子育てでしばらく仕事から離れていてパソコンスキル・知識が不安…という方もいらっしゃるかもしれません。

パソコン教室に通うのも良いですが、データ入力などのお仕事をしながら主流のソフトの使い方を覚えるという手もあります。まずは短期のお仕事からスタートしてみてはいかがでしょう。

 

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◆短期のお仕事:

 

◇参考

文部科学省
令和元年度補正予算(GIGAスクール構想の実現)の概要
GIGAスクール構想の実現へ

内閣府
科学技術制作 society5.0

 

 

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