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産後の抑えられないイライラ=「産後クライシス」かも?原因・対策は

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子育のこと

 

妊娠から出産という大仕事を終えた女性はホルモンバランスが乱れるせいか、とにかくイライラしがち。

「この抑えきれないイライラが夫に向かうようになったら……?子供への影響は?」

「もしかしてこんなにイライラしてるのは私だけ?いつまでこんな状態なの?」

イライラしながらも不安や心配になる方も多いのではないでしょうか。

実は、産後~2年間は最も離婚が多い時期と言われています。そのキーワードが「産後クライシス」。いったいどういうことなのでしょうか。

 

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産後クライシスとはどういうもの?

産後クライシスとは「出産後+何かがクライシス=危機的状態や難局する」という意味の言葉です。産後に危機的な状態に陥る状態のことを指しています。

子どもが生まれたばかりの家庭では、夫婦仲の危機が起きやすい時期!

「産後のことは一生忘れない」という言葉を聞いたことがありませんか?そのくらい、家族関係に大きな影響が出やすい時期なのです。

まず、出産後に家庭に起こる大きな変化を見てみましょう。

 


精神的な変化:ホルモンバランスと睡眠不足

出産を終えたお母さんは、産後の嵐のようなホルモンバランスの乱れに襲われます。

そこに、赤ちゃんの授乳や夜泣きで夜もまとまった時間で睡眠がとれなくなります。

こうして生活リズムが一変することで精神的に疲労がたまっていきます。

ホルモンや睡眠不足が原因であっても、(なんでイライラしちゃうんだろう)と悩んでしまったり

(子どもがかわいく思えない、夫も親も頼れない、私は母親に向いてない…)とふさぎ込んでしまうこともあります。

赤ちゃんの夜泣きや泣き止まないこともに対して追い詰められてもいきます。鬱状態になることもあります。

 

体調の変化:胸や体の痛み、トラブル

母乳による胸の痛み、子宮復古の悪露がなかなかおさまらないなどのトラブルも出ることもあります。

母乳が出すぎて炎症をおこしてしまったり、出ないことに悩んだり。哺乳瓶やミルクのことも頭を悩ませます。

出産後は子宮が収縮しますが、それはつまり、まとまっておおきな月経がやってくるようなものです。

生理痛が下腹部を締め付けている状態のため体が痛い日々が続きます。

母乳も子宮復古も、大量の血液が必要になります。そのため、貧血症状が強く出ることもあります。

 

 

生活の変化:「赤ちゃん中心」になる

生まれたばかりの赤ちゃんは、泣くこと・ミルクを飲むこと・排泄をすることくらいしかできません。

もちろん寝返りもできませんし、要求を言葉にすることもできません。

暑すぎても寒すぎても体調を崩してしまいますし、やわらかすぎる布団やクッションで息ができなくなってしまうこともあります。

哺乳瓶などは殺菌をしてきれいにしておかなければなりませんし、赤ちゃんがいる環境は掃除もこまめにして清潔にしておくことも大切です。

生活リズムが整うまでは寝たり起きたりも不規則ですし、昼夜関係なく子どもは泣いてしまいます。

ママ・パパは目が離せず、お世話にかかりきりになってしまう時期です。

 


 

このように、出産後は急激な女性ホルモンの変化や慣れない育児、生活の変化で女性の精神や身体に大きな負担がかかります。

そのため「産後うつ」や「ホルモンバランスの崩れによる」イライラや攻撃的になる症状が出てしまうことが多いのです。

 

産後クライシスの定義では「産後2年間以内に夫婦仲が著しく悪化、崩壊すること」となっています。

これは、産後のとても負担が多い時期にお互い配偶者に強い不満を持つようになり、夫婦の関係性が変わってしまうことなのです。

 

産後はイベントも多く、お七夜(命名)、お宮参り、初節句、お食い初め、100日祝い、ハーフバースデー、1歳祝いなど…考えることもやることもたくさんあります。出産祝いのお返しも早めに手配しなくてはいけません。

こういったイベント事は特に、両方の両親(つまり、赤ちゃんの祖父母)がより関わってくるようになります。

お宮参りはどこでやるのか、いつやるのか、誰が参加して、服装、食事はどうする…など、考えて決めることはたくさん!

古い習慣通りにするべきだと主張する親世代と、新しいお祝いの形式を取り入れたいパパ・ママで意見がぶつかってしまうこともあるでしょう。

子育てに対する考え方や、出身地の風習の差も表れやすくなります。

両家の意見の相違はそれぞれ夫婦関係に影響してくることもあります。なぜか夫代表義理実家  vs 嫁代表実家 の構図にもなりやすいのです。

 

ベネッセの調査では、出産前に「夫に愛情を感じる」と答えた女性が約75%だったのに対し、

出産後、特に子どもが2歳になるころには「夫に愛情を感じる」と答えた女性が約35%と半減するという結果がでています。

厚労省の「全国ひとり親世帯等調査結果報告」では、子どもが2歳になるまでの間が最も離婚率が高いという結果も出ており、この引き金となるのが産後クライシスだという説もあります。

産後クライシスの原因を取り除くことはできるのでしょうか?

 

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産後クライシスの原因になるものは?

産後クライシスになる原因は大きく分けて3つあります。それは

・ママの体調変化

・パパの育児家事への貢献度の低さ

・コミュニケーション不足

です。それぞれ詳しく見てみましょう。

 

ママの体調変化

体調の変化については、育児中のママなら誰にでも起きることです。

ホルモンバランスの変化、授乳や夜泣きによる寝不足、子育てへの漠然とした不安。

特に乳児のころはつきっきりで、一人で出かけることもままなりません。

出産前はバリバリできていた仕事や楽しめていた趣味も時間がなくなり、趣味や生きがいを見いだせなくなることもあります。

産後ケア施設を利用して専門家に育児相談をして不安を減らしたりしっかり睡眠をとる時間を作ったり、

夜泣きに付き合っているときに励ましあえる人がいるだけでも違います。

家事はできるだけ手が抜けるよう、家電製品に頼ったり、家事代行サービスを使ったり、宅配やミールキットを使うこともおすすめです。

 

パパの育児家事への貢献度の低さ

パパの育児家事への貢献度が、産後クライシスに大きく関わると言われています。

ママの生活はとにかく子どもが中心になり、トイレや食事もおざなりに、趣味やしたいことなんてできなくなる人もたくさんいます。

そんな状況でパパが全く子どものお世話ができず「おーい、泣いてるよ」と言われた日には、なんで私ばっかり?2人の子どもじゃないの?子育てするつもりある?などなど、考えてしまいがちです。

また、産後は先述のとおりママの体調は悪く、子どものお世話につきっきりになるため、家事が滞りがちです。

その時、パパが家事ができて必要最低限でも生活環境を整えられればいいのですが、家事までママだけの負担になってしまうと(離婚して一人で子育てをしても変わらないのでは?)と思ってしまいがちです。

「授乳以外はパパでもできる」と昔は言われていましたが、今は栄養価の高い粉ミルクも販売されています。

完全母乳育児を希望するママもいるので夫婦で相談は必要不可欠ですが、家事も育児もパパだからできない・ママだからできるという事はなくなってきました。

パパ・ママで子育て・家事を分担できれば、お互いに睡眠時間を確保したり、息抜きの時間を持つこともできます。

パパの家事・育児への積極的な参加が産後クライシスの回避につながることでしょう。

 

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コミュニケーション不足

そして3つ目の原因は、コミュニケーション不足。

当然、産後は子ども(赤ちゃん)優先の生活となります。授乳やおむつや夜泣きなど、言葉が話せない赤ちゃんに多くの時間を費やすことになります。

夫婦間のコミュニケーションの不足で、お互いの不満が理解できにくく、ボタンの掛け違いが重なってお互いの溝を大きくしていきます。

会話をすればすべて解決!とはいかないものですが、言いたいことを言えない環境は不健全です。

ちなみに「LINEで写真や動画を共有して夜泣きのつらさを伝えた。夫と分担できるようになった」という声や

「育児ノートにちょこっとだけお互いへの連絡欄を作った。お互いにできるだけ良いことや感謝の言葉を書くようにして、つらい時に見返して今はまだまし!と思えるようになった」という声もありました。

 

パパのどこを不満に思う?3つのポイント

さて、産後のママはパパのどんなところに不満を感じやすいのでしょうか。

体験談を含めてご紹介していきます。

 

育児をしない

・自分は子どもが生まれる前の生活を続けている

「子どもが熱を出してつきっきりで看病しているのに、ふらふらになるまで飲んで帰ってきた。急に病院に連れて行かなくちゃ!というときに運転もできない状態だし、子どもの心配をする様子もなくてがっかりする。」

「睡眠不足と疲れがたまっているなか、子どもの予防接種予約や、両親と連絡を取ってお祝い返しやイベントの手配をしているのに、なかなか集まれない友達が旅行に行こうって言ってるから泊まりで出かけてきていい? という夫を気持ちよく送り出せるわけがない」

 

家事をしない

・妻の体調を気遣わない、夫との家事の不平等さへの不満

「自分は外出もままならないのに、産前と同じように毎日外で仕事をし、帰ってくれば当たり前のようにソファでくつろぎ、育児の合間をぬって必死に作った夕食をペロっと食べてその後はテレビを見ながらゴロゴロ。こっちはもう何か月もゆっくり寝たり、外食もしていないのに!」

「料理も掃除もできないから!と全く手をつけない。子どもが寝ている間は私も休みたいのに、家事に時間を取られる…」

 

また、妻が自分に関心を向けないことで寂しくなり「子どもが生まれてからイライラして全然(俺に)優しくなくなった」という発言や

会社から帰ってきて家庭でゆっくりできないことに疲れがたまり「明日仕事なんだけど…」という発言は起爆剤になりがちです。

 

夫婦で協力!産後クライシスの乗り越え方

産後クライシスを避けるには、どんなことを意識するといいのでしょうか?

 

パパが意識すること


・産後の女性は心身ともに変化が大きく、自分でコントロールできるものではないということ

・育児ができる期間は短い。子どもと良好な関係を作るにはお世話をきちんと覚えること

・自分のことはできるだけ自分でやる、妻の手助けも積極的にすること

・育児に関する情報を積極的に集めること。妻の育児や生活方針も確認すること


毎日育児で大変なのに、夫の世話まで今まで通りにできるわけがありません。

それに夫が不満を持ち、それが妻に伝わり双方がイライラ…というケースがいまだに多いのです。

また、どれだけ育児に関わったかでその後何十年も続く家庭生活(夫婦関係と親子関係)が左右されます。

産後は暖かい家庭を築けるかの正念場。ここで頑張らないと後で後悔しても遅いのです。

同僚のパパ・ママに話を聞いたり、子育て情報を自分で積極的に受け取るようにしましょう。

ママもたくさん調べたり話を聞いたりしながら、正解が見えない子育てをしています。一緒に悩んだり心配したり調べたりしながら子育てを楽しんでいきましょう。

日ごろから自分のことはできるだけ自分でやるようにしているパパも多いと思いますが、この時期は特にお弁当は自分で作る、アイロンも自分でかける、食事も妻のぶんまで作る、など家事は頑張りましょう。

この時期、妻がトゲのある言葉や態度を取るのはホルモンバランスの崩れが大きな原因だと理解することも大事です。

ピリピリした妻を避けたいと家をあけるのは逆効果になる可能性のほうが高いので、その手は取らないほうが安全です。

このホルモンバランスの崩れは、本人が認識したからといってコントロールできるものでもありません。

普段ならコントロールするための薬も使えるかもしれませんが、出産前後は授乳や子どもへの影響を考えなければいけないため薬の服用もできないことがほとんどです。

 

ママが意識すること


・自分の状態をきちんと把握し伝える

・他の家庭、他の子どもと比べない

・休めるときは思い切って休む、子育てを完璧にしようと頑張りすぎない


察してほしい、見ていればわかるでしょ、という考えはイライラの素なので捨ててしまいましょう!

具体的に何が大変なのか、できれば1日の動きや、具体的な作業を紙に書き出すなどして視覚化してから伝えると状況が共有しやすくなります。

つらいときは家族や各種育児サポートサービスなどを活用し、抱え込みすぎない、頑張り過ぎないように心がけましょう。

助産院などでは産後の赤ちゃんの様子をみたり、母乳ケアを手伝ってくれるところもあります。

市区町村から紹介してもらえることもあるので、何か頼れそうなところがあったら無理せず連絡してみてくださいね。

夜中の相談相手は夫が起きてくれたら一番かもしれませんが、SNSを活用して同時期に子どもを出産した人達と励ましあうのもおすすめです。

そして、ほかの家庭や、ほかの子どもと比べないことも大切です。

自営業のパパと会社員のパパでは家にいる時間が違うので、手伝えることも違ってきます。あまり希望を持ちすぎるのも、かえってイライラを募らせる原因になりよくありません。

我が家、夫なりにできることを頑張ってやってくれているのだ、と思えればOKとしましょう。

子どもの発達も比較しがちです。同月月齢の子の首が座っていたり、お座りができたり、歯が生えていたりすると(うちの子は発達が遅いのかな…)と気になってしまうものですが、たいていの場合、遅かれ早かれお座りをしたり歯が生えてきたりします。あまり比べすぎないようにしましょう。

「休めるときは休んでね」と言われても、できるならやってる!と思うこともあるかもしれませんが、きちんとした人ほど休めなくなりがちです。

その家事は頻度を減らせないか、あなた以外にできる人がいないか、ちょこっとでも見直してみてもいいかもしれません。

最悪、離婚に至るケースもあると言われる産後クライシス。

出産後は慣れない育児やホルモンバランスの乱れから、ママはとかくイライラしがちになります。

しかし、夫の体調の不安定さへの理解と家事育児サポートで、ママの負担はかなり軽減します。

ママの負担が減れば気持ちの余裕ができ、パパも過ごしやすくなります。

育児に対する夫への不満はママならある程度みんな持っているもの。

それを一方的にぶつける前に、夫婦で産後について考えるいい機会と捉えて、きちんと話し合うことも大切でしょう。

パパも産後は大変だぞ、とよく言われるのではないでしょうか。その不満もパパならある程度みんな持っているものです。

避けては通れない家族のことなのですから、子どものために!を合言葉に家事・育児も覚えていきましょう。

夫婦お互いがより理解し合い、一緒にふたりの子どもを育てる時間をもつことが、その後何十年も続く夫婦や親子にも良い影響を与えていきます。

成長にしたがって育児も楽になっていきますので「今は踏ん張りどき!」と、夫婦で協力しながら寛容に乗り越えましょう。

 

今回産後クライシスについてを教えてくれたのは…

 

福田美智江(ふくだ みちえ)先生/MCA達成&成功コーチング代表

ブラジルの小学校(ポルトガル語教育)を卒業後、香港の中学校(日本語教育)、高等学校(英語教育)に通い、文化によるコミュニケーションの違いを肌で感じながら育つ。慶應義塾大学文学部仏文学科卒業後、フランス・パリバ銀行のフォレックス部門に勤務。その後、15年間英会話教室を主宰し、2012年にMCAを設立。
現在は、「心の平和」をキーワードにしながら、『自分を知り、自分に自信を持ちながら、周知の人とうまくコミュニケーションし、自分の才能を開花してイキイキと生きる人を増やす』ことを使命として活動している。
「英会話コーチング」を小学生〜社会人に、傾愛力®講座やセッションを親御さんに、保育園・幼稚園・学校・教育委員会に研修を行なっている。3人の子どもを持つ母親。

 

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