壁は103万・130万だけじゃない!主婦が損しない収入はいくらまで?扶養内とは・税金の壁の違いを徹底解説
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お金と法律
「パートで働くなら、扶養範囲内だとお得なんでしょ?」
「でも、扶養っていったいいくらなの?夫も扶養内で働いてほしい…っていうけど、働いて稼ぐのとどっちが世帯収入は増えるの?」
結婚後の働き方を選ぶとき、選択肢の一つになりやすい扶養範囲内でのお仕事。
以前は103万円の配偶者控除の壁と、130万円の社会保険の壁の2つだけ気にかけていたら「扶養内で働ける」とわかりやすかったのですが…
最近は、100万円の壁、106万円の壁、150万円の壁、160万円の壁など……壁、壁、壁!
「どの壁が自分が気にしないといけない壁?結局、扶養ってなに???」
「103万・130万だったらどっちが得なの?」と困ってしまっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、いろんな壁をできるだけわかりやすく説明していきます。
損なく得する働き方になるよう、あなたにぴったりの収入の目安が見つかりますように!
もくじ
そもそも「収入」と「所得」の違いとは?
普段仕事をした対価として得る報酬を「収入」とか「所得」とか言葉の区別なく使っています。実はこの2つには明確な違いを知ることで、扶養や税金について、深く理解することができます。
ここではその違いを詳しく見てみましょう。
収入とは?
「収入」とは入ってくるお金や物品のこと、すなわち会社員やアルバイト、パートの方であれば、働いて会社から入ってくるお金のことです。また個人事業主や店舗経営者の場合であれば、事業で得た「売上」のことを指します。つまり「所得控除」や「必要な諸経費」の差し引きなどを加味することなく、入ってきたそのままの金額を収入と呼びます。
所得とは?
「所得」とは経費や所得控除を引かれて残る金額のことをいいます。会社員やアルバイト、パートの方であれば、経費精算することはほとんどないと思いますが、年収に応じて定められる「所得控除」を引いた金額を所得と呼ばれます。
また個人事業主や店舗経営者の場合、事業にかかる必要経費(一般的に交通費や交際費、機器代など)や各種控除を引いて残った金額を所得と呼びます。
どんな壁がある?「年収の壁」
まず、パート主婦・主夫にはどのような壁があるのか、一覧で確認しておきましょう!
1.100万円の壁
年収100万円を超えると、自身で住民税を納める必要が出てきます。
2.103万円の壁
年収103万円を超えると、自身で所得税を納める必要が出てきます。
3.106万円の壁
年収106万円を超えると、自身で社会保険料を納める必要が出てきます。
4.130万円の壁
年収130万円を超えると、自身で社会保険料を納める必要が出てきます。106万円/130万円の違いはのちほど補足します。
5.150万円の壁
年収150万円を超えると、配偶者は配偶者控除を受けられなくなります。
6.201万円の壁
年収201万円を超えると、配偶者は配偶者特別控除を受けられなくなります。配偶者控除と、配偶者特別控除の違いはのちほど補足します。
多くのパートで働く主婦が言う「扶養内」というのは、所得税の控除が受けられる「103万円以内」のことを指すことが多くなります。※子どもや親など扶養親族が受けられる控除を「扶養控除」と呼びます。
実際に控除を受けることができるかどうか確認するには、年始に発行される『源泉徴収票』に記載される支払金額で確認できます。
支払金額とは、源泉所得税や社会保険料などを差し引いた、手取りではなく総支給額(年収)のことです。
よく「扶養内って手取り?総額?」という質問をいただきますが、総支給額を確認してみてくださいね。
さて、上記の一覧を見てみると「住民税・所得税」という税金の話と「社会保険料」という保険の話が出てきましたね。それぞれどんな内容なのか解説していきます!
抑えるべきは2種類!「税金」と「保険」
パートで働く主婦が押さえておくべき壁は、2種類にわけられます。
・税金にかかわる壁
・社会保険にかかわる壁
の2種類です。
まず税金の壁を見てみましょう!
税金にかかわる壁
~100万円まで:住民税の支払い対象外(※自治体により93万円~100万円で異なるのでご確認ください)
~103万円まで:所得税の支払い対象外、配偶者控除を受けられる
~150万円:配偶者特別控除が受けられる
~201万円:配偶者特別控除の上限
となっています。それぞれ具体的には後ほど説明していきますね。
ここでは「130万円の壁」などがでてきませんでしたが、「106万円の壁」「130万円の壁」は社会保険にかかわる壁です。
社会保険にかかわる壁
~103万円:配偶者控除(社会保険料の支払い対象外)
~106万円:社会保険加入対象(16年~の拡大適用)
~130万円:社会保険加入対象
となっています。
それぞれの壁について知ろう
では、それぞれの壁について概要を説明していきます!
1.住民税・所得税について
2.配偶者控除・配偶者特別控除について
3.社会保険料について
1.住民税・所得税
まずは「100万円・103万円の税金の壁」こと住民税・所得税の壁から!
住民税・所得税って?
住民税
まず住民税は、都道府県・市区町村に支払う税金です。
住民税は集められたあと、都道府県・市区町村が行う行政サービスに使われます。
住民税は給与所得にかかわらず一律で支払う「均等割」と、給与所得に応じて支払う「所得割」の合計で金額が決まっています。
課税基準に満たない1年間の収入総額93万円~100万円であれば、住民税は発生しません。(※以下、100万円の記載で統一。お住いの自治体をご確認ください)
住民税についてはこちらにもまとめています。
所得税
次に、所得税。所得税は収入に対してかかる税金のことです。
1年間の収入総額が103万円以下であれば、所得税は発生しません。
つまり、
ちなみに、1万円オーバーして101万円になっちゃった!という場合でも、住民税は年間7000円くらい。
103万円におさまっていれば収入のほうが上回っているので、あまり影響はないようと考える人が多いようです。
住民税・所得税の計算方法についてこちらでも紹介しています。
◆ここまでのまとめ
「100万円の壁」「103万円の壁」は、税金(住民税・所得税)を支払うかどうかの境界線!
年収100万円以下:住民税も所得税もかからない
年収100万円以上~103万円以下:住民税がかかるが、所得税はかからない
年収103万円以上:住民税も所得税もかかる。
2.配偶者控除・配偶者特別控除
では次に、いわゆる“扶養枠”と言われる配偶者控除についても説明していきます。
配偶者控除ってなに?
納税者に、”所得税法上の控除対象配偶者”がいる場合、納税者は一定金額の所得控除が受けられます。これを、配偶者控除といいます。
たとえば、夫のほうが収入が高く、妻が低いとします。妻の収入が一定金額以下なら、夫は年末調整や確定申告で控除を受けることができます。
この時の妻は控除対象配偶者、と呼ばれます。”控除対象配偶者”とは、その年の12月31日の現況で、下記4つの要件全てに当てはまる人です。
1.民法の規定による配偶者であること。内縁関係の人は該当しません。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年以前は38万円)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること)
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または、白色申告者の事業専従者でないこと。
間違いやすいところなのですが「38万円」はあくまで”所得”で、収入ではありません。(所得=収入ー給与所得控除)
所得税の扶養控除に入っていると、配偶者には所得税も社会保険料もかかりません。差し引かれるものがないので、年収103万円がまるまる手取りになるということです。
また、納税者も控除を受けられるメリットがあります。本人の所得にもよりますが、配偶者控除が受けられるからです。
扶養控除には2つの制度があります。
税金の減額
1つめは、税金の減額。
配偶者の収入が103万円以下の場合、納税者の税金(住民税、所得税)が減額されます。
たとえば、会社員の夫と、配偶者控除を受ける妻(パート勤務)夫婦の場合
妻の年収が103万円以内だったら、夫の支払う税金が減額される、というものです。
ただし、納税者の所得によって配偶者控除が受けられる金額が変わってきます。
2018年以降は、控除を受ける納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられません。
また、控除額は納税者の合計所得金額と、控除対象配偶者の年齢によって、金額が決まっています。
控除を受ける納税者本人の
合計所得金額 |
控除額 | |
控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者※ | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
※老人控除対象配偶者とは…控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
保険
2つめは、保険。
社会保険(健康保険や厚生年金など)の社会保険料が、納税者の保険料でまかなわれます。
先ほどの例でいうと、会社員の夫が保険料を支払えば、妻は保険料を払う必要がありません。別途お金を支払わずに保険に加入できます。
※配偶者以外の扶養者(子どもや親など)のボーダーラインは103万円です。
配偶者特別控除
2017年の制度拡大で配偶者控除の範囲が拡大され、いままでの103万円から150万円にひきあげられました。これが「150万円の壁」です。上限も141万円から201万円にひきあげられています(「201万円の壁」)
あわせて、主たる納税者の所得にも制限がかかりました。
配偶者特別控除は、下記の要件全てに当てはまる人が受けることができます。
1.控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
2.配偶者が、次の要件全てに当てはまること。
・民法の規定による配偶者であること(婚姻届けを提出し受理された配偶者であること)
・控除を受ける人と生計を一にしていること
・その年に青色申告者の事業専従者としての給与支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
・年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること(※平成30年~令和元年分までは38万円を超え123万円以下、平成29年分までは38万円を超え76万円未満であること)
3.配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
4.配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された厳選控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(※配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合などを除く)
5.配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、厳選徴収されていないこと(※配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合などを除く)
3,4,5は、夫婦どちらも配偶者特別控除の範囲内の所得であっても、お互いが控除を受ける対象にわけではなく、どちらか一方の納税者の所得控除として適用されますよ、ということを指しています。
控除額は、控除を受ける納税者本人のその年の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額によって決まってきます。
この配偶者控除の改正で影響が大きい家庭は、
①「主たる納税者の所得が900万円超の家庭」
今まで受けられていた控除が受けられなくなっています。
②「主たる納税者の所得が900万円以下で、配偶者の年収が103万円~201万6,000円未満の家庭」
控除が受けられる人が増えて、メリットがある人が増えました。
これについて、図にしてみました。
◆改正される前
103万円までであれば控除が満額で受けられ、141万円までは段階的に配偶者特別控除が受けられました。
◆改正された後
150万円までは控除が満額で受けられ、201万円まで段階的に配偶者特別控除が受けられます。
控除額について具体的な金額を知りたい方はこちらを参照ください。
◆ここまでのまとめ
・配偶者控除は、納税者が払えば配偶者の税金・保険料がかからない♪
・配偶者特別控除は103万円を超えても(ちょっと減免される率は下がるけど)控除が受けられる
配偶者控除
年収103万円以内:所得税・社会保険料がかからない=まるまる家計に入れられる、納税者の税金も減免される。
配偶者特別控除
年収103万円~150万円:103万円を超えても段階的に控除を受けることができる、納税者の税金も減免される
扶養内で働く場合、勤務日数・時間の調整をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「103万円以内におさめないと!」と思うあまりに、収入が103万円を超えないよう年度末にギリギリの調整をする方もいらっしゃいます。
また、残業などがかさんで「ギリギリ超えてしまった!」と慌ててしまうこともありますよね。
配偶者控除が受けられなくても、配偶者特別控除の対象であれば控除が受けられるので、まずは確認してみてくださいね。
新配偶者控除についてはこちらの記事にまとめています。
なお、交通費や通勤手当は103万円に含まれません(非課税)。
補足:子どもがアルバイトで稼ぎすぎて扶養枠を超えてしまった!どうなる…?
もし103万円をこえてしまったらどうなる?
もし、主たる納税者が年末調整で配偶者控除を受けていた場合、改めて年末調整のやり直しが必要になります。
配偶者以外(子どもや親など)の税金のボーダーラインは103万円なので、子どもが思っていたより稼いで扶養控除に入ることができなかった…ということはよくあるケースです。年末調整の際には、必ず確認しておきましょう。
もし130万円をこえてしまったら?
主たる納税者が配偶者特別控除を受けている場合、配偶者の年収が150万円以下であれば所得金額に応じて段階的に控除を受けることができます。
ただし、本人自身で社会保険に加入することになります。
3.社会保険
では次、いよいよ最後です!「106万円の壁」「130万円の壁」社会保険の壁についてご説明します!
社会保険ってそもそも何?
手取りがガクッ!と減る、最大の壁。それが社会保険。です。
そもそも社会保険とは、何でしょうか。
「社会保険」と一言でいっても、広い意味で使われる場合と、狭い意味で使われる場合があります。
まず、広い意味では、病気やケガ、出産、失業、障害、老齢、死亡などに対して、必要な保険給付をおこなう公的な保険のことです。ここには国民年金保険・国民年金なども含まれます。
次に、被用者(雇われて働いている人)の給与明細などに記載される「社会保険」は、もう少し狭い意味で使われています。
社会保険は「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3つをまとめた総称として呼ばれています。また「雇用保険」「労災保険」の2つの保険を”労働保険”と呼びます。
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険は加入していると給与から控除されます。
「あぁ、あのお給料から引かれる、高額なやつ…」と思うと避けたくなりますが、メリットもあります。
自身で加入したいか、配偶者控除の範囲がいいか……確認してみてください。
そのためにも、それぞれの保険について簡単に説明しますね。
健康保険
健康保険は、医療給付や手当金など、生活を安定させることを目的とした保険です。
・病気や怪我をしたとき
・病気や怪我が理由で会社を休み、お給料がでないとき
・亡くなったとき
・出産をしたとき
・出産のために会社を休み、給料がでないとき
に適用されます。
保険料は労使折半。会社と、加入者が、半分ずつ保険料を支払います。
参考:健康保険制度の概要
介護保険
介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支え合うことを目的にしています。
「あれ、介護保険が引かれたことはないけど…」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
介護保険はいつから支払うのでしょうか?
介護保険はすべての働いている人が払うものではなく、「満40歳に達したとき」から徴収が始まります。
「満40歳に達したとき」とは40歳の誕生日の前日から。前日が含まれている月から、介護保険料が徴収されます。
厚生年金保険
厚生年金保険は「公的年金」のひとつです。
公的年金には3つの種類があります。国民年金、厚生年金、共済年金です。
日本に住む人は、いずれかの保険に加入することが義務付けられているので、いずれかに加入していることになります。
会社勤めをする人が加入するのは、厚生年金。ここに保険料を払うことで、将来的に年金が支給されるようになっています。
厚生年金保険に加入している人は、国民年金の給付「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることができます。
配偶者の扶養に入って保険加入をしている場合、基礎年金の受け取りのみです。
雇用保険
雇用保険はご存知の方が多いかもしれませんね。
お仕事を辞めて退職したとき、失業給付金やハローワークでの求職支援などが受けることができる保険です。
加入する条件は
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・31日以上の雇用見込みがあること
の2点です。
パートで働いても条件に該当すれば、雇用保険の加入手続が必要になります。
社会保険加入条件って?
社会保険加入の条件は、いままでは
1)正社員の4分の3以上(週30時間以上)の週所定労働時間
2)1ヵ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
3)2ヵ月超の雇用見込み
の2点でした。
1)の部分を金額換算すると130万円程度になることから、「130万円を超えると社会保険加入加入対象になる」…とされていました。
“でした”、”されていました”…というのも、法改正がありその範囲が拡大されたのです。
社会保険加入条件の拡大
2016年10月の法改正で、社会保険加入の条件が拡大され
1)勤務先(雇用元)の保険加入者が501名以上いる
2)週の所定労働時間が20時間以上
3)月額賃金が88,000円以上(年間約106万円)
4)1年以上の勤務の見込みがある(契約更新有りの場合も含む)
5)学生ではない
この5つすべてに該当する人も、社会保険加入対象として追加になりました。
つまり、社会保険拡大適用によってできた新しい壁が「106万円の壁」。もともとの社会保険加入条件の壁が「130万円の壁」なのです。
※なお、交通費や通勤手当も含んだ総額になります。交通費支給がある場合は、計算するときに注意してください。
拡大適用条件の5つのうち1つでも対象外であれば、130万円までがボーダーラインになります。
これからお仕事を探す人に確認しておいてほしいことは、
・勤務先(雇用元)の保険加入者が501名以上いる?
・1年以上の勤務の見込みがある?
というところ。これによって社会保険加入対象かどうかが変わります。
また、勤務先の保険加入者数について、派遣で働く人は注意してください。
例えば、派遣先の職場が10人くらいの小規模企業であったとしても、契約する派遣会社(派遣元企業)が501人以上なら加入条件にあてはまります。
もし社会保険に加入しないで働きたい場合、どんな点に注意したらいいでしょうか?下記にまとめているので併せて読んでみてください。
それぞれの壁にまつわる、一緒に覚えておきたいこと
長くなりましたが、あと少しです!
最後に、それぞれの壁に関して一緒に覚えておきたいことを確認しておきましょう♪
社会保険の「月額賃金8.8万円」には交通費も含まれるの?
時給×勤務時間×日数である程度収入の予想ができたら、「交通費や、インセンティブは含まれるの…?」というところが気になります。
社会保険の加入要件で決められているのは、月額賃金=週給・日給・時間給などを月額に換算した金額が、8万8千円以上であること。
この金額には、以下の2つは含まれません。
臨時手当……慶弔手当など冠婚葬祭について会社から支払われた手当、1か月を超える期間ごとに支給される賞与・ボーナスなどの手当
所定外給与……時間外労働・休日出勤・深夜勤務などの割増分賃金、通勤手当、家族手当、勤続手当など
※なお、所定外給与は最低賃金にも含まれません。
ここで「時間外労働が含まれないということは、残業代も引いていいの?」という疑問が出るかもしれません。
ここでいう時間外労働とは、労働基準法で決められた労働時間を超えた場合の事を指しています。つまり、週40時間・1日8時間を超えている場合に2割5分以上の割増賃金が支払われた場合です。
パートタイム・アルバイト等の短時間勤務で働く場合の残業は、割増賃金に該当しないことがほとんどです。
一番損がなく働けるのは、いくらまで?
住民税も所得税もかからない93万円~100万円であれば、稼いだ収入=純粋に家計のプラスになります。
この範囲で働きたい方は「扶養枠内調整ができるお仕事」を見てみることをおすすめします。
少し『税金の壁』(住民税、所得税、配偶者控除、配偶者特別控除について)説明をおさらいしましょう。
103万円以下の扶養枠内で働くメリットを簡単にまとめてみると、
1.103万円以下で働くと所得税がかからない。
2.配偶者控除を受けることで、配偶者の税金負担が減る。
となります。
配偶者控除で受けられるのは所得税満額で38万円なので、103万円以下で働くことで『自分の所得税分+38万円分』の所得税支払いが不要になります。
そして、103万円をこえてしまった場合でも、103万~150万円以下ならば段階的に控除が受けられます(これが配偶者特別控除)。満額38万円の控除とはいかないまでも、収入に応じて節税が受けられるのです。
節税の効果が全くなくなるのは、年収201万円以上から。
税金の事だけを考えると、税金控除がなくなる201万円を超えるならもっと働いて稼いでしまったほうがお得と言えそうです。
では、103万円を超えて社会保険に加入しない範囲で働くとしたら、どんなメリットやデメリットがあるでしょうか。
103万円以内から、130万円以内まで収入を増やすとどうなる?
次に、配偶者特別控除を受けられる範囲かつ社会保険に加入しない範囲で働くとしたらどうなるか、について触れておきます。
収入を増やすことを決めた場合、いくつかのメリット・デメリットがあります。
メリットは、世帯年収が増えること。
103万円を超えることで所得税の支払いが発生するのはデメリットですが、所得税といっても1万円前後です。
配偶者特別控除の段階的な控除を受けていれば世帯収入として考えるとプラスになると考えられます。
また、選べるお仕事の幅が広がるメリットもあります。
103万円以下で働く場合、月の収入目安は8万円程度です。
最低賃金も値上がりをしているので、絶対に103万円以内で働こうとすると週3日×1日4~5時間勤務のお仕事が目安に。
事務系求人では週4~5日勤務を募集することが多いため、仕事内容で選ぶと収入がオーバーしてしまう…ということもあります。
希望の業界や職種で働きたいと考える場合、扶養を超える選択をする方が仕事探しも変化が出るでしょう。
一番損があるのは、いくらくらい?
社会保険料は収入の15%くらいなので、130万円前後は保険料を差し引けば手取り金額がほぼ変わりません。
保険料を差し引いてもプラスが出てくるのは160万円以上から。
いわゆる「働き損」と言われるのは、所得税も保険料も支払って配偶者特別控除も段階適用になっている130万円~150万円の間です。
扶養を超えて&損のない金額で働きたい、という方はこちらからお仕事を見てみてください。
収入の効率的な調整方法
自分が目指すべき損をしない年収が分かったとしても、実際にその年収通りに仕事が調節できるかどうかが問題になります。「会社の都合で思わず年収が増えすぎてしまった」「もう少し年収が欲しかったのに、思ったよりも仕事に入れなかった」ということはよくあります。
そんなとき、どうすれば年収の上げ下げを調整できるのでしょうか?ここでは仕事や年収の調整が効く働き方・方法を紹介したいと思います。
副業(複業)や単発のアルバイトを入れる
「収入は増やしたいけど、がっつりと仕事はしたくない」「柔軟に入れられる仕事を持っておきたい」そんな方に最もおすすめな働き方が「副業(複業)」や「単発アルバイト」です。以前はイベント会場の設営や事務所の移転作業など、重労働のイメージが強かった副業や単発アルバイトですが、最近はデータ入力といったパソコン作業など、仕事が多様化しています。
体力に自信がない方でも、気軽に仕事ができる環境が増えています副業や単発アルバイトをやる特徴・メリットとしては、主に以下が挙げられます。
①時間の調整が効きやすい
たとえば「3時間だけ時間が空いた」とか「入っていた予定がキャンセルになった」といった場合に、サクッと仕事できることが特徴です。特に直前でも仕事を入れやすく、収入だけでなく、時間の調整が効きやすいことが一番のメリットです。
②比較的単価が高い
副業の仕事はなんとなく収入が低いイメージがありますが、意外と単価が高いのが特徴です。緊急性が高い仕事や、スキルを生かせる仕事であれば、その分報酬も高く効率的に働くことができます。
必要年収に合わせた転職
「今の仕事では年収が少しオーバーする」「収入額の交渉ができない」そんな方は転職をしてしまうのがおすすめです。転職は以前はネガティブなイメージがありましたが、最近では転職市場が活発になり、また新たな人材を取り入れたい企業が増えていることから、転職活動が一般的になりました。
また企業もさまざまなスキルを持つ多様性ある人材を獲得したいことから、積極的に転職者を受け入れる企業が増えています。今までの職場で得たスキルを最大限生かして、自分の市場価値をあげることも可能です。
一方で最近では「フレックス制度」や「コアタイム制度」、また「時短勤務」など柔軟な働き方や収入形態を推奨する企業が増えており、自身のライフスタイルに合わせて勤務時間を短くすることで、自分が目指したい年収に調整しやすくなっています。
最近のトレンド「リモートワーク」「在宅ワーク」
2年前から新型コロナウイルスが蔓延したことで、各企業が「リモートワーク」「在宅ワーク」の推奨をはじめました。会社の事務所に出勤してから業務をする形から、家にいながら仕事ができるようになったことでしょう。
仕事をする上で案外ネックな問題が「移動時間」です。行き帰りの移動があることで、勤務時間以外の時間が発生してしまいます。しかもその時間分の報酬はでないので、ただ単に時間だけが取られてしまいます。
また会社に出勤すれば業務以外のことにも時間を取られますよね。特に職場の人間関係は、業務を効率的に進められるメリットがある一方、不要なコミュニケーションが発生したり、社員同士の会食で時間が取られることもあるでしょう。
ここで「リモートワーク」「在宅ワーク」であれば、会社との行き帰りの時間がない分、効率的に収入を得ることができます。また通勤から開放されるので、ストレスなく仕事に集中することもできます。家で仕事ができれば職場の人間関係にわずらわされることも少なくなるので、不要なことに時間が取られず、必要最低限のコミュニケーションで仕事を進めることができるでしょう。
まとめ
今回は、たくさんある「壁」についてまとめてご紹介しました。
長くなってしまってすみません…最後までお読みいただき、ありがとうございます。
最後に、ポイントを簡単にまとめます。
税金にまつわる壁は、100万、103万、150万、201万円。
社会保険にまつわる壁は、103万、106万、130万円です。
パートを増やしたら扶養の範囲を少し超えてしまった、とか、社会保険に入ることになるとは思っていなかった…!とならないよう、どのくらいの収入が希望に合うか、計算してみてくださいね。
なお、計算する際には、配偶者控除内(103万円以内)で働きたい人は交通費は非課税対象なので含まないで計算をします。社会保険の加入基準の所得については交通費を含んで計算するので、気を付けてくださいね。
結果的に扶養範囲内のほうが世帯年収が良かったり、逆にいっそ扶養範囲を超えてしまったほうが世帯収入が増えることもあります。
これは世帯収入によって変わってくるので、一様ではありません。
ただし、長い目で見ると、保険加入をするくらい働いて収入を増やしていくことがおすすめです。
たとえば、扶養に入っていれば社会保険料を払わなくて済みますが、社会保険料を払う必要はあれども厚生年金がプラスされて生涯で受け取れる金額が変わります。
もちろん、家族の年齢やあり方によっては「その時の暮らしに合った働き方かどうか」も加味する必要がありますね。
子どもがまだ小さければ保育園料もかかりますし、収入が保育園料で相殺されてしまっては家計の足しになりません。高齢の家族がいる場合の介護費用も同じです。
その時・その期間の暮らしに合わせて、税金や保険を払ってでも働く時間を増やした方が良いか、制限したほうが良いか、判断していくことがベストです。
将来を見据えながらもよい選択に繋がりますように。この記事がお役に立てば幸いです。
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この記事を書いた人
しゅふJOBナビ編集部