アンケート調査

介護と仕事の両立「両立は難しい」95.6%「介護休業知らない」25.0%(しゅふJOB総研 独自調査)

更新日:

しゅふJOB総研

 

高齢化社会になり支援・介護が必要だとされる人は増え続けています。特に、団塊世代が70歳代に突入するためこれからの20~30年はますます介護の需要は高まるのではないでしょうか。

その反面、家庭における介護の担い手はとりわけ働き盛りの世代にあたる40~60代となり、企業でもマネジメント層を務めるなど中核を担う人が多いでしょう。家庭でも子供が小学生~高校生などまだ手を離れない年代です。子として、父母として、社会で働く人として、同時に複数の役割を求めらます。

そうした中で、家事・介護・育児など家庭の主戦力となりながら仕事の両立もしている主婦・主夫層は『介護と仕事の両立』についてどのように考えているのでしょうか。

仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』が2024年3月に公開した『介護と仕事の両立』をテーマに、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に行ったアンケート調査をご紹介します。

 

1.いま「介護はしていない」87.3%

Q.あなたは、いまどなたかの介護をしていますか(単一回答)

親の介護をしている 9.9%
子供の介護をしている 1.9%
親・子ども以外の介護をしている 0.9%
介護はしていない 87.3%

 

2.今後「介護することになりそう」52.3%

Q.「介護はしていない」と回答した方にお尋ねします。今後、介護を行う可能性についてどのように認識されていますか。最も近いものをお教えください(単一回答)

近いうちに介護をすることになりそう 9.6%
いずれは介護をすることになりそう 42.7%
現時点では介護する可能性はなさそう 28.6%
わからない 19.0%

 

3.法律で介護休業や介護休暇を取得できることを「知らない」25.0%

Q.法律で介護休業や介護休暇を取得できることをご存じですか(単一回答)

内容を詳しく知っている 4.3%
内容を少しは知っている 29.1%
言葉だけ知っている 41.6%
知らない 25.0%

 

4.介護と仕事の両立は「難しい」95.6%/介護している・していない別比較

Q.介護と仕事の両立について、どのような印象をお持ちですか。最も近いものをお教えください(単一回答)

とても難しい 70.0%
どちらかと言えば難しい 25.6%
どちらかと言えば簡単  0.9%
とても簡単 0%
どちらともいえない 3.5%

 

介護と仕事の両立について、介護している/していない別比較

◆介護をしていると回答した人のうち、介護と仕事の両立について
とても簡単…0%
どちらかといえば簡単…1.5%
どちらかといえば難しい…33.8%
とても難しい…61.8%
どちらともいえない…2.9%

◆介護はしていないと回答した人のうち、介護と仕事の両立について
とても簡単…0%
どちらかといえば簡単…0.9%
どちらかといえば難しい…24.4%
とても難しい…71.2%
どちらともいえない…3.6%

 

5.フリーコメントより

◇フリーコメントより抜粋(年代:就業形態)

・両親の介護を突然することになる経験をしましたが、とても仕事と両立は出来ないと思い退職しました(60代:今は働いていない)

・状況は人によって違うし、終わりも見えないから(50代:派遣社員)

・会社や上司が介護の苦労をしっかり理解している、その上で働ける環境、休暇をとりやすい環境であれば、両立は可能だと思います(40代:パート/アルバイト)

・状態が落ち着いていれば、規則的に両立出来るが、バタバタ次々対応しなければならなかったり、周りに頼る人がいても仕事が忙しかったり、忙しくなければ(外国人のため)それなりの世話があり、自分が家で行おうとしていることなどもあったため、なかなか難しかった(40代:その他の働き方)

・多忙期でも介護に時間を取られ、寝不足になりがち。介護対象が1人で歩けないので、体調を崩すと付き添いのために休みを取らなければならない(50代:派遣社員)

・祖父母の介助だけでも、両立が難しかったです。出張の多い仕事をしていましたが、担当する仕事を変更してもらいました。また、早く帰れるように出勤時間を前にずらしたりと、仕事先の理解があり両立はできました。ただ、体力的に辛かったです(30代:正社員)

・親の介護で欠勤をしていたらお休みが多すぎてあてに出来ないから来年の更新はしないと言われた(50代:パート/アルバイト)

・育児の時短勤務と比べて周囲の理解が得られない可能性がある(50代:今は働いていない)

・実家で親が介護を理由に仕事を辞めていた(40代:パート/アルバイト)

・仕事でも大変な上にプラスで介護になると一人ではとてもこなしきれない。自分も年を取っていくので体がもたない。時間もない(50代:今は働いていない)

・かつて介護をしたことがあり、雇用先の理解が得られず、辞めざるを得なかった(50代:正社員)

・育児と一緒で、一人ではできない(60代:今は働いていない)

・介護優先のために仕事を辞める方がいたので両立は難しいと感じています(30代:契約社員)

・徘徊の心配もあり、夜だけでなく昼間も目を離せなくなってきた時にデイサービスがない日などは1人で家に居させるのは不安。施設に入れる金銭的な余裕もない(50代:正社員)

・なかなか条件に合う仕事がない。結局いつも短時間単発の仕事しか選べなくなっている(50代:パート/アルバイト)

・育児と異なり成長をそばで見るというより衰退を見て援助していくことになり、また、自分自身も更年期に入りつつあり心身のバランスが取りづらい(40代:今は働いていない)

・親の介護で仕事を辞めた人がいる。また、私自身学生の頃に祖母の認知症と施設に入るまで親の壮絶な場面を見てきた(30代:フリー/自営業)

・介護とお仕事の時間軸が違いすぎて難しそう。あとは、体力も労力も必要で両立できそうにない!(40代:正社員)

・育児と仕事の両立も難しい中、親の介護する時は自分の年齢も上がっている為、体力的にきついと思う(40代:パート/アルバイト)

・仕事しながらは無理です。父が心臓で倒れて母が認知症の初期でしたが鬱がひどくなってどうしょうもなく派遣でしたが仕事辞めました(50代:今は働いていない)

・親の介護仕事両立は絶対出来ないと思います。私が弱かったのかもしれませんが…共倒れになります。お風呂の空焚き、物忘れは年々酷くなり、徘徊、夜中は寝てくれず私も起きてました。週3回デイサービス通ってたんですがその時だけ安心して仕事ができましたが私の体はボロボロになりました(50代:派遣社員)

・在宅でできる仕事なら可能かもしれない。でも介護は育児と違い、どのくらい続くのかわからないし、精神的に辛い(40代:パート/アルバイト)

・母が祖母の介護をする様子を見て育った。排便やお風呂の介助は体力が必要で、その上、痴呆と重なり徘徊等もあり、介護そのものが大きな仕事で、両立など考えられないことを体感したため(50代:今は働いていない)

・365日24時間待ったなしの介護は仕事とは基本両立できないと思うし、してはいけないと思うので(40代:パート/アルバイト)

・家族の介護はしてないが仕事が介護職なので、状況にもよりますが、体力が持てば両立できると思う(40代:派遣社員)

・介護、仕事 双方とも中途半端になってしまう(50代:パート/アルバイト)

・実家が遠い。実父母とも要介護状態となっており、何かと頼られるので自分の予定がたたない(50代:派遣社員)

・上手に周りの人や親族、介護保険で使えるリソースを巻きこんでフルに利用できたら、案外仕事と両立出来るかもしれない。突発的なアクシデントがあると、また両立が難しい場面があるかもしれない。どちらとも言えない(40代:パート/アルバイト)

 

6.プロはどう見る?

しゅふJOB総研(※) 研究顧問、川上 敬太郎氏のコメントをご紹介します。

 

■川上 敬太郎氏のコメント■

  育児とは違い始まりも終わりも予測がつきづらい介護。仕事の両立を希望する主婦・主夫層に「あなたは、いまどなたかの介護をしていますか」と尋ねたところ「介護はしていない」と回答した人が8割以上でした。続けて「介護はしていない」と答えた人に「今後、介護を行う可能性についてどのように認識されていますか。最も近いものをお教えください」と質問すると、「介護することになりそう」と回答した人が過半数でした。自分も介護する当事者になると考えている人がたくさんいることがわかります。さらに「法律で介護休業や介護休暇を取得できることをご存じですか」と尋ねると、1/4の人が「知らない」と答えました。内容を知っている人も3割強に留まっています。

 

 「介護と仕事の両立について、どのような印象をお持ちですか。最も近いものをお教えください」との質問には、70.0%が「とても難しい」と答え、「どちらかと言えば難しい」25.6%と合わせて実に95.6%が「難しい」と回答しました。一方、「どちらかと言えば簡単」と答えたのは0.9%、「とても簡単」と回答した人はいませんでした。主婦・主夫層の殆どが、介護と仕事の両立は難しいと感じています。また、いま介護している人としていない人とで比較すると、両立は「とても難しい」と答えた人の比率は介護していない人の方が10ポイント近く高くなりました。いま介護していない人の方が、よりシビアな印象を抱いているようです。フリーコメントには、育児とは異なる介護の大変さなど、様々な声が寄せられました。徐々に柔軟な働き方が広まりつつあるとはいえ、介護と仕事を両立させていくには、まだまだ働き方の選択肢が不足していると感じます。

 

■調査概要

調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:536名(※)
調査実施日:2024年1月17日(水)~2024年1月24日(水)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者

※調査対象者のうち、家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当 」のいずれかを選択した人のみを抽出して集計。

※当リリースに関して、研究顧問 川上へのインタビューのご要望があれば広報までご連絡ください。

 

しゅふJOB総研所長 兼 ヒトラボ編集長 川上敬太郎氏 プロフィール

川上 敬太郎(かわかみ けいたろう)/しゅふJOB総研 研究顧問 兼 ヒトラボ編集長

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。

これまでに、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ約50000人の声を調査・分析し、300本以上のレポートを配信。2021年に独立し現職の他、ワークスタイル研究家として解説記事の執筆・講演、広報ブランディング活動のアドバイザリーなどに携わる。

実務経験分野は、人材派遣・紹介・アウトソーシングなど人材サービス事業に20年以上従事し、役員・管理職として営業や新規事業の立ち上げ、広報ブランディング、経営企画、人事など事業現場の最前線から管理部門まで管轄するなど多岐にわたる。人材マネジメントから法規制まで、雇用労働分野の幅広いテーマについて多数のメディア出演などを通して意見提言を行う。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。

Facebookページ:『ヒトラボ』編集長(2011年~)/Facebookグループ:『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰(2016年~)/すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役/JCAST会社ウォッチ解説者/日本労務学会員

◇委員等
厚生労働省 委託事業検討会委員
民間人材サービス活用検討事業「民間人材サービス事業者のノウハウを活用した女性の復職促進検討会」(平成29~30年度)
労働者等のキャリア形成・生産性向上に資する教育訓練開発プロジェクト事業「プログラム検討委員会」(平成29~31年度)
日本人材派遣協会
派遣事業運営支援部会員(平成20~21年、24年)、内閣府 規制改革会議 雇用WG勉強会(平成26年)など

◇メディア出演
NHK『あさイチ』解説、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』パネラー、フジテレビ『みんなのニュース:ふかぼり』解説などのテレビ出演の他、ラジオ・新聞・雑誌・ビジネス系ウェブメディアなどでコメント多数

◇執筆・その他
ITメディア連載『働き方の見取り図』/JCAST会社ウォッチ連載『ここがヘンだよ会社の常識 ~兼業主夫のひとりごと』他、JBpress、日本経済新聞、日経MJ、時事通信、BUSINESS INSIDER JAPAN、NEWSポストセブンなど執筆・寄稿記事多数。大学や地方自治体、男女共同参画センターなどでの講演、パネルディスカッションのモデレーターも務める。

 

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<しゅふJOB総研について>
「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」そんな志から始まった2011年設立の研究所です。ライフスタイルと仕事の望ましいバランスに対する社会の理解を高め、女性のみならず誰もが働きやすい職場をより多くつくっていくために、定期的なアンケート等の調査を実施し結果を社会に発信しています。

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過去の調査結果はこちら
https://www.bstylegroup.co.jp/news/shufu-job/

しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託しています
http://bit.ly/2n8jHIJ

 

 

<ビースタイルグループについて>

『時代に合わせた価値を、創造する。』という存在意義 -PURPOSE- のもと、その時代の社会問題や人々の不便を革新的な事業によって解決しようと取り組んでいます。創業以来、しゅふの雇用をのべ18万人以上創出してきた「しゅふJOB」や、多様な働き方×ハイキャリアを実現する「スマートキャリア」などの人材サービス事業を主軸に、業務自動化支援にも取り組み、使命 -MISSION- 『「はたらく」をもっと、しあわせに。』を、人と仕事の適材適所によって実現してまいります。

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