【東京都】第1子の保育料無償化を解説|2025年9月から
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東京都の保育無償化において、2025年9月以降は対象を拡大し、0歳から2歳の第1子も保育料が無償化の対象となりました。国による保育無償化とはどのような違いがあるのでしょうか。保育料は子どもを育てる家庭において大きな負担のひとつです。第1子も保育料が無償化されることで、仕事と子育ての両立がしやすくなるでしょう。
本記事では東京都の保育無償化についてわかりやすく解説します。東京都にお住まいで妊娠中やこれから出産を迎える方はもちろん、保育料の負担に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
もくじ
東京都の保育料無償化とは
東京都の保育料無償化とは、0歳から2歳までの第2子にあたる子どもに対する保育料を無償化する独自の制度です。
東京都における保育料無償化の現行制度では、2023年10月以降、0~2歳の第2子以降である子どもに対する保育料を無料としてきました。現行制度の対象は、都内に住んでいて、都内の認可保育園等に通っている0歳から2歳まで、かつ第2子以降です。親の所得制限や上の子どもに対する年齢制限もありません。
ただし、無償化対象をあくまでも第2子以降の子どもとしており、第1子は全額保護者負担でした。
東京都では第1子の保育料無償化を開始予定
東京都では、独自の保育料無償化制度を展開しています。2025年9月からは、新たに対象を拡大し、第1子の保育料も無償化されました。第1子の保育料無償化が始まったことで、認可保育園等を利用する全世帯の子どもが無料で保育を受けられるようになります。
参照:「保育料等の無償化について|保育サービス」 東京都福祉局

東京都が保育料を無償化するまでの流れ
東京都が保育料の無償化を開始したのは2023年10月です。保育無償化までの流れを以下でご説明します。
2019年10月、国が保育無償化を開始
保育無償化の流れは、2019年10月に遡ります。国が「幼児教育・保育の無償化」を開始したことにより、3歳から5歳までの子どもと住民税非課税世帯における0歳から2歳の子どもを対象に保育料が無償化されました。
2023年10月、東京都は2人目以降の保育料を無償化
その後、東京都独自の制度として0~2歳の第2子の保育料を無償化しています。2023年10月までは、0歳から2歳までの第2子は保育料の半額、第1子の場合は全額負担とされていました。東京都独自の保育料無償化が始まったことにより、子どもが複数いる家庭の負担が減ったことになります。
2025年9月、東京都が0歳から2歳の第1子の保育料を無償化
2025年9月からは、東京都における保育無償化を「第1子(0から2歳)」に拡大しました。これにより、東京都では年齢や所得にかかわらず、すべての家庭において保育無償化が実現します。ただし、認証保育所や認可外保育園などの場合は、お住まいの地域によって無償化対象や補助額が異なります。
全国の各自治体でも無償化や支援を実施
国による保育無償化を始めとして、全国の各自治体でも無償化に取り組んでいます。たとえば京都府京都市では、所得や同時入所などの制限を設けず、2人目以降の保育料無償化を2025年4月から行っています。
また、大阪府大阪市においても、2026年秋ごろから0歳から2歳における第2子以降の保育料無償化が始まる予定です。
参考:『京都市:2人目以降の保育料無償化の開始へ』京都市
参考:『令和8年秋頃より企業主導型保育事業の0~2歳児の保育料無償化を実施します』
保育料無償化の条件
認可外保育園や認証保育園などを利用する場合も、保育料無償化の対象です。認可外保育園などで無償化対象になるには、利用する施設が国の基準を満たし、自治体の確認を受けている必要があります。その上で、自治体から「保育の必要性」が認められた「3歳から5歳までの子ども」と「住民税非課税世帯における0から2歳までの子ども」については、保育料の助成額が設定されています。
認可外保育園などにおける、保育料無償化の内容は以下のとおりです。
| 対象者 | 国の幼児教育・保育の無償化(助成額) |
| 住民税非課税世帯における0~2歳までの子ども | 月額42,000円を上限に無償化 |
| 3~5歳までの子ども | 月額37,000円を上限に無償化 |
ただし、上記の無償化以外にも、独自の制度として認可外保育園等を利用する子どもに対する助成をしている自治体も少なくありません。
さらに、2025年9月以降は、東京都の保育無償化制度を第1子まで拡大することにより、認可外保育園に対する助成額も増える見込みです。
参照:「幼児教育・保育の無償化」こども家庭庁
参照:「認可外保育施設の保育料無償化について|事業者の方へ(通知・事務連絡・お知らせ)」東京都福祉局
参照:「保育料等の無償化について|保育サービス」 東京都福祉局
給食費は区や市によって扱いが異なる点に注意
保育料が無償化されても、主食費や副食費(おかずやおやつ)などの扱いは、自治体によって異なります。給食費も保育料の一部としてみなしていれば負担はありませんが、給食費が保育料に含まれていない場合は、給食費は無償化対象外として実費負担です。お住まいの自治体における保育料の定義は、ホームページなどで確認しましょう。
【独自調査】保育園無償化、働く主婦はどう思っているか
『しゅふJOB』の調査機関(しゅふJOB総研)は、国による『幼児教育・保育の無償化』について、働く主婦へのアンケート調査結果を2019年9月27日に公表しました。国による幼児教育・保育の無償化が始まる直前、働く主婦はどのような思いで保育無償化について感じているのでしょうか。
本アンケート調査によると、幼児教育。保育の無償化に賛成か反対かという点について半数近くの方が賛成していることがわかります。

また、「子育て環境への影響を考えた場合、幼児教育・保育の無償化についてどう思いますか(複数回答)」という質問において、
| 幼児期の子どもがいる家庭の生活費が助かる | 55.8% |
| 子どもを保育施設に預けて働きに出る人が増える | 30.9% |
| 幼児期でも子育てとの仕事の両立がしやすくなる | 21.4% |
| 子どもを産みやすくなり出生率が上がる | 14.8% |
など、好意的な意見があります。保育料の負担が減ればその分の生活費が浮くことになることを多くの人が実感しているようです。また、仕事と育児の両立がしやすくなることや出生率向上への期待も持たれています。
一方で、
| 小中学生や高等教育の子育て支援を手厚くすべき | 小学生17.3%
中学生17% 高等教育38.9% |
| 待機児童が増えないか心配 | 24.9% |
といった不安や意見も目立ちます。
現在は、地域による高校無償化や国の大学無償化制度も開始されているため、高等教育における子育て支援は進んできており、幅広い年代の子どもがいる世帯へ支援が広がっています。
参照:「【幼保無償化、働く主婦はどう思う?】年代間で認識落差・・・30代以下「生活費助かる」7割 。幼保無償化に賛成/30代以下:61.5%、40代:40.6%、50代:44.0%」ビースタイルグループ
国による幼児教育・保育の無償化とは
「第2子以降の保育料無償化」や2025年9月以降の「第1子の保育料無償化」は、東京都独自の少子化対策です。では、国による保育無償化制度はどのような内容なのでしょうか。併せて確認してみましょう。
国の幼児教育・保育の無償化の概要表
国による保育無償化制度の概要を一覧表で確認してみました。
| 子どもの年齢 | 内容 | その他 |
| 0~2歳 | 住民税非課税世帯は無償化
※認可外保育園等では月額4.2万円まで |
課税世帯であっても、子どもが2人以上いる家庭は、年収によって第2子以降の保育料負担が減額される
年収360万円未満:認可保育園や認定こども園を利用する場合、第1子の年齢を問わず第2子半額、第3子以降は無料 年収360万円以上:認可保育園や認定こども園を同時に利用する第1子がいれば、第2子は半額、第3子以降は無料 |
| 3~5歳 | 無償化対象
※認可外保育園などは、月額3.7万円まで |
特になし |
特に注目したいポイントは、0歳~2歳の保育料です。原則として、住民税非課税世帯は0歳~2歳までは保育料が無償化されますが、課税世帯であっても多子世帯であれば第2子以降の保育料負担額が緩和されます。この場合、年収360万円を境に、第1子のカウント方法が異なるため注意しましょう。
関連記事:幼児教育・保育無償化について解説|制度内容や注意点も
年収360万円未満の世帯
| 3~5歳 | ・幼稚園・認可保育園・認定こども園、地域型保育のいずれに通っていても無償化対象
・給食やおやつなどの副食費も無料 ※幼稚園は満3歳から、保育園は満3歳になったあとの4月1日からが対象。 ※子ども・子育て支援新制度の対象にならない幼稚園に通っている場合、月額2.57万円まで 補助 ※認可外保育施設・認証保育園などは月額3.7万円まで無償 ※企業主導型保育事業に通園している場合は、利用料から年齢に応じて一定額を減額 ※障害児発達支援を受けている場合、満3歳になったあとの4月1日~小学校入学までの3年間無料(幼稚園、保育所、認定こども園と併用する場合どちらも無料) |
| 0~2歳 | 住民税非課税世帯は無料。認可外保育園でも月額4.2万円まで無償
認可保育園・認定こども園を利用する場合、第1子の年齢を問わず第2子は半額、第3子は無料 |
年収約360万円以上の世帯
| 3~5歳 | ・年収360万円以上の世帯では、幼稚園・認可保育園・認定こども園のいずれに通っていても無償化対象
・第3子以降は給食費やおやつなどの副食費も無料 ※幼稚園は満3歳から、保育園は満3歳になったあとの4月1日からが対象。 ※子ども・子育て支援新制度の対象にならない幼稚園に通っている場合、月額2.57万円まで補助 ※認可外保育施設・認証保育園などは月額3.7万円まで無償 ※企業主導型保育事業に通園している場合は、利用料から年齢に応じて一定額を減額 ※障害児発達支援を受けている場合、満3歳になったあとの4月1日~小学校入学までの3年間無料(幼稚園、保育所、認定こども園と併用する場合どちらも無料) |
| 0~2歳 | 住民税非課税世帯は無料。認可外保育園でも月額4.2万円まで無償
認可保育園・認定こども園を同時に利用する最年長の子どもを第1子とカウントして第2子は半額、第3子以降は無料 |
このように、多くの共働き家庭(年収360万円以上の家庭)では、兄弟姉妹の年齢差がある場合に上の子どもが保育園を卒園してしまえば第1子としてカウントされなくなってしまいます。
第1子(兄姉)が小学生になったら、第2子だった子どもの保育料は全額になり、第3子が半額、第4子以降は無償化となるのです。
ただし1号認定(幼稚園)を利用している場合は小学校3年生までは第1子としてカウントされ、小学4年生からはカウントされなくなります。

東京都の保育無償化による影響
東京都の保育無償化の取り組みによって、どのような影響が起こり得るのでしょうか。考えられる点をご紹介します。
自治体による差が生じる可能性がある
東京都の保育無償化は、一律で無償化とするのではなく、各自治体の助成する姿勢を支援しています。そのため、自治体によって保育無償化の内容に差が生じることがあるのです。たとえば、助成金の額や東京都の第1子無償化に先駆けて自治体が独自に第1子を対象に無償化のための助成を行うなどするケースもあります。
多くの自治体が無償化を進める一方で、内容に差が出てしまうこともあり得るのです。その結果、子どもを育てやすい自治体に人口が集まりやすく、無償化などを進められていない自治体の人口が減少するなどの問題が拡大する可能性もあるでしょう。
東京以外の地域における保育料無償化のきっかけになる
東京都が保育料を無償化することで、東京都以外の地域が保育料の無償化や負担軽減を開始するきっかけにもなるでしょう。全国的に保育料無償化が拡大されれば、保護者の金銭的負担が減ることになるため、働きながら子どもを産んだり育てやすくなったりするはずです。
施設側の負担が大きくなる
保育料が無償化されることにより、新たに保育園へ預けたいと考える人が増えます。たとえば、これまで定員に空きがあった保育園が満員になれば、現場で働く保育士の負担が増えることになります。また、これまでも満員の保育園で受け入れる子どもの人数に変わりがなかったとしても、施設側の事務作業の負担が大きくなります。施設側の負担が重くなれば、離職につながることも考えられ、人材不足が加速する可能性もあります。
保育園側の課題
東京都による保育園の無償化が進むことで、家計負担が和らぐだけでなく、経済的な観点から「子どもを預けて仕事をしたい」と考える保護者が多くなる可能性もあります。これまでよりも保育園利用者が増える場合、保育士への負担軽減や安心して預けられる環境整備が必要とされるでしょう。保育園側は、保育士の人材確保や業務効率化、保育環境の整備などの課題に取り組むことが求められます。
まとめ|東京都は第1子も保育無償化!国や他の都道府県の今後にも注目しよう
東京都は、2025年9月以降、第1子も保育料無償化を実現します。これまでは、第2子以降が無償化対象とされてきたため、子どもが1人の家庭や多子世帯であっても第1子分の保育料は、保護者が負担しなければなりませんでした。
第1子からの保育料が無償化されることにより、多くの家庭で負担が減り、働きながら子どもを育てることがしやすくなるはずです。
ただし、自治体によって無償化の内容(助成額など)は異なるため、必ず公式ホームページなどで確認しましょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。






















