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【パパの育休】男性の育休取得はどう変わった?育児休業制度の法改正を解説!

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子育のこと

 

共働き世帯が増える中、新型コロナウイルス感染拡大でテレワークや在宅勤務が進み、働き方・暮らし方を見直す人が増えました。

その中で2022年4月に改正された『育児・介護休業法』では、男性の育児休業取得にも注目が集まりました。

2023年11月には両親がともに育休を取得した時に「手取り10割」の給付金支給が検討されていることがニュースになるなど、夫婦がともに育児に積極的に関わることへの後押しが進んでいるようです。

この記事では、男性育休の現状について、2022年4月からの法改正のポイントについてのおさらいとどう変化があったかを解説します。

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男性の育児休業制度、現在はどうなっている?

男性が育児休業を取得しようとした場合、現在はどのような制度をつかうことができるのでしょうか?

まずは現行の制度を確認していきましょう。

 

パパママ育休プラス

「パパ・ママ育休プラス」は、2010年に制定された制度で、父親の育児糾合の取得を促し、夫婦が協力して育児を行うことを目的としています。

ママが取得することが多い「育児休業」は、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までとなっています。

この制度を活用すると、以下のような休業取得ができるようになります。

1.ママのお仕事復帰に合わせて育休取得

2.夫婦ふたりで一緒に休業取得

3.ママの育休が終わってから、パパが育休を取得

パパ・ママ育休プラスの具体的な内容や「パパ休業」についてこちらの記事で具体的にご紹介します。

 

育児・介護休業法の改正 パパが確認しておく3つのポイント

1.育休の周知・意向確認の義務化(2022年4月~)

子どもが生まれたら、社会保険の加入手続きなどのために会社に報告をします。

その際、会社は育児休業制度について案内をし、利用をするか取得意向を確認する必要があります。

・育児休業、出生児育児休業制度の周知

・育児休業、出生時育児休業制度を利用する際の申し出先

・育児休業給付について

・休業期間中に負担すべき社会保険料について

 

これらの案内を、面談(対面・オンラインどちらでも可)もしくは書面で受けることになります。

ただし労働者が希望した場合はFAXやメールでの案内も可能とされています。

上司や人事から該当者に案内をする際「こういう制度があるけど、取得しないよね?」など、取得を控えさせるような個別周知・意向確認は認められていません。

また、妊娠・出産報告をしたときに一度「育休は取得しない」「制度についてお報せは要らない」と会社に伝えていたとしても、会社は法律に基づいて、もう一度育休制度を案内することになっています。

そのため一度「育休は取得しないつもりです」と伝えたけれどやっぱり取得したい…と考えたとき、会社に申し出をすれば休業申請をすることができますよ。

 

 

2.出生時育休制度(2022年10月~)

「出生時育児休業制度」が始まりました。出生時育児休業制度は、子どもが生まれてから8週間以内に、4週間まで取得ができる育児休業制度です。

いままでの育児休業制度との違いは、


・申出期限が原則休業の2週間前まで(いままでの育児休業制度は「1か月前まで」の申請)

・新制度の中で分割して2回取得することができる

・労使協定を締結している場合かつ労働者と事業主が合意した範囲内であれば、休業中に就業することができる


ということが特徴です。

出産した女性の場合、産後8週間は産後休業として休みをしなくてはなりません。

そのため「この制度を利用できるのは父親だけ?」と思われてしまうかもしれませんが、男女ともに子どもを育てるために利用できる制度です。

そのため育児休業は養子縁組をした人でも取得することができます。この制度も育児休業給付金がもらえる対象です。

また、8週間以内に4週間までしか育児休業を取得できるようになったわけではありません。

いままでの育児休業制度も申請することができるので、働きながら子育てをする人に選択肢が増えたことになります。

「新制度の中で分割して2回取得することができる」ようになりますが、分割して2回取得する場合、申請するときに2回分まとめて申し出をする必要があります。

 

 

「育児休業中に就業することができる」とは?

この点が気になる方も多いのではないでしょうか。育児休業中にに仕事をすることができるのは以下を満たしている人です。

・労使協定を締結している

・事業主と労働者で就業条件を決めている(候補日・時間など)

まずは人事部に確認してみることをおすすめします。

 

育児休業中に働こうと思った場合、以下の手順で申請します。

1.労働者が就業してもよい場合、事業主にその条件を申し出る

2.事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示する(候補日等がない(就業させることを希望しない)場合はその旨を伝える)

3.労働者が同意する

4.事業主が通知する

 

就業可能条件を会社に申し出ることになりますが、就業条件には上限があります。

・ 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分

たとえば、週5日×1日8時間勤務で働く人が2週間休業する場合、本来働く予定だった10日、80時間を休むことになります。

この半分まで働くことができるので、2週間の間に5日、40時間まで仕事をすることができます。

・ 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

休業開始日と終了日から仕事をする場合は、その日は8時間未満で仕事をすることができます。

また、例えば通常勤務しているとき9時~18時で働いている人が日中は子育てのために働けないけど深夜に仕事をしたい、と思った場合はどうでしょうか。

この場合は「所定労働時間内の時間帯に限って働ける」制度なので9時~18時の間だけ働くことができます。所定労働時間外の仕事は届け出ができません。

 

 

3.男性の育児休業取得率公表義務化

また、男性の育児休業取得率の公表が義務化されました。まずは従業員 1000 人超の企業が対象となっています。

男性労働者が育児休業を取得した数、割合を企業ホームページなどで公表されることになっています。

これにともない、就業規則の改定やオペレーションの見直しなど、育児休業が取得しやすい環境に整えている企業も増えていますが、実態はまだ追いついてないところも散見されます。

 

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「育児休業給付金」Q&A!

「よし!育児休業を取得して、育児や家事を頑張るぞ!」と思っても、やっぱり不安になるのは収入面ではないでしょうか。

育児休業期間中は育児休業給付金の支給があります。ふつうに出勤して働いている時と同額とはいきませんが、収入が全くなくなってしまうことはありません。

ただし、受給するには条件があります。育児休業給付金について確認してみましょう。

 

育児休業給付金とは?

「育児休業給付金」は育児休業者に国が給付金を支給し、生活に困らないようにするための制度です。

育児休暇に関する給付金=母親になる女性しか受け取れないと思われがちですが、育休を取得する男性であっても受け取ることができます。

ただし、育児休業給付金を受け取るにはいくつかの支給要件を満たしていなくてはいけません。

誰でも受け取ることができるわけではないのでお気をつけください。

 

育児休業給付金を受け取る条件は?

1.雇用保険に加入している被保険者であること

雇用保険に加入していないと支給対象者ではありません。

2.生まれてから1歳未満の子どもがいること

延長が必要な場合は、1歳6ヶ月、または2歳になるまで支給対象期間を延長してもらうことができます。

3.産休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある

正規雇用契約(正社員や正職員など)で働いている人なら、これを満たしている場合がほとんどです。

パートや契約社員など非正規雇用契約で働く人の場合、満たさない可能性があるので注意してください。

4.育休期間中に受け取る賃金が、休業開始前の1ヶ月の80%未満であること

育児休業を取っているからといって、全く収入がない状態で過ごさなくてはいけないわけではありません。

育児休業中でも、働いていたときの月給の80%未満であれば賃金を受け取ることが可能です。

たとえば、月収20万円の賃金をもらっていた場合は16万円以下であれば、受け取ることができます。

 

 

育児休業給付金の申請に必要な書類は

育児休業給付金は、基本的には企業が手続きをおこないます。

・育児休業給付受給資格確認票

・(初回)育児休業給付金支給申請書

・払渡希望金融機関指定届

・育児の証明をする書面や母子健康手帳などの写し

などを会社に提出します。

いずれも会社から必要書類のフォーマットを渡してもらえることがほとんどなので、まずは必要書類を受け取りましょう。

 

育児休業給付金はいつから/いつまで支給される?

育児休業の期間は子どもが生まれてから1歳未満まで。

ただし、保育園や幼稚園に子どもを預けられないなどの理由で仕事に復帰できないときは、育児休業期間を延長することができます。

延長期間は最長で子どもが2歳に達するまで、もしくは、何らかの理由で養育ができないときです。

養育ができない時とは、怪我や病気で子育てが難しい状態、配偶者が死亡してしまった場合、養育すべき子どもと同居できなくなってしまった場合などが挙げられます。

 

初回の給付はいつ?申請後振り込まれるのは2~5か月後

初回は2か月分まとめて給付となることから、初回支給日は出産から2~3か月後になります。

ママの場合は産後休暇(産後給付金)が終了して育児休暇に入ってから育児休業給付金の支給対象となり、同じく2か月分まとめて支給されるため、初回支給日は出産から4~5か月後です。

つまり子供が生まれてから2~3か月の間は給付金が入らず、無収入の状態になるので、出産前に貯められるだけ貯めておきましょう。

また、休業中は給与所得から天引きされていた住民税が普通徴収に変わり、自分で振込み表を持って税金を支払いにいくことがほとんどです。

3か月に一度の支払いになりますが大きな支出になるので、給付金が入るまでにいくらくらい支出がありそうか計算しておくことをおすすめします。

 

育児休業給付金はいくらもらえる?計算してみよう

育児休業給付金は、育休開始日から180日間(約半年)は「育児休業開始時賃金日額」の67%が支給されます。

育児休業開始時賃金日額は、休業開始前の6ヶ月の賃金を、6ヶ月×30日(180日)で割った金額となります。

たとえば直近6ヶ月の賃金が月給20万円だったとしたら、20万円×67%=13万4000円になります。

育休開始日から181日目~終了日までは、月額給与の50%が支給されます。

さきほどの例で計算すると、20万円×50%=10万円です。

また、保育園に預けられなかった等の事情で育休を延長せざるを得なかった場合、給付金の支給も延長になりますが、同じく50%の支給です。

延長時の支給のためには、事前申し込みや待機児童証明書などの書類提出が必要になるので気をつけてください。

 

23年11月「手取り10割」の給付金検討が話題に

2023年11月、両親がともに育児休業を取得した場合、手取りで10割の育児休業給付金が受け取れるよう引き上げが検討されているというニュースが流れました。

現状わかっている条件は「夫婦ともに育児休業を14日以上取得した場合」です。

先述のとおり現行の育児休業給付金の給付率は休業前の賃金の67%、社会保険料免除もあわせて手取りで8割程度です。

2割が上乗せで引きあがることで、収入を維持しながら子育てができるようになることが期待されます。

また、男性の育児休業取得については1日、3日、1週間…など、数日の取得で給付を受ける例が出てきていました。

数日の休業取得で給付を受けることを抑制する面もあるようです。

この「手取り10割」の実施がいつからかはまだ未定になっていますが、2025年度には育児休業給付金の拡充が検討されています。

そちらは現行の育児休業給付金の給付率は休業前の賃金の67%の給付率が、両親で育休を取った場合に最大28日まで、賃金の80%程度の給付に上がる見込みなのだとか。

少しずつでも両親が一緒に育児をし、子どもが大きくなってきたら一緒に働くことができる制度が増えていくのかもしれませんね。

 

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これってマタハラならぬ「パタハラ」?!

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とは、

「〇〇さんは出産で休むんだから関係ないよね」

「妊婦なのはわかるけど休みすぎ。他の人はここまで仕事をしていたよ?」

「妊娠は自己都合、業務内容は変えられないんだから荷物を運んだりレジに立ったりも変わらずに頼むよ」

「養子縁組をしたから急に育児休業を取りたいだなんて迷惑だ。休業と言わずに辞めてくれてもいいんだよ」

……など、妊娠・出産・子育てによって企業や上司、同僚から肉体的・精神的に不当な扱いを受けること。

それがなんと、育児休業を取得することでパパがハラスメントを受けるケースも増えてきています。

 

パタハラ(パタニティ・ハラスメント)では

「産後の妻のフォローをするため休みたいが、父親がいても役に立たないだろと言われ休業申請が出せない」

「育児休業を取得したく人事に相談し取得できることになったが、上司から文句を言われ、同僚にも同意を求められるので肩身が狭い」

「育児休業を取得すると出世する気がないんだな、給料が上がらなくなるぞと言われた」

「子どもの体調不良で呼び出しがあり迎えに行くために早退を願い出たが、奥さんはどうした?お前がびしっと言わないからじゃないか?と言われる」

「子どもを迎えに行くために早帰りをしているが、早く帰ったんだからと嫌味を言われたり仕事を増やされたりする」

などのことが起きています。これではマミートラックだけでなく、パピートラックもできてしまいそう…。

育児休業を取得することは特別なことではなく、子育てに配偶者・家族の協力は欠かせません。

今回の育児休業制度改正のように、パートナーが出産をした男性が休業しやすくしたり、子どもの養育をするために休みを取りたい女性が休業をできるように制度は変わってきています。

 

 

今回は、パパの育休制度についてご紹介しました。

パパの育休にフォーカスしたものの、今回の育児休業に関する改正は性別・雇用形態を問わず「会社も子育てと仕事の両立をサポートしよう」という方針に基づいていることが見受けられます。

これからは「結婚後の生活は共働きになることがあたりまえだ」「子育てを頑張る妻をサポートしたい、一緒に子育てをしたい」と考える部下や同僚も増えてくることでしょう。

制度について十分な理解があれば、上司としてマネジメントに生かすこともできます。

これから出産を控えているご家庭では、ぜひ育児休業を取得するか、いつどのようなタイミングで取得することが理想か、家族で検討してみてください。

出産は心身ともに負担が大きいもの。目を離すだけで命の危険がある子どもを、ぼろぼろの体でお世話をします。睡眠時間が削られ、大量の血液(母乳)を与えます。ママの食事やトイレは二の次になってしまうことも多いのです。

そのため鬱症状になりやすく、出産前は心強く見えたママでも産後は追い詰められてしまいパパの助けが必要になることもあります。睡眠や栄養が不十分な場合、疲れが先に出てしまい待ち望んだ子どもがかわいいと思えない人もたくさんいます。

生まれてくる子どものためにできることの一つとして、育児休業を検討してみることも必要なのではないでしょうか。

 

◇参考

厚生労働省 令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和3年 11 月 30 時点)

厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

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