40代~50代に訪れる「中年(ミッドライフ)クライシス」働く女性に多い不安と悩みとは
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からだのこと
「なんだか最近落ち込んだり先行きが不安だったり…これって私だけ?」
「子どもが他県に進学して、寂しいだけじゃなくてぽっかりとしたような気持ち…これって何?」
それ、もしかしたら中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)かもしれません。
40代~50代は自身も周りも変化が大きく変わる時期。悩み葛藤し、人生に危機感を持つ人がとても多いのです。
今回は中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)とは?働く女性に多い不安や悩みに触れながら考えてみましょう。
もくじ
中年クライシスとは?
中年クライシスは「ミッドライフ・クライシス」「中年の危機」「第二の思春期」ともいわれる40~50代に訪れる時期です。
社会生活を営み、家庭や仕事が安定してくる中で自分の人生やアイデンティティに不安を感じたり葛藤を覚えたりします。
アメリカの心理学者のダニエル・レビンソンによると、なんと80%の人がこの年代に大きな危機を迎えているとされています。
発達心理学から見る”40代~50代”
発達心理学者のエリク・エリクソン(1902~1994)は「人には、生涯にわたって体および自身をとりまく環境に変化があり、それを乗り越えるという課題が繰り返し発生する」という視点を持ち、一生涯の心の発達過程を8つの段階に分けました。
そのうち、40歳~65歳ころは成人期(中年期)と呼ばれています。この時期は子育てや後輩の育成に興味・関心をもちやすく、他者の成長に喜びを感じることで自己を高めていくとされます。
心理学者のダニエル・レビンソン(1920~1994)も中年期について詳しく研究を行いました。特に中年男性にフォーカスして調査を行った結果、40歳~60歳は「中年への移行期」とし、人生の折り返し地点であるとしています。
確かに企業勤めであればある程度仕事も安定してリーダーや後輩を指導する立場になる人も多くなってくる年齢ですね。収入的にも生活面でも、人生で最も安定・充実した時期ともされています。
その一方で、仕事で責任のある地位についてやりがいを感じたり、〇〇する反面、責任の重さ、部下の指導をしながら上司にも指導を仰ぐ関係性、体力や能力の限界で老いを感じ、子どもの育児~独立、親の介護、自身やパートナーの病気、近づいてくる老後への不安、支出も多くなり金銭的な心配が出てくる…など、さまざまな事態に直面する時期でもあります。
いずれも自分だけでどうにかしきれる問題ではなく、何か手を打ったら即解決!ともいかない問題が多いため、焦燥感や無気力を感じやすくなるのです。この時期は「体がしんどい」「心がしんどい」のWしんどい状態になりがちです。
女性に起こる中年クライシス
この中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)は性別をとわず男女に訪れるとされていますが、特に女性は影響を感じやすいようです。
なぜなら、女性ホルモンは40代から急激に減少するといわれており、閉経、更年期障害など心身の不調が起きやすい時期。そのため、このクライシスが起きていることに実感を持ちやすい方が多くいるのです。
体調面の不調では、のぼせ、冷え、疲れやすさ、焦り、不安、怒り、憂鬱などの症状が出やすくなります。また、肌にも影響が出ます。肌の張りや透明感が減り、筋力が低下ししわやたるみが出てきます。
容姿面での老いを感じるほかに、子どもの独立、親の介護、家族や自身の病気などにも悩みやすい時期です。
特に子育てに力を注いできた場合、子どもが独立したことで自分の存在意義がなくなったように感じ、悩み、生活に無気力になってしまうことがあります。
また、夫が定年を迎えることで夫婦生活の時間が長くなり、夫婦関係に悩むというのもよくある話です。
子どもの進路やライフスタイルの違いから価値観の違いが出やすい時期でもあり、長い付き合いの友人であっても共感しきれない溝を感じて相談しづらくなることもしばしばあります。ここから孤独感を感じる方も多いようです。
育児中は子どもを優先したいと頑張ってきた親がこのままでいいのかとキャリアについて悩んだり、働き続けてきた人がこのまま働いていて自分の人生は豊かになるのか先行きを憂いたりします。
「これでよかったのだろうか」と考える時期なのです。
中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)を乗り切るには
育児や介護、仕事の責任を考えると、先は果てしなく、終わりの見えない苦しみを抱えているように感じる方も多いのではないでしょうか。
中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)を乗り切るには、いくつかのコツがあるようです。
自分をみつめる
この時期は子どもの独立、親の入所や通所、部署異動や昇進など生活を大きく変える変化も出てきます。
自分が幸せに感じることはどんなことでしょうか。
今後どうやって生きていきたいでしょうか。
人生の終わりには、どんな最後を迎えたいですか?
家族のために費やしてきた時間はこれから少しずつ減っていき、また人生は自分軸で回りはじめます。自分がどうしたいか、整理してみましょう。
昔好きだったこと、夢中になっていたこと、今興味があること、いいなと思うもの…自分の気持ちに向き合ってみてください。
他人と比べるのをやめる
近年ではネットやSNSの普及により、同年代や家庭環境が似ている人がしている生活を垣間見ることができるようになりました。
そこからも自分の生活とのギャップを感じ、つらくなってしまう人も増えているのだとか。
よそはよそ、と考えられるうちは良いかもしれませんが、幸せを感じるポイントは人それぞれです。
あまり比べすぎず、時にはブログやSNSから離れて自分の生活を見つめることも必要かもしれません。
新しいことをはじめる
この時期は「新しいことに取り組みやすい時期」。
仕事に注いでいた力と時間を少しずつ趣味や勉強の比率を増やしたり、育児・介護など大切な人達のために使う時間を少しずつ自分のために増やしたり、60歳以降の新しいステージを始めるための準備を始めてみてはいかがでしょうか。
たとえば、習い事をしてみる。資格取得にチャレンジしてみる。興味のある分野の仕事についてみる。ボランティアや地域活動に参加して人間関係を広めてみてもいいかもしれません。
先述でSNSから離れるように記載しましたが、他人と比べない内容であればあえてSNSにチャレンジしてみてもいいかもしれません。趣味の手芸や園芸、料理やペットについて投稿しコミュニケーションをとってみるのも生活に張り合いがでます。”推し活”として俳優や歌手、アイドルを応援し始める人もいますよ。
新しいことを始めるともちろん最初は忙しくなったり疲れてしまったりするものですが、新しいことを知ったり、自分の可能性が見えてきたり、自信につながることもあります。次に繋がるようなきっかけもあるかもしれません。
やってみたいな、と思う気持ちを大切にしてみましょう。
体を動かしてみる
ダイエットや筋トレと聞くと本腰を入れねば!と頑張りすぎてしまったり、自分にはできないから…とあきらめてしまったりするかもしれません。
この時期は、心身共に変化が多い時期です。まずはチャレンジングな事よりも、気分転換にストレッチをしたり、外の景色を楽しみにウォーキングやランニングなど気軽な運動から始めてみてはいかがでしょう。
最近は町おこしの一環でウォーキングイベントなども増えてきました。ユニバーサルなイベントであれば車椅子でも参加できるものもありますよ。
「ラジオ体操を始めてみたら意外と肩が上がらなくてびっくりした…」という声も聞こえます。
ちょっと動いて、いつもよりたくさん酸素を吸って深呼吸をした!という小さな一歩からでもはじめてみるといいですよ。
答えを出すのを急がない
最後に、中年クライシスに起こる心身の危機・仕事や家庭の危機は、いまのあなたにとって、とてもつらいものかもしれません。
離婚をしたい、転職がしたい、引っ越したい、どこかにいってしまいたい…もう他に選択肢はないと考える方も少なくはありません。
悩んで時間が過ぎることに焦りを感じるかもしれませんが、この時期はとにかく心も体も揺れ動き、たくさんの決断を迫られる時期です。
自分1人で決めようとせず、できるだけ周りの信頼できる人に相談をしたり、意見を聞いてみたり、自問自答をして答えを煮詰めてみてください。
ひとりで考える必要があるときは、頭に浮かぶことをノートに書きだすことがおすすめです。
考えすぎると疲れてしまいますし、結論がでないものをずっとぐるぐると考えていると気持ちも沈んでしまいがちです。
頭の中を一度からっぽにする気持ちでノートに書きだしてみましょう。解決の糸口も見つかるかもしれません。
「これでよかったのだろうか」と過去を振り返る時間は、どんな道を選ぼうとしてきたか自分の価値観がわかる時間です。
自分が好きだったこと、嬉しい・楽しいと感じること、幸せになれることを振り返ってみてください。
反対に、選ばなかった人生を後悔する時間は減らしてみましょう。
なぜなら、「あの時別の道を選んでいたら…」としても、同年代の80%が「これでよかったのか」と悩んでいるのですよ。きっと別の道を選んだ先でも、内容は代わるかもしれませんが、悩み事は尽きないのです。
40~50代は「中年」という通りまだ人生の後半戦があります。人生80年でも折り返し地点ですし、もう人生は100年時代。まだまだ先があるのです。焦らずにゆっくり決めても遅くはありません。
まずは先立つものを埋めるために働いて収入をふやしてみてもいいかもしれませんし、職場や趣味のコミュニティを広げてこれからやりたいことを見つけてもいいかもしれません。
自分が幸せに感じる時間を1分でも多く増やすことを考えてみましょう。まずはこのあと、何をしてみたいですか?
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この記事を書いた人
しゅふJOBナビ編集部