扶養内パートの住民税はいくら?103万円の壁や所得税との違いも解説
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お金のこと

扶養内パートの住民税はいくらなのでしょうか。
「103万円以内なら住民税はかからない?」
「扶養内のパートで住民税がかかるのはいくらから?」
「扶養範囲内で働いたはずなのに、住民税の納税通知書が届いた!」
「住民税って給与から天引きされるものじゃないの?支払い通知書が届いたんだけど…」
という経験をした方も少なからずいらっしゃることでしょう。
今回は、扶養内における「住民税」について以下の3点を中心に解説していきます。
・所得税と住民税の違いとは?
・住民税を上手く調整するには?
・パートの平均年収で、実際に住民税を計算
扶養を超えると都合の悪い方も、扶養を気にせず働きたいという方も、それぞれ住民税がどのように扱われるのか整理していきましょう。
もくじ
住民税はいくら払うのか?
住民税は、前年の所得や扶養する家族の人数によって異なります。そもそも住民税は、前年の所得によって決まる「所得割」と定額の「均等割」、「森林環境税」で構成されています。それぞれの税率や課税額は以下のとおりです。
| 所得割 | 都道府県民税4%
区市町村民税6% ※政令指定都市は都道府県民税2%、区市町村民税8% |
| 均等割 | 5,000円
(都道府県民税1,000+区市町村民税3,000円+森林環境税1,000円) |
上記の税率や金額が一般的ですが、自治体によっては割合が異なることもあるため、ご自身の正確な住民税を知りたい場合はお住まいの自治体でご確認ください。
参照:『個人住民税』総務省
扶養内パートの住民税はいくら払う?
住民税は、パートなどの雇用形態にかかわらず前年の所得によって課税されます。住民税は前年の総所得金額が45万円以下の場合、非課税です。そのため、一般的に最終的な目安として、給与収入が110万円以下であれば住民税がかかりません。
| 給与収入額110万円ー給与所得控除65万円=45万円 |
ただし、パートの年収が110万円以下であっても、自治体によって均等割の課税対象になる場合があるためご注意ください。また、106万円を超えると社会保険への加入義務が発生することがあります。
※給与収入目安の110万円は、2025年分以降の給与所得控除額を適用した金額です。住民税としては2026年度から適用されます。
参照:『家族と税』国税庁
住民税と所得税の違いとは?

税金と一言に言っても、労働者が納めている税金には、いくつかの種類があります。最も身近な税金が住民税と所得税なのですが、違いは一体どこにあるのでしょうか。
まずは住民税と所得税の違いについて整理していきましょう。
住民税とは
住民税とは、居住している都道府県・市区町村に納める税金のことです。各地域から徴収される住民税は、さまざまな行政サービスを提供するための財源となっています。
一般的に、年収が100万円を超える場合には住民税が課税されるという理解をしておきましょう(収入が100万円以下でほかに所得がなければ、住民税はかかりません)
住民税は、
・所得に関係なく定額で課税される「均等割」
・前年の所得額に応じて課税される「所得割」
の2つの合算で構成されています。
「均等割」とは、都道府県税1,000円+市区町村税3,000円、森林環境税1,000円の合計5,000円が定額で課せられるものです。
もう一方の「所得割」とは、前年の所得金額から各控除額を差し引いた「課税標準額」に応じて計算される部分となります。
住民税の「所得割」部分と所得税を混同している方が多いため、計算してみた金額よりも実際の税金が高いのはなぜ??となりがちです。
所得税とは
所得税とは、就労者の所得に応じてかかる税金のことです。「給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円」を給与から控除した額に対して課税がかかります。
つまり、給与収入が103万円以下であれば、所得税は発生しません。
「扶養枠内で働く」という場合、この所得税が発生しない範囲を指していることがあります。
2017年12月までは被扶養者の給与収入が103万以内であれば扶養主たる生計者の所得税を抑えることができました。
2018年1月からは103万以下であれば配偶者控除、130万~201万円以内であれば配偶者特別控除として段階的に控除が受けられるようにに変更になっています。この場合、主たる生計者の所得が900万円以上であれば控除額が減少し、1000万円を超えると控除が適用されません。
なお、税制改正によって2025年分以降は基礎控除額や給与所得控除額が変更されます。具体的には以下のとおりです。
| 改正前 | 改正後 | |
| 基礎控除額 | 48万円 | 95万円
※給与収入132万円以下 |
| 給与所得控除の最低保証額 | 55万円 | 65万円
※給与収入190万円以下 |
| 合計 | 103万円 | 160万円 |
基礎控除額は、収入額によって異なりますが、132万円以下の場合は95万円、132万円を超える場合は58万円~88万円が段階的に控除されます。
給与控除額は、給与収入が190万円以下の場合、所得税のかからないラインは160万円となります。190万円を超える場合は従来通りの段階的な税率が適用されます(変更なし)
このように、2025年分以降は、給与収入123万円から160万円までが所得税のかからないラインとなります。ただし、2027年分以降の基礎控除額は給与収入額132万円を超える場合は一律58万円の控除に統一されますのでご注意ください。
参照:『No.1199 基礎控除』国税庁
参照:『No.1410 給与所得控除』国税庁
※ほかに、扶養枠内で働く=社会保険料を払わない範囲で働く、ことを指す場合もあります。詳しくはこちらを参照してください。
住民税と所得税はどう違う?
先述で「所得によって課税金額が決まる」とお伝えしましたが、「あれ?それって所得税のこと?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
所得税と住民税は、どちらもお給料から引かれる税金で、差がわかりにくいところですね…
実は、所得税と住民税には「基礎控除額」に違いがあります。
住民税と所得税の違いを区分すると、住民税は「地方税」、所得税は「国税」に分類されます。納める場所が違うため控除額と税率にも違いがあるのです。
住民税の所得割額は所得額にかかわらず税率は10%(都道府県税4%・市区町村税6%)と定められています。
対して所得税の税率は納税者の所得に応じて変動する「超過累進課税率」となっています。
また、住民税と所得税には所得控除額が異なるものがいくつもあります。基礎控除(限度額)は住民税の場合43万円です。
税額の計算は複雑で、自治体によっても異なるのですが、年収110万円までは住民税・所得税のどちらも課税されないと覚えておくと良いでしょう。
※ただし、給与収入106万円を超えると社会保険への加入義務が発生する場合があります。
この違いで「扶養枠内で働いていたはずなのに住民税の支払いをしないといけないの?!」という現象が起こりうるのです。住民税と所得税の違いについて、以下の動画でも詳しくご紹介しておりますので是非参考にしてみてください。
住民税の算出方法とは?
住民税について前項で解説しましたが、実際、住民税額はどのように算出することができるのでしょうか?
本項では、住民税の構成と算出方法について解説します。実は住民税は、
・一律に課される「均等割」
・所得によって決まる「所得割」
の2つを合わせたものになりますので、本項で正しく理解しておきましょう。
均等割
住民税の均等割は、収入の多寡にかかわらず誰しもが定額で課税される税金です。
均等割の金額は地域によって若干差がありますが、東京都の場合、個人都民税の税額1,000円と個人区市町村民税の税額3,000円、森林環境税の1,000円と定められています。
この金額は、県や市区町村の裁量で増減することができるため、皆様のお住まいの地域によって差はあるものの、基本的には「道府県民税1,000円+市町村民税3,000円+森林環境税1,000円」の5,000円前後であることがほとんどです。
所得割
上記で解説した均等割の他、住民税を構成する要素の一つに所得割があります。これは、納税者の収入に応じて課税される税金ですので、収入が多い方ほど所得割の金額も増えることになります。
また、所得割は給与から給与所得65万円、基礎控除43万円(合計所得金額が2,400万円超の場合、控除額が逓減・消滅します)の他、各種控除を差し引き、税率を掛けて計算されます。この税率は、市町村税6%・道府県民税4%の計10%です。
※給与所得控除額は2025年分以降の改正後金額
住民税をうまく調整するためには?
単純に住民税の課税対象にならないようにするためには、年収を110万円以下に抑えることだけを意識しておけば十分です。
年収が110万円を超えている場合でも所得割をうまく使うことで調整することができます。
ふるさと納税が適用される寄付金控除、住宅ローン控除、医療費控除、生命保険料控除、障がい者控除、寡婦/寡夫控除、扶養控除など、該当するものがあれば活用してみましょう。
年収パターン別:給与から引かれる税金のまとめ
では本項でよく間違えやすい所得税・住民税について、以下3つのパターンから税金が発生するか否かを解説いたします。税金の仕組みとして年収いくらから発生するかなど覚えておくと便利です。
パターン1.年収110万円以下
→住民税も所得税もかかりません。
※生活保護基準の級地区分(後述)によっては発生する場合があります。
パターン2.年収110万円超160万円以下
→住民税がかかるが、所得税はかかりません。
ただし、給与収入額によって基礎控除額や給与所得控除額が異なるため、123万円を超えると所得税の課税対象になることがあります。
パターン3.年収160万円超
→住民税も所得税もかかります。
※2025年分以降の税制改正後金額
そこで「税金はできるだけ払いたくない!」と考えている場合はどうしたらいいのでしょうか?
所得税だけでなく「住民税を払いたくない」と考えるなら?
所得税だけでなく住民税を払いたくない場合、給与年収が110万円を超えないように働き方を調整する必要があります。
年収110万円を前提にして働く場合、1か月当たりの給与は9万円ちょっとになります。
より具体的な数字を当てはめてみましょう。
たとえば、時給1000円・週3日・1日6時間(残業なし)で働いた場合、月86,000円程度の収入になります。これなら住民税の支払い対象にはなりません。
収入の上限がある場合は、就業日数・時間・時給いくらなら収まるのか、計算をしてみましょう。
注意点として、106万円を超えると社会保険への加入義務が生じる可能性があります。ただし、106万円の壁は今後(2026年10月を目安に)撤廃される予定です。心配な場合は、100万円以内に納めておくと安心です。
住民税非課税世帯とは?
住民税は原則前年に所得があれば課税対象です。しかし、特別な事情があったり前年の所得が一定以下であったりする場合、課税が免除されます。住民税の非課税には、「所得割のみ非課税」と「所得割と均等割の両方を免除」という2種類があります。「住民税非課税世帯」という言葉は、所得割と均等割の両方が免除される世帯を指します。
東京都23区における非課税の条件をご紹介します。
- 1.生活保護法による生活扶助を受けている方
- 2.障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4,000円未満)の方
- 3.前年中の合計所得が以下の人
同一生計配偶者又は扶養親族がいない:45万円以下
同一生計配偶者又は扶養親族がいる:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円で算出される金額以下
とくに「3」の条件について注意が必要です。
単身者の場合、給与収入額で100万円(2025年分以降は110万円)以下が基準です。配偶者や扶養する子どもなどがいる場合は、式に当てはめて計算します。たとえば夫婦二人世帯であれば以下の計算式です。
| 35万円×2人+31万円=101万円 |
給与所得控除を適用できるため、101万円に55万円(2025年分以降は65万円)を足します。
すると最終的には以下のように示されます。
| 給与収入156万円ー給与所得控除55万円=総所得101万円 |
総所得金額が101万円であるため、住民税が非課税扱いになるのです。このように、住民税が非課税になるためには、特別な事情があるか、一定の収入以下という基準を満たさなければなりません。
収入調整をしながら働くためには、どんな仕事を選べば良い?
パート・アルバイトの選び方によって、収入調整がしやすいかどうかが変わってきます。もしも自分の希望通りに、収入額を調整できなかった場合には、意図せず住民税を払うことにもなりかねません。
ここでは、住民税の支払いを免れながら働くために考えたい、いくつかのポイントを解説いたします。
年収110万円以内で働くためのポイントとは?
年収を110万円以下に抑えて働くためには、応募の時点で調べておくことや事前の相談が重要になります。
パートを募集する側も110万円以下に抑えながら働きたい人がいることは承知しており、扶養内勤務ができると募集段階から記載している職場もあれば、シフトや勤務時間を応相談としている職場はたくさんあります。
求人サイト等で収入調整に理解のある職場を探し、可能であれば事前に勤務条件などを確認することをおすすめします。
主婦の多い職場を選べば、パート同士で互いに理解もし合うことができ、シフトの融通も利きやすいでしょう。
どのような職種を選べば良い?
扶養範囲内で働ける職場の代表的な例としては、飲食店や小売店のスタッフ、医療機関、スポーツジムなどの受付などが思い浮かぶでしょう。
時給換算の職場であれば、収入額も計算がしやすくなります。以前に勤務経験がある方は、販売スタッフや受付の業務などから探すと良いでしょう。
また最近では、クラウドソーシングサイトなどを通して個人でも在宅でさまざまな仕事を受注することができます。
ライティングやデータ入力・動画編集などのスキルがある人であれば、自分でスケジュール調整をしつつマイペースで働くことができるでしょう。
収入が足りないときには、短期や単発の仕事でも調整することができます。
扶養範囲内で働くために注意すべきポイントとは?
扶養範囲内で働くためにまず注意しておかなければならないのは、働き始める前に必ず職場に確認を取ることです。
扶養範囲内で働きたいという希望に加え、週何回・何時間程度働き年収をいくらまでに抑えたいのか具体的に伝えておくことが大切です。
また、仕事を2つ以上掛け持ちする場合にも、掛け持ちをしていることを、可能であれば職場に報告しておきましょう。
扶養内勤務に理解のある職場であれば、シフトの変更などの際にも、掛け持ちを考慮して相談に乗ってくれるはずです。

住民税額に影響する要因とその対策は?
住民税の額はさまざまな要素によって変動するため、これらの要素について詳しく知っておくことにより、住民税額の調整に役立つ可能性があります。
住民税に影響を与える要因としては、以下のようなものが代表的です。
・年収の変化
・社会保険の加入状況
・家族構成に基づく税額控除
・居住している地域
以下では、住民税額に影響を与えるそれぞれの要因について、具体的に説明します。
要因1.前年度より収入が低い
住民税は前年度の所得によって算出されるため、ある年の年収が前年よりも低くなってしまった場合は、収入が下がったにもかかわらず、住民税が高くなるリスクがあります。
フリーランスや個人事業主などで、年収の増減が大きい人は、住民税の変動も予測して生活することが大切です。あらかじめ準備しておくことにより、予期せぬ財政的負担を軽減できるでしょう。
では、病気や失業により、収入がなくなったり激減したりしてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。やむを得ない理由により年収が下がり、住民税の支払いが困難になった場合は、居住している地域の自治体に相談することにより、分割納付に応じてもらえることがあります。自治体のサイトや役所に出向き、担当者に相談してみましょう。
また、災害により住居や家財が失われた場合や、生活保護を受けている場合には、住民税の減免が適用されることがあります。しかし、住民税の減免措置が取られることは稀です。
要因2.社会保険に加入していない
配偶者の扶養に入っている人が社会保険に加入していない場合には、住民税が高くなる可能性があるため注意が必要です。
社会保険(健康保険や厚生年金保険)に加入している場合、その保険料は所得控除の対象となります。つまり、支払った保険料の分だけ所得が少なくなるため、課税される所得が減るため、結果として住民税額が低くなるのです。例えば、年収500万円の人が年間60万円の保険料を払うと、その保険料を差し引いた440万円が課税所得となるため、所得が減った分だけ税金の負担は軽減されます。
しかし、配偶者の扶養に入っている人が、社会保険に加入していない場合は、上記の保険料控除を受けられません。そのため、パートやその他の収入がある場合に保険料が控除されず、住民税が高くなってしまうのです。
扶養内で働く際には、収入の範囲を細かく調整し、可能な場合は社会保険への加入も検討するのが良いでしょう。
要因3.配偶者控除・扶養控除の対象になっている
配偶者控除・扶養控除の対象になっている場合は、住民税の支払いが安くなります。
配偶者控除とは、納税者の配偶者が定められた条件を満たす場合に適用される控除です。具体的な金額として、配偶者の年収が123万円以下の場合に配偶者控除が適用され、最大38万円の控除が受けられます。
また、扶養控除とは、納税者に扶養(経済的自立ができていない者を養うこと)している家族がいる場合に適用される控除です。扶養される者の年収が123万円以下の場合に対象となりますが、配偶者は扶養控除の対象ではありません。扶養控除は、生計を一にする配偶者以外の親族で、16歳以上の人が対象です。
配偶者控除・扶養控除が適用されると課税所得が減り、住民税の所得割の部分が減額されるため支払う税金が少なくなります。
※2025年分以降の金額です
要因4.住んでいる都道府県や市区町村が異なる
住民税は地方自治体によって異なるため、居住する地域が変わると住民税の額が変動する可能性があります。
また、それぞれの地方自治体の財政状態は、住民税の税率や追加課税に直接的な影響を与えるため、住んでいる自治体の財政状況を把握することが重要です。
最も住民税が高い地域は神奈川県横浜市で、「横浜みどり税」や「水源環境保全税」などを超過課税分としています。そのほか、兵庫県神戸市や宮城県なども、住民税に超過課税を行っている自治体です。
住民税に地域差があるか、については以下の記事で詳しく説明しておりますのでご確認ください。
要因5.ふるさと納税を行なっている
ふるさと納税を行っていることで、住民税の控除が受けられるケースがあるため、収入が同じなのに住民税が違う理由のひとつに「ふるさと納税をやっているから」という理由が挙げられます。
ふるさと納税の税制メリットについては、こちらの記事にて解説しておりますので是非お読みください。
パートの平均年収で、実際に住民税を計算してみた
それでは実際に住民税を計算するとどうなるのでしょうか?
以下のケースモデルで計算してみましょう!
ケースモデル:Aさん
・年収:約114万円
※平成27年度パートの平均年収(厚生労働省:毎月勤労統計調査 平成27年度分結果確報より)
・住民税の非課税限度額:一級地
※住民税の非課税限度額は生活保護基準の級地区分によって、以下のように分かれています。
一級地・・・35万円
二級地・・・32万円
三級地・・・28万円
・扶養や介護の控除:なし
住民税を計算するには、4つのステップで計算をしていきます。
ステップ1.課税標準額を算出する
Aさんの給与収入額:1,140,000円
1.まず給与収入から給与所得控除を引きます。
→1,140,000円 ー 給与所得控除650,000円 =給与所得額490,000円(※参照:国税庁 給与所得控除)
2.給与所得額から、基礎控除を引きます。
→490,000円 ー 基礎控除330,000円=160,000円
課税標準額は、160,000円 でした。
ステップ2.税金を計算する
次に、課税標準額に、県民税・市民税をかけます。
→課税標準額 160,000円×県民税・市民税10%=16,000円
これが税金です。ここから調整控除額を引きます。
ステップ3.調整控除額を計算する
基礎控除以外の人的控除(※)の差額の合計額5万円×5%=2,500円
※人的控除:基礎控除・扶養控除など、自分や家族などの「人」に関する所得控除のこと
調整控除額は2,500円。
ステップ4.住民税を計算する
最後に、税金に均等割りを足して、調整控除額を引きます。
税金 16,000円+均等割5,000円-調整控除額2,500円=18,500円
均等割は「一律に、一定額の税金を課す」もので、市町村民・特別区民税として3,500円、都道府県民税1,500円(3,500+1,500=5,000円)がかかります。(あくまで標準税率なので、都道府県・市区町村によって異なる可能性もあります。)
住民税は、18,500円です。
※2024年分までの基準による計算です
なかなか複雑ですが、これは仮定の計算。
この計算の金額どおりに税金を払わなくてはいけないとも限らないのですが、ある程度このくらいの金額かな?と思っておくだけでも、出費のめどがたち家計管理に役立ちます。

住民税の支払い方法と課税対象期間
住民税の計算ができたら次は納入方法や課税対象期間の確認が必要です。
肝心の納め方や対象期間が分からなければ、うっかり滞納する危険性も出てきます。
ここでは正しく確実に住民税を納める方法を紹介します。
住民税の課税対象期間と納付先
住民税の課税対象期間は1月〜12月の1年毎です。
毎年5~6月に前年分の「住民税決定通知書」と「納付書」が送付され、その内容に沿って納付をする必要があります。
個人事業主・フリーランスの場合は納付書が直接郵送されてきます。会社員の場合は勤務先に送付されます。
ただし会社員でも出産や育児のために休業している場合や、休職等で源泉徴収できない場合は直接郵送されてくる(普通徴収)になる場合もあります。
※納付先は、1月1日時点で住んでいる自治体です。
住民税決定通知書は何に使う?
オンライン化が進み、企業によっては「住民税決定通知書が必要な人は申請してください」としているようです。
住民税決定通知書が必要な時は、どんな時でしょうか?
・税金が控除されているか確認したい時
ふるさと納税などの控除を利用した場合は確認ができます。
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を利用した人はチェックしてみましょう。
「寄付金税額控除 市民税〇円 県民税〇円」と記載があるはずです。控除している市民税+都道府県民税が合計 寄付金ー2,000円になっているか確認してみてください。
・前年の収入、納税額を提出する可能性がある時
住宅ローンなどの審査時に提出を求められることがあります。
収入や課税額を確認する書類とし使われることがあるので、住宅ローンを契約したり借り換えをする可能性があれば保管しておきましょう。
夫婦2人で収入を合算して住宅ローンを借りる場合や、ペアローンを利用する場合は夫婦2人分の住民税決定通知書が必要になるので気を付けてくださいね。
ちなみに、住民税決定通知書は再発行ができないとされています。もし紛失してしまった場合は、1月1日時点に居住している自治体に問い合わせてみましょう。
有料にはなりますが「所得課税証明書(※自治体により名称が異なることがあります)」が発行してもらえます。
住民税の支払い方法とは?
住民税を納める方法は2種類あります。
1つ目は月々の給料から会社側が天引きをする「特別徴収」という方法、2つ目は送付される納付書を使って自分で納める「普通徴収」という方法です。
以下にて、各徴収方法の詳細をご説明いたします。
特別徴収(給与から天引き)
会社に勤めている人に適用される納税方法で、毎月の給与から住民税を天引きして納めます。
後述する普通徴収と比較して納付1回あたりの金額が少なく、会社が納付するので納付もれの心配はありません。
給与所得者は、原則特別徴収になることが法令で義務付けられており、会社や従業員の意思で変えることはできません。ただし、アルバイトやパートなどで毎月給与が発生しない、など一定の給与しかもらえていない場合は、会社側で特別徴収から除外することができます。
アルバイト・パートについては、自分の住民税が特別徴収されるかについて会社に確認、もしくは給与明細を見ると分かりますので是非確認してみてください。
普通徴収(自分で納税)
個人事業主や給与・年金から徴収を受けていない人が、納付書や口座振替で納める方法で、6月ごろに納税通知書と納付書が自治体から送付されます。
納付先は支払が発生する年の1月1日に住んでいる地域の自治体になります。
退職した場合は前年の住民税を納税しますので、すぐに転職する予定がない人は特別徴収から普通徴収に切り替わる通知書が届きます。
一方ですぐ転職した場合は、事務手続きが完了すれば転職先で特別徴収を継続でき、納付は年4回の分割か一括での支払いかを選択します。
会社員でも特別徴収にならないケース
「会社員であれば、全員自動的に特別徴収になる」と思っている方も多いかもしれませんが、実は会社員でも普通徴収になるケースがあります。
それは以下のような場合です。
給与が一定額よりも少ない場合
給与額が一定水準を下回ると、特別徴収ではなくなる場合があります。
自治体によっても異なりますが、一般的には年間の給与額が93万円を下回った場合は普通徴収となります。
通常の会社員ですと、93万円を上回ることがほとんどなので、希少なケースです。
複数の職場を掛け持ちしている場合
これも極めて少ないケースですが、2つの会社に勤務している場合に片方の会社で特別徴収をしていると、もう一方の会社では特別徴収にならない場合があります。
しかし一般的には複数の会社に勤務することはないので、これも特別なケースとなります。
従業員が少ない場合
会社に所属する従業員が2名以下の場合は、基本的に普通徴収になります。
また3名以上の場合でも創業間もない時期や代表者の意向によって特別徴収を設定しない場合があります。
うっかり特別徴収だと思って支払い漏れをするケースがあるので、入社時に必ず確認するようにしましょう。
住民税を滞納した場合のペナルティ
住民税を滞納してしまった!!という場合、どうなるのか気になりますよね。
住民税を払い忘れて滞納してしまった場合まず「延滞税」と呼ばれる追加金が、滞納日から発生します。
延滞金利は期間によっても変動しますが、場合によっては14%(!)を超える延滞金利が発生する場合があります。注意してください。
そして、滞納日から20日経過すると「督促状」が自宅に届きます。
通常その督促状には「納付書」も同封されています。
延滞金が少しでも増えないためにも、できるだけ早めに遅延金を納入することをおすすめします。
複雑な住民税や所得税はまず関心を持つところから
ここまで住民税や所得税について詳しく説明してきましたが、「難しくて覚えられない」「仕組みが複雑で理解できない」と思う方も多いかもしれません。
一気に全て理解して覚えようとすると、つい頭が混乱してしまいます。
でもご安心ください、初めは誰でもすぐに税の仕組みについて理解できないもの。
毎年の納付や計算を重ねて徐々に身についていくものです。
最近ではインターネットも発達し、すぐに検索で調べられるようになりました。
不安を抱え込まず分からないことはすぐにインターネットで調べ、それでも解消できない場合はお住まいの自治体の窓口に相談してみましょう。

まとめ|住民税や所得税のかからないラインを理解することが大切
扶養内のパートで住民税がかかるラインは100万円(2025年分以降は110万円)です。扶養内で働き、税金をかからないようにするためには、所得税の壁である103万円(2026年以降は160万円)だけでなく、住民税も意識する必要があります。しかし、住民税のかからないラインと所得税のかからないラインには開きがあります。住民税がかからないようにするには、パートの収入を抑えなければなりません。特に税制改正後は年収によってこの開きが大きくなるため、慎重に考えましょう。
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