アンケート調査

緊急事態宣言の解除に対する年代別傾向調査 「解除に慎重な姿勢」<しゅふJOB総研調査>

更新日:

しゅふJOB総研

 

2021年の幕開けとともに感染者数が爆発的に増えている、新型コロナウイルス。

昨年に引き続き猛威を振るい、2度目の緊急事態宣言発出となりました。

昨年4月~5月の緊急事態宣言では、都心部からはじまり、全国47都道府県全体に範囲が広げられました。

今回の緊急事態宣言では1都3県から緊急事態宣言が発出されましたが、13日には大阪・京都・兵庫が追加される見込みで、愛知・岐阜も緊急事態宣言の要請をしています。

2度目の緊急事態宣言は全国に拡大されたり、期間が延長されたりするのでしょうか、また、解除されることは良いことなのでしょうか。

『緊急事態宣言解除』をテーマに主婦層に行ったアンケート調査を見てみると、年代が低いほど「緊急事態宣言解除に慎重」だったという結果が出ているのです。確認してみましょう。

 

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緊急事態宣言が解除されたこと「良かった」37.7%

「全都道府県で緊急事態宣言が解除されたことをどう思いますか?」という問いに対して、37.7%の人が「良かった」と回答しています。年代別にデータが再分析されているので見てみましょう。

 

緊急事態宣言解除の賛否:年代別比較

年代別で見ると、30代以下の回答者は緊急事態宣言を「良かった」「悪かった」ととらえるより「わからない」と回答した人が過半数となり、慎重な姿勢を示しています。

「良かった」と回答した人は年代が上がるとともに増え、50代以上の層と30代以下の層と比較して「良かった」と回答した人が13ポイント近く高くなっています。

 

また、緊急事態宣言発令中と、解除後の行動を変えたいことについてのアンケートも見てみましょう。

宣言発令中と行動を変えたいこと「外食に出たい」43.6%

「緊急事態宣言発令中と行動を変えたいことはありますか」という問いに対して、回答者の約半数が「外食をしに出かけたい」と回答しています。

全国一斉休校で子どもが家にいたり、子どものために出社ができない親が家で面倒をみたり、テレワーク推奨による在宅勤務化により、家で家族そろって3食食べる機会が多かったことからも「外食をしたい」という希望が強かったのではないでしょうか。

また、都道府県をまたいだ移動が制限されていたことからも「都道府県をまたいで移動したい」が2番目に多い回答数となったと思われます。

ここでも回答を年齢別に分けて比較してみましょう。

 

緊急事態宣言発令中と行動を変えたいこと:年代別比較

年代別の回答を見てみましょう。回答が多かった順に1~5番をまとめてみました。


<30代以下>

1.買い物に出かけたい 45.4%
2.外食しに出かけたい 41.2%
3.遊びに出かけたい  40.3%
4.都道府県をまたいで移動したい 30.3%
5.コロナ禍が完全に収まるまでは行動は変えない 27.7%

<40代>

1.外食しに出かけたい 43.4%
2.都道府県をまたいで移動したい 38.4%
3.買い物に出かけたい 37.3%
4.遊びに出かけたい 30.7%
5.コロナ禍が完全に収まるまでは行動は変えない 23.4%

<50代以上>

1.外食しに出かけたい 44.4%
2.都道府県をまたいで移動したい 36.7%
3.買い物に出かけたい 33.6%
4.趣味や習い事に出かけたい 25.6%
5.遊びに出かけたい 22.9%


子育て世代でもある30~40代は「買い物に出かけたい」「遊びに出かけたい」という回答が多く見られます。

全国一斉休校を行ったため子どもたちがずっと家にいる状態になり、子どもの運動不足やストレスにより家の中で過ごすのはもう限界!という声も聞こえていたので、そういった要因もあるかもしれません。

また、「コロナ禍が完全に収まるまでは行動は変えない」が回答上位5つ以内に入りました。

50代以上の層では「趣味や習い事に出かけたい」が上位回答5つ以内に入っています。小さい子どもがいる世代と比べて比較的自分の時間を持ちやすくなり、習い事や趣味をしている人が多い世代です。

緊急事態宣言中は業種を問わず多くの店舗が営業自粛となったため、営業再開を心待ちにしていた方も多いのではないでしょうか。

 

フリーコメントより

◇フリーコメントより抜粋(年代:就業形態)

【30代以下】

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良かった」と回答した人の理由>

・一旦、区切りにはなったと思うため(30代:契約社員)
・いつまでも外出自粛しているわけにもいかないし、自粛したからと言って病気がなくなるわけでもない(30代:パート/アルバイト)
・これ以上自粛すると、日本の経済が、もう限界だから(20代:パート/アルバイト)
・育児がつらいから(30代:派遣社員)
・解除しないと収入がなくなり困るから(30代:パート/アルバイト)

 

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良くなかった」と回答した人の理由>

・まだコロナは完全には落ち着いてはいないと思う(20代:今は働いていない)
・解除されたことでかなり人出が増え、2週間後の感染者数が増えていないか不安。コロナが終息してないから、できるだけ不要な外出は控えるべきと思う(30代:派遣社員)
・ウイルスがなくなったと思っているバカが多いから(30代:今は働いていない)
・余波に対する対策が何もない。主語もなしに「頑張る」ってふわっとした言葉だけ(20代:パート/アルバイト)
・まだまだ危険だと感じているから(30代:パート/アルバイト)

 

【40代】

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良かった」と回答した人の理由>

・これ以上の自粛生活は耐えられなかったから(40代:パート/アルバイト)
・経済活動が再開できる企業が増えるから(40代:派遣社員)
・いつまでも自粛をすると経済が壊滅的になる。実際には自殺者や企業の倒産もある(40代:派遣社員)
・これ以上伸ばしたところで、コロナはなくならない。それならば、コロナと共存するために、どのように生活するか早めに取り組んだほうがいいと思う(40代:パート/アルバイト)
・自粛を呼び掛けてもしない人もいる。それにイライラするよりも各自の判断で生活を維持する方が精神的に楽(40代:パート/アルバイト)

 

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良くなかった」と回答した人の理由>

・時期尚早ではないかと思う。東京都は特に(40代:契約社員)
・原因不明のまま解除は危険だと思う。生活困窮者の方を救済して欲しい(40代:今は働いていない)
・まだ時期が早い。新しい生活方式が正しく浸透していない(40代:今は働いていない)
・油断する人が増えるから(40代:パート/アルバイト)
・ウィルスがなくなったわけではないので、完全に終息するまでは不安(40代:パート/アルバイト)

 

【50代以上】

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良かった」と回答した人の理由>

・完全ではなくても、出口があれば次また頑張れるから(50代:派遣社員)
・まだ不安だが、少し経済が活発になると思ったので(50代:今は働いていない)
・経済活動の限界(60代:今は働いていない)
・長くウイルスと共存できるようになるまで掛かりそうなので小休止や経済活動が必要なので(50代:その他の働き方)
・自粛期間中に身についた予防への意識も強まったことからコロナへの懸念はありますが活気と笑顔が出て来ています(60代:今は働いていない)

 

<2020年5月に緊急事態宣言が解除されたことについて「良くなかった」と回答した人の理由>

・冷静な行動がなければまた元の状態になる可能性があるため(50代:パート/アルバイト)
・軽く考えている人が行動を制限しない(50代:契約社員)
・本当に治まったのだろうか?検査数との関係で出た数字にいちいち反応して大丈夫だろうか?と不安です(50代:今は働いていない)
・まだ安心できるとは思えない(50代:パート/アルバイト)
・まだ毎日感染者が報告されている地域及び周辺ではもっと慎重であるべき(60代:パート/アルバイト)

 

プロはどう見る?

しゅふJOB総研(※) 所長の、川上 敬太郎氏のコメントをご紹介します。

 

■川上 敬太郎氏のコメント■

2020年5月にコロナ禍による最初の緊急事態宣言が解除された際に、仕事と家庭の両立を希望する働く主婦層に「全都道府県で緊急事態宣言が解除されたことをどう思いますか」と質問したところ、「良かった」と回答した人の比率が「良くなかった」と回答した人の2倍以上という結果でした(※)。そして今年1月8日、1都3県を対象に二度目の緊急事態宣言が発出され、対象範囲はさらに広がりそうです。

前回の調査では、臨時休校の対象となった子どもの有無別で緊急事態宣言解除の賛否に違いがあるか分析しましたが、大きな差異は見られませんでした。今回二度目の緊急事態宣言発出に当たり前回の緊急事態宣言時に行った調査を再分析したところ、緊急事態宣言解除に対して年代別の傾向に違いがあることがわかりました。30代以下の層では、緊急事態宣言解除を「良かった」と捉えている人と「良くなかった」と捉えている人の比率差が他の年代より少なく、過半数が「わからない」と回答しています。「良かった」と回答する比率は年代が上がると共に上昇し、50代以上の層では30代以下の層より13ポイント近く高くなっています。一方、「わからない」と回答した人の比率は年代が上がるにつれて減少していました。

新型コロナウイルスについては低い年代層は重症化しづらいと言われますが、30代以下の層の方が前回の緊急事態宣言解除に対しては慎重な姿勢を示していたようです。一方、年代層が上がるにつれて反比例する形で「わからない」と回答する比率が低くなるのは、未曽有の事態に対する経験値の違いが表れている可能性もあります。バブル崩壊や阪神淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災など、何度も未曽有の危機を乗り越えてきた年代層は、経験の少ない年代層よりは未曽有の危機に対する気持ちのゆとりにおいて一日の長があると見ることもできそうです。しかしながら、その気持ちのゆとりが緩みや油断につながってしまわないよう配慮も必要です。フリーコメントの内容を見る限り、前回の緊急事態宣言解除時に懸念されていた内容は、今も通じるように思います。辛い状況が続きますが、前回の緊急事態宣言時の経験を活かし、国民同士互いに協力しあいながら乗り越えていくことができればと願います。

※緊急事態宣言解除で、主婦たちがしたいこと:https://www.bstylegroup.co.jp/news/shufu-job/news-20370/

 

調査結果概要

1.前回調査より:緊急事態宣言が解除されたこと「良かった」37.7%
2.緊急事態宣言解除の賛否:年代別比較
3.前回調査より:宣言発令中と行動を変えたいこと「外食に出たい」43.6%
4.緊急事態宣言発令中と行動を変えたいこと:年代別比較
5.フリーコメントより

 

調査概要

調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:1000名
調査実施日:2020年5月27日(水)~2020年5月29日(金)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者

 

しゅふJOB総研所長 兼 ヒトラボ編集長 川上敬太郎氏 プロフィール

川上 敬太郎(かわかみ けいたろう)/しゅふJOB総研所長 兼 ヒトラボ編集長

人材派遣、紹介など多様な人材サービス事業に20年以上携わり、事業現場の最前線から経営企画・人事・広報などの管理部門まで、あらゆるセクションの責任者を歴任。2011年に設立したしゅふJOB総合研究所では、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦層”のべ約35000人の声を調査・分析。同年開設した『ヒトラボ』(https://www.facebook.com/hitolabo.jinzai/)では、人材サービスの公益的発展に資することを目的に、日々様々なテーマを取り上げて議論の場を提供。その他、人材マネジメントや法規制など、雇用労働分野の幅広いテーマについて意見提言を行う。男女の双子を含む4児の父。

◇メディア出演等
NHK『あさイチ』解説、フジテレビ『みんなのニュース:ふかぼり』 解説、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』パネラー出演、他新聞・テレビ・雑誌などでコメント多数

◇執筆・その他
マネープラス連載『ワークスタイルの見つけ方』:https://media.moneyforward.com/series/13
日本経済新聞/日経MJ/時事通信/NEWSポストセブンなど執筆・寄稿多数/大学や男女共同参画センターなどでの講演、モデレーターなど/JCAST会社ウォッチ解説者、日本労務学会員

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<しゅふJOB総研について>
「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、 もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」そんな志のもとにつくられた研究所です。「女性のライフスタイルと仕事への関わり方」に対する社会の理解を高め、女性の働きやすい職場をより多くつくっていくために定期的なアンケート等の調査を実施、結果を社会に発信しています。しゅふJOB総研公式ツイッター
https://twitter.com/shufujobsoken過去の調査結果はこちら
https://www.bstylegroup.co.jp/news/shufu-job/しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託しています
http://bit.ly/2n8jHIJ

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