パート・アルバイトの異動事例 異動希望/打診の辞退はできる?
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働き方
「コツコツ働いて5年、急に異動の打診が……パートなのに異動ってあるの?断ってもいいの??」
「もっと難易度の高い仕事に挑戦したい!異動希望はパート・アルバイトでも出していいの?」
4月や9月は社内体制が変わりやすい時期。急な異動の打診があったり、新しい仕事に挑戦したいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
パート・アルバイトで働く人は基本的には勤務地・勤務内容・勤務条件はほぼ決まっていることがほとんどですが、異動が全くないというわけでもありません。
今回は、パート・アルバイトの異動について確認していきましょう!
もくじ
パート・アルバイトでも部署異動はある?
パート・アルバイトといえば異動はなさそうなイメージがつきものですが、部署異動はあるのでしょうか。
実際には、配置転換などで仕事が変わるために部署異動が発生することは多々あります。例えばこのような場合が挙げられます。
似た仕事内容の場合、異動しやすい
たとえば、スーパーマーケットの鮮魚コーナーから精肉コーナーへの配置換えになった、などです。
パート・アルバイトの場合、仕事の多くがパッキングや陳列など担当コーナーが変わっても仕事内容が大きく変わらないことが多いためです。
また、百貨店やデパートなら紳士服コーナーと婦人服コーナーでは大きく仕事内容が変わらないため異動があったり、
ホテルの仕事ならリネン担当からベッドメイク担当になったりすることもあるようです。
ただし、専門性や習熟度を問われる業務は異動事例が出にくい面もあります。
スーパーでもお刺身を切ったりするなど技術が必要だったり、商品を発注したりするためには専門知識があったほうが良いためなかなか異動はされにくいですよね。
事務の仕事でも、営業事務として請求書をたくさん発行していた人が経理部に異動になったりすることもあります。
どちらも正確性が問われる仕事のため、業務に期待される性質が似ていると能力を買われて異動となることもあるのでしょう。
属人化を防ぐための異動もある
また、仕事が属人化しすぎてブラックボックス化しているときに人を変えることで業務の見直しを図ることもあります。
「〇〇さんしかできない仕事」はやりがいに繋がりやすいものですが、反対に急な事故や怪我で仕事ができなくなった時に誰も対応できなくなってしまうデメリットがあります。
属人的な作業を切り離し効率化を行ったり、不正防止に役立てることもあります。
ドラマでもよくありますが、経理部の〇〇さんが不正横領した…!というのも仕事が属人的で、その人以外気づくことができない場合に発生します。
そのため、3年、5年など一定期間で配置換えと業務替えを行う職場もあります。銀行などはこのタイプが多いですね。
転勤や遠方への異動は少ない
企業によりパート・アルバイトは「異動なし」としているところもあります。
また、異動があったとしてもほとんどの企業でパート・アルバイトの転勤や遠方への異動はありません。
そもそもパート・アルバイトは勤務地や職種を限定して採用していたり、雇用期間に期限があり長期雇用ではないことが多いためです。
店舗採用の場合も同様です。例えば「ファーストフードショップ A店」で店長の権限により採用された場合、ある店舗でパート・アルバイトとして採用されたにすぎないため他店への応援などは考えにくいのです。
そのため、正社員にありがちな出向・転籍などの依頼はほぼないと思っていいでしょう。
ルールは「雇用契約書」または「就業規則」を確認
勤めている会社のルールを知りたいときは、雇用契約書を確認してみましょう。
パート・アルバイトでも人事異動がある旨が記載されている場合は、異動を拒否することはできません。
ただし、以下のような場合は一時的/短期的に異動が命じられることもあります。
・突然の繁忙や人員不足による応援
・研修のために複数施設に日替わりで出勤する
・研修期間は本社に出社し、研修終了後に所属店舗・事務所へ異動
これらの場合、一時的なものの場合が多いため人員が採用されたり代わりの人材が確保されれば元に戻れます。
そのため、本人と相談の上同意が得られたら異動となるケースがあります。
こんな異動は法令違反?!
以下のような異動辞令は法律に違反しているかもしれません。
・社員と同様の働き方を要求される
たとえばパート・アルバイトとして低い給与で働いているにもかかわらず、社員同様に職務・責任がある仕事を任されている場合。
また、転勤・異動の事例が出る場合、同一労働同一賃金の観点からパートタイム労働法違反になると考えられます。
・契約書面上で勤務地・職種などが限定されている
契約書面上に勤務地・業務内容が特定されているにもかかわらず異動の辞令があった場合です。
たとえば「ファミリーレストランA店にてホールスタッフ」として採用されている場合、キッチンスタッフの異動やB店への異動は基本的にありません。
また、契約書上に「上記業務がなくなった場合は雇用契約を終了する」などの旨が記載されている場合、業務に対して結ばれた契約なのでそれを理由に辞退することもできるでしょう。
・育児や介護で転居や通勤が難しい
職場が変わることで日常生活に大きく支障が出る場合、不利益が極めて大きいため異動を断る正当な理由となるでしょう。
たとえば看護や介護が必要な場合、治療やリハビリ、通院補助でその土地を離れられない病気を患っている場合もあります。
ただし、残業時間や通勤時間が増える、家族の送迎ができない、単身赴任になるなどの理由では異動を拒否できなかった判例もあります。
・賃金が下がる
会社都合の辞令であるにもかかわらず理由なく賃金が下がる場合です。人事異動は基本的に賃金を維持したまま行います。
理由なく賃金が下がる場合は不当な異動の可能性があるかもしれません。
・職権乱用だと判断でき正当な辞令ではない
上司の独断で理由が不明瞭な状態での異動辞令の場合、職権乱用だと判断され、正当な辞令ではないとされることもあります。
異動させて自主退職を促しているなど、追い込む意図が明らかに見られる場合は拒否が認められることもあります。
この場合は上司よりさらに上の役職者に相談したり、人事部に相談してみることをおすすめします。
パート・アルバイトが異動するメリット・デメリット
異動の本来の目的は「人員配置により業務を適正化すること、会社に利益をもたらすこと」です。
人材育成や適材適所の人材配置の手段としてほとんどの企業で実施されています。
異動の目的は人手不足による社内調整など会社都合のこともありますし、純粋に従業員へのキャリアアップの期待や、業務レベルを上げて給与を上げてあげたいという場合もあります。
どのような理由にしろ異動をさせるためには業務上、異動が必要であることが前提です。
まずは異動の話をうけたら「会社が何を期待してあなたに異動を打診しているのか」「異動先ではどのような業務をするのか」を確認してみましょう。
異動に少しでも不満や不安がある場合「異動後のキャリアはどのように変わるか」「周りの人間関係はどうなのか」「就業条件が変わる事はあるか」など、詳しく聞いてみましょう。
異動するメリット、デメリット
パート・アルバイトで異動するメリット、デメリットはどのようなところにあるでしょうか。
仕事の幅が広がる
異動により対応できる仕事の幅が広がる可能性があります。ずっと同じ仕事をして精度を磨いていくやりがいもありますが、対応できる仕事を増やすことで得られるやりがいもあるでしょう。
収入が増える
職種や業務範囲が変わる事で給与が増えることもあります。原則、異動は給与が下がらないようにしなくてはいけないため、維持ないしはアップすることがほとんどです。
キャリアチェンジ・キャリアアップにつながる
異動をきっかけに新しい仕事に取り組み、キャリアチェンジに役立てることも可能です。新しく任される仕事ができるようになった場合市場価値がどれくらい上がるのか調べてみると意欲につながるかもしれません。
部署異動したくない…異動を断るとどうなる?
パート・アルバイトの契約上あまり記載がないことのほうが多いのですが、契約書に人事異動がある旨が記載されている場合は異動を拒否することはできません。
人事異動に関する記載がない場合、原則的には本人との同意が必要になります。
この場合、同意をしたら人事異動に従うことになりますが、会社命令として強制的に異動させることはできません。
ただし、そもそもパート・アルバイトで働く人は通勤時間や勤務時間が希望に合うという理由で働いている場合が少なくありません。
家から遠い勤務地になったり勤務時間が長くなる場合、働く人の不利益になるため退職をしてでも異動を断りたいという方もいるでしょう。
契約書面上に異動のある旨が記載されていて、正当な理由がなく異動を拒否する場合、業務命令違反として懲戒処分が出ることもあります。
断る前に考えるべきポイント
日本の法律では雇用した人を解雇することはなかなか難しいのですが、パート・アルバイトなどの非正規雇用で雇用期間に限りがある場合は期間満了で雇用契約が終了となることもあります。
パート・アルバイトの異動の断り方
今後も働き続けるために角を立てずに断りたい場合、どうしたらいいのでしょうか。
必ず以下を確認しておきましょう。
・労働条件が変わるかどうか
特に就労日数、勤務時間、給与について確認をしましょう。
・パート・アルバイト用の就業規則に記載があるかどうか
転勤や異動についての規定がない場合もあります。確認してみてください。
明らかにおかしい(異動の理由に根拠がない、パートアルバイトの範囲を超えるなど)の異動・転勤の辞令があったとしたら、まずは同意しないようにしましょう。
できるだけ一度考えると伝えて、家族に相談することが大切です。
部署異動したい!希望を出す時に考えるべきポイント
仕事内容が変わると、予定していた今後のキャリアプランに影響が出る!という方もいますよね。
異動によってキャリアが実現できなそうな場合、配置転換を希望してみるのはいかがでしょうか。
キャリアアップのために異動したい
今の仕事で成長ができない、長く続けられるイメージが持てない場合、キャリアアップも考えて異動を希望することもあるのではないでしょうか。
部署異動をしてキャリアアップを考えるときは、どういうビジョンを持っているか上司や人事に訴えかけることが必要です。
どういう仕事がしたいか、具体的に実現に向けてどんな努力をしているか、ゆくゆくどういう成果で会社に貢献できるかを伝えましょう。
会社にとって必要な仕事や良い影響を与える場合、ポジティブに受け止めてもらえるはずです。
たまにあるのですが、「キャリアアップのために異動したいです!」「お給料がもっと必要なので異動させてください」など希望を直接伝えるのは悪手です。
なぜそう思ったか?そのためにどんなことを考えて努力をしたか?を整理してから臨みましょう。
人間関係や業務量などに不満があり異動したい
ネガティブな理由で部署異動を願い出る場合、伝え方に注意が必要です。
上司、部下、同僚、取引先とどうしても人間関係がストレスになっている場合や、残業や休日出勤が多い、仕事内容が募集内容と大きく異なっているなど、ここではない違うところで仕事をしたいと考えることもあるでしょう。
この場合、今の環境が嫌だから異動したい、と伝えた場合周囲に悪い印象を与えることのほうが多く、異動希望が通らなかった時に退職を選ぶしかなくなってしまうかもしれません。
スムーズに異動させてもらうためには上司に納得してもらう必要があります。
「自分のこういうスキルをもっといかせる仕事がしたい」「〇〇の勉強をしたので〇〇に関わる仕事をしたい」など異動しないとできない仕事に従事したいことを伝えることを意識してみましょう。
家の近くの店舗に異動したい
また、家の近くに新店舗ができるから異動を願い出たいという方もいらっしゃるかもしれません。
全国チェーンなどの場合はタイミングが合えば相談ができることも多いため、まずは店長や信頼できる上司に希望を相談してみましょう。
家から職場が近くなることで勤務時間が増やせる場合は考慮してもらえることもありますよ。
異動に希望が叶わなかったら…退職を考えた時にすること
「いざ働いてみたら面談の時と話が違う…」
「異動希望が通らなかった…しばらく我慢して働いたほうがいい?いっそ転職したほうが……」
異動の希望が通らずに退職しようか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
退職タイミングは見極めが重要です。退職をするかどうか迷っている方はこちらの記事も参考にしてみてください。
よくある退職理由、伝え方についても解説しています。
本人希望ではない異動が理由で退職をしても問題はありません。会社側が退職を拒否したり、異動や退職を理由に不当な扱いを行うことも許されていません。
ただし、異動は組織的に計画を立てて行われるもののため、異動理由で突発的に退職をしてしまうと異動前・異動先の部署などに迷惑をかけてしまうこともあります。
不本意な異動で退職を決意しても、その日がくるまでは仕事をおろそかにせず、無用なトラブルを避けるようにしましょう。
同じ職場内の異動であっても、先を見据えて働いていた従業員からするとモチベーションが下がる要因になりますし、人間関係も変わるため抵抗を感じるパート・アルバイトは決して少なくありません。
ましてや店舗異動などがある場合、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
ほとんどの企業で異動はつきものなので、転職をしても異動や業務変更がないとも限りません。
実際、異動してみたら意外と仕事が合っていた、新しいスキルが身についた、より人間関係が恵まれた、遅刻早退や欠勤が相談しやすくなったという声もあります。
また、同じ会社内で培ってきた知識や評価を活かすことができるので、転職をしてゼロからスタートするよりはいままで積み上げてきた評価を保ちながら仕事をすることもできます。
よほど就業条件が変わって不利益を被ることがないかぎり、一度はチャレンジしてみることをおすすめします。
それでもどうしても異動が合わないときは、次の仕事は転勤や異動がない雇用形態や働き方を探す!など希望条件の優先順位をつけてみましょう。
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