【産休・育休のQ&A】休業の繰り上げ・繰り下げ・途中終了などルールを徹底解説!
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子育のこと
「申請していた日よりも早く子どもが生まれた!」
「育休期間を切り上げて職場復帰したい…できるもの?」
など、職場復帰を前提に出産期間に入る場合、休みの取り方や終わり方をもっと詳しく知りたい!と思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、育休の取得ルールについてよくあるQ&Aでご紹介していきます。
職場復帰後、子どもの体調不良や通院をする事も見据えて…復帰後の休暇の取得方法についてもご紹介します。参考になれば幸いです!
もくじ
育児休業をとりたい!いつからいつまで取得できる?
育児休業を取得する場合、出産した子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで休業をすることができます。
「双子の場合は2歳まで取れるってホント?」という噂もありますが、双子でも三つ子でも育児休業期間は変わらず、子どもが1歳を迎える前日まで。
ただし、出産前の休暇は、単胎出産の場合は6週間前から取得になりますが、多胎(2人以上の出産)の場合は14週間前から取得することができます。
また、健康保険に加入している人であれば出産育児一時金として1人あたり50万円をうけとることができます。子どもの人数×50万円なので双子の場合は×2、三つ子の場合は×3受け取りが可能です。
育休取得条件などもう少し詳しく知りたい場合はこちらの記事も参考にしてみてください。
育休を予定より早くから取り始めたい!…前倒しスタートはできる?
予定日よりも早く生まれた!という場合、産後休暇が終わったらすぐ育休をスタートしたいですよね。
早産などで予定より早く取得したい場合は1回に限り、休業開始1週間前までに申し出ることで変更ができます。
また、次の理由の場合は育児休業開始日の繰り上げができます。
・出産予定日前に子どもが生まれた
・配偶者が亡くなってしまった
・配偶者の負傷、疾病
・配偶者と同居解消をした
育休を予定より遅らせて取得したい…後ろ倒しも可能?
予定日はあくまで予定日、もうちょっとお腹の中でゆっくりしてきたい子もいます。
予定日よりも後ろ倒しで育休をとりたい場合、法律上では1か月前に申し出て、1回だけ日程を変更できます(※育児介護休業法第7条)。
ちなみに、夫が妻の出産にあわせて育児休業を取得しようとしていたのに、出産が遅れたため、子どもが生まれていないのに育児休業期間になってしまった!というケースもありますが、法律上では休業開始日の1か月前に申し出なくてはいけません。
ただし、この休業開始日を早める・遅らせることについては法律上に規定はなく、事業主はそれらの希望があったら変更を認めてもいいことになっています。会社と相談してみることをおすすめします。
※なお、施行日が決まっていませんが男性の育児休業取得が柔軟になるよう、申請日を原則休業の2週間前までに変更する改正が予定されています。施行日が決まったらこちらの記事を更新しますので、併せてご確認ください。
育休早めに終了します…これはできる?
「家計が厳しい……育児休業を早めに終了して、職場に復帰したい!」という方もいるでしょう。
絶対に休暇をとらなくてはいけないのでしょうか?
産後休暇は取らなくてはいけない
出産後は、出産の翌日から8週間は休暇を取らなければいけないことが労働基準法で定められています。
たとえ本人が大丈夫!働きたい!と言っても、雇用主は働かせてはいけません。
ただし、例外措置として「産後6週間を経過した女性が希望した場合で、医師が支障がないと認めた業務に従事する場合は働かせることができる」とされています。
医師からOKを貰う場合は診断証明書などを貰って企業に提出することが多いので、もし希望する場合は忘れず書類を貰いましょう。
産前産後休暇は、出産という体に負荷がかかる大仕事を成し遂げた女性の健康を守るための制度です。
できるだけ、しっかり体を休めて気持ちと体が一致してから仕事をすることが望ましいのではないでしょうか。
育児休業の終了日を早めることもなかなか難しい
では、育児休業を早めに切り上げて職場復帰したい場合はどうでしょうか。
育児休業の終了日を早めることは、認められていないケースがほとんどです。
たとえば、産休・育休の期間、あなたの代わりに働く人を採用しているケースもあります。
その場合、休暇を取っていた人が急に戻ってくることで会社は2人を抱えることになり、給与や保険料などのコストの問題や業務調整をする必要が出てきてしまいます。
特に産休・育休期間に働いていた人に不利益なことがあってはいけません。休んでいた人が戻ってくるからもういいよ、というわけにはいかないのです。
もし「会社として2人働くことは問題ない、それでも早く復帰してもらいたい」という場合、就業規則の育児・介護休業規定にどのようにいつまでに申請をすれば終了日の繰り上げを認める、等のルールが設けられていたり、育児休業取り扱い通知書をもとに会社と話し合って決めることになります。
育休を延長するか迷う…場合
では、「子どもを預けることができなかったので育休を6ヶ月延長するけど、もしかしたら延長期間内にすぐ保育園がきまるかもしれない」という場合は、どうなるのでしょう。
この場合、やはり会社と話し合うことにはなります。育児休業終了日の延長は1回までと法律で決まっていますが、延長した休業を繰り上げて終了させることは法律で決まっていません。
たとえば「4月の入園には落ちてしまったけど、8月からなら空きがでると言われている」という場合、6ヶ月延長しておき、8月になったら子どもを預けて育児休業を終了して復職するということが可能です。
とりあえず半年育児休業を延長して、保育園に預けられたら休業繰り上げをして職場復帰を認めてもらえるように相談してみましょう。
会社から「育休を早く切り上げて職場に戻ってきて…」と言われます。。断ることはできる?
あなたが希望していないのに「育休を早く切り上げて職場に復帰してくれ」と会社から連絡があった場合、どうしたらいいのでしょうか?
会社都合で休業終了時期を早める変更をすることはできないので、断っても問題はありません。
育休、やっぱりとりません!…撤回はできる?
育休をとろうと思っていたけど、配偶者と親で見てくれるようなので休まなくて良くなった…という場合、撤回はできるのでしょうか。
育児休業の取得は任意になっているため、絶対取らないといけないわけではありません。
休業の撤回は、休業開始前であれば理由を問わず撤回できます。
取得開始日の前日までに申請が必要なので、育休をとらないと決めたら早めに手続きをしましょう。
ただし、一度撤回すると同じ子どもの育児休業のために再度育休申請をすることはできません。慎重に検討してくださいね。
育休延長希望します!…延長はできたよね?
育休の延長も1回だけ可能です。2週間前までに届け出が必要なのでお忘れなく。
また、パパ・ママ育休プラス(1歳2か月まで育休を延長できる制度)や、待機児童になってしまい保育園に預けられない場合等に延長できる制度(1歳~1歳6ヶ月までの6ヶ月間育休を延長できる制度)もあります。
なお、次の場合は、希望にかかわらず育児休業が自動的に終了します。
・子どもを養育しない事になった場合
・子どもが1歳になった場合(パパママ育休プラスを利用した場合は子どもが1歳2か月になった時、延長した場合は子どもが1歳6ヶ月になった時)
・産前産後休業、介護休業、または次の子どもの育児休業が始まった場合
育休を2回とることはできる?
育児休業は原則として、子ども1人につき1回の取得、と決まっています。
ただし、以下の事情がある場合には、再度育児休業を取得することができます。
・子どもが負傷、疾病、障がいなどにより2週間以上に渡る世話を必要とする場合
・保育所入所を希望しているものの、入所ができなかった場合
・離婚などで子どもと配偶者が同居しないことになった場合
・配偶者が死亡した、または負傷、疾病、障がいなどにより子どもの養育が困難になった場合
なお、施行日は決まっていないものの、分割取得(分割して2回取得ができる)制度に改正予定があります。こちらの記事も参考になさってみてください。
いざ職場復帰!…したのに、子どもが体調を崩しがち…利用できる制度はある?
小学校就学前の子どもをもつ人は、1年間に5日まで(小学校入学前の子どもが2人いる場合は10日まで)、病気やけがをした子どもの看護のために休暇を取ることができます。
これを「子の看護休暇」と呼びます。
子の看護休暇は、子どもの予防接種、健康診断を受けさせるために取得することもできます。
子の看護休暇を取得できるのは、勤続6ヶ月以上で、週2日以上働いている場合です。
これは育児・介護休業法で決まっていることなので、会社によってある・ない制度ではありません。職場の人事労務を管理している人に確認してみてくださいね。
育児・介護休業法は2021年1月から少し改正されています。具体的な内容や変更点はこちらの記事にまとめたので、一緒に確認してみてください。
子の看護休暇を使い切ってしまった場合、有給休暇を使うことになると思います。
パート・アルバイト・派遣など非正規雇用の雇用形態で就業していたとしても、有給休暇は付与されます。
勤務日数・時間、期間に応じて付与される日数が異なるため、パートタイム(短時間・少日数)のお仕事で復職する方は確認をしておきましょう。
また、2019年4月からは「働き方改革関連法案」により、有給休暇の取得が義務化されました。
フルタイム勤務の方など、年10日以上有給休暇が付与されている人は年5日有給休暇を取得しなくてはいけません。
2,3年振りの職場復帰を控えている方は、そちらも確認してみてください。
これらの有給休暇の付与・取得ルールについては下記の記事にまとめています。参考になれば幸いです。
職場復帰後の就業時間が長い…勤務時間を短くする方法はある?
3歳未満の子どもを育てる親で、育児休業をしていない人、かつ1日6時間以上勤務している人の場合、1日の所定労働時間を原則6時間とすることができます。
もしくは、以下のいずれかの措置をとる義務があります。
・育児休業に関する制度に準ずる措置
・フレックスタイム制
・始業、就業時刻の繰り上げ、繰り下げ
・事業所内保育施設の施設運営、その他これに準ずる便宜の供与
また、残業についても制限ができます。
3歳未満の子どもを育てている人が、子どもを育てることを理由に企業に申請した場合、企業は所定労働時間を超えて労働をさせてはいけません(ただし、事業運営を妨げる場合は事業主は申請を拒むこともできます)。
勤続1年以上で、週2日以上働いている人の場合、1回の申請で1か月~1年以内の期間で所定外労働時間を制限することができます。
残業は1か月24時間以内、1年に150時間以内にしなくてはいけません(ただし、日雇い労働者、勤続1年未満の労働者、週2日以下の勤務日数の場合は除く)。
転勤や異動の拒否はできる?
「妻の臨月に転勤内示が出て、分娩できる病院が見つからない」
「夫の転勤で退職し、無職なので保育園に入れず働けない」
と、育休明けの男性が急な転勤を命ぜられ退職を余儀なくされたことから、数年前に大きな話題になったこともありました。
就業規則等で会社の転勤命令権が定められている場合、原則として、会社からの転勤命令を拒否することはできません。
「家族から離れて単身赴任になる」「育児に支障が生じる」「家を買ったのに住めない」といった理由は個人的理由とされてしまいます。
拒否ができた事例としては、自分以外両親の介護ができる人がいない場合や、重篤な病気を抱える家族がいて特定の病院でないと治療ができない場合などです。
育児介護休業法では、
事業主は、雇用している労働者の配置変更で、就業場所の変更を伴うもの(転勤など)をしようとする場合において、 その就業場所の変更によって、仕事をしながら子どもの養育や、家族の介護を行うことが困難になってしまう労働者がいるときは、その労働者の子どもの養育や家族の介護の状況に配慮しなければならない(第26条)
とされています。ここでは労働者にのみ言及がされていて、労働者の配偶者や家族についての言及はありません。
産休育休・復帰後にトラブルになってしまったら?
育児休業や、子の看護休暇、所定外労働や時間外労働の制限、所定労働時間の短縮をしたり、申し出をしたことで解雇や不利益な対応をされることは禁止されています。
もし、休業取得などで会社とトラブルになったり、法律について詳しく知りたい場合、会社がある都道府県の労働局雇用均等室に連絡をしましょう。連絡先は以下の参照サイトの最後のページに記載されています。
育休取得条件などもう少し詳しく知りたい場合はこちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、育休取得について知っておきたいことをまとめてご紹介しました。
繰り上げ・繰り下げ・途中終了はその時にならないとわからないものですが、いずれも手続きに期限があるため事前に知っておくだけでもいざとなった時に対処しやすくなります。
また「子の看護休暇」「有給休暇の取得ルール」などを知っておくと、子どもが生まれたあとの職場復帰にも安心して臨めるのではないでしょうか。
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この記事を書いた人
しゅふJOBナビ編集部