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しゅふJOB しゅふJOBナビ はたらく知識 パートの雇用保険とは?加入条件や失業保険を受け取れる人、保険料も解説【税理士監修】

パートの雇用保険とは?加入条件や失業保険を受け取れる人、保険料も解説【税理士監修】

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お金のこと

雇用保険はパートでも条件を満たせば加入できます。しかし、パートで働く主婦は扶養内で働く人が多く、雇用保険について深く知らないという方も珍しくありません。

「雇用保険はパートでも入れるの?条件を知りたい」

「パートで雇用保険に入るなら保険料はいくら?」

「パートで失業保険は受け取れる?」

「パートで雇用保険に入るのはもったいない?」

など、疑問を抱いている方も多いことでしょう。

本記事では、パートにおける雇用保険について、概要や加入条件、保険料などを解説します。パートで失業保険を受け取れるケースもご紹介しますので、パートで働いている方やこれからパートで働こうと考えている方は参考にしてください!

 

雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者の生活を守るための保険制度です。労働者は、失業や定年後の再雇用、育児や介護によって収入が減少することがあります。雇用保険の目的は、収入減少による労働者の生活を支援することです。

また、雇用保険は労働者や企業への雇用支援も行っています。とくに、企業が継続して労働者を雇用するために、雇用保険が企業へ助成金や給付金を支給します。雇用保険は、労働者だけでなく企業への支援も行っているのです。

 

社会保険との関係

雇用保険は、社会保険のひとつとして意味することがあります。社会保険には、広義と狭義で含める保険が異なります。

広義の社会保険は、以下5つの保険を総称する際に使われる言葉です。

  • ・健康保険
  • ・厚生年金保険
  • ・雇用保険
  • ・介護保険
  • ・労災保険

 

狭義では、以下3つの保険を総称する言葉として使われます。

  • ・健康保険
  • ・厚生年金保険
  • ・介護保険

 

このように、社会保険のひとつとして雇用保険が含まれることがあります。狭義の社会保険に雇用保険は含まれないため、雇用保険は、労働保険(雇用保険と労災保険)のひとつとして扱われます。

 

雇用保険の加入条件

雇用保険には、以下3つの加入条件があります。加入条件を満たしている労働者は、雇用形態にかかわらず、雇用保険へ入らなければなりません。

  • ・31日以上の雇用見込みがある
  • ・1週間の所定労働時間(契約上の労働時間)が20時間以上である
  • ・学生ではない(卒業見込みがある・定時制は除く)

 

※逆にこの3つの条件すべてに当てはまらなければ、雇用保険には加入できません。

パートの場合は、勤務状況によって労働契約時間が変更となることもあるでしょう。

今月は20時間をちょっと超えたけど、先月は20時間にはちょっと足りなかった…というときなどです。

その場合は目安として、3ヶ月間の勤務実態にあわせて、労働契約を変更することとなります。

なお労働時間には、残業時間や突発的な休日出勤は含まれません。契約上定められた就業時間、となります。

例をあげてみましょう。

 

雇用保険加入とならない例

契約は週3日・10時~15時(休憩なし)。毎日残業が2時間ずつ発生する

実働時間は15時間勤務+6時間残業=雇用保険加入対象にはならない。

 

雇用保険加入となる例

契約は週4日・10時~15時(休憩なし)・残業なし

実働時間は20時間=雇用保険加入対象になる

この条件さえ満たせれば、正社員と同じ保障を受けることができるのです。

もし雇用保険に加入したくない場合は、週の実働時間が20時間を超えないことを注意してみてください。

 

雇用保険のメリット

雇用保険には「多くの保障を受けられる」というメリットがあります。パートで雇用保険に入るのはもったいないと感じている方もいるかもしれませんが、さまざまな保障を受けられるため、安心して働けます。

具体的には、 条件を満たせば以下のような手当・給付金等をもらうことができます。

・失業等給付金 (いわゆる失業手当)

・教育訓練給付金

・育児休業給付金

・介護休業給付金 など

失業手当は、退職理由が会社都合か、自己都合か、年 齢、保険料の支払い期間、給与の額、などによって給付される金額や期間が変わってきます。

給付金の種類や詳しい補償内容は、ハローワークのホームページなどで確認しましょう。

 

雇用保険のデメリット

雇用保険は、保険料がかかるという点がデメリットです。

 

「せっかく働いて得た収入だから保険料の支出はしたくない」とデメリットに感じますよね。

しかし、保険料は数百円のことがほとんどです。(※雇用保険の料金については以下で説明します!)

数百円で、上記の給付金を受けられるメリットがあるのですから、雇用保険の加入は損にはなりにくいでしょう。

また、雇用保険の加入にあたって、年収は関係ありません。扶養枠内であってもなくても、週20時間以上働くのであれば加入対象となります。

雇用形態も同様で、派遣でもパートでも加入することができますよ。

雇用保険には多くのメリットがあることから、可能ならばパートでも週20時間以上働き、雇用保険に加入することをおすすめします。

 

パートが雇用保険に入ると扶養から外れる?

パートが雇用保険に加入する際、扶養から外れるのではないかという点です。扶養とは、配偶者に養ってもらっている状態をいいます。扶養には、社会保険上の扶養と税法上の扶養があり、両者は別物です。雇用保険は広義で社会保険のひとつであるため、雇用保険に加入すると「社会保険にも加入することになる=扶養から外れる」と疑問を抱く方が少なくありません。

ここでは、主に社会保険上の扶養について解説した上で、税法上の扶養についても解説します。

 

社会保険上の扶養とは

社会保険上の扶養とは、扶養する人の配偶者や子どもが「被扶養者」として、社会保険料の支払いなしに健康保険や公的年金に加入できる制度です。社会保険上の被扶養者になると、扶養者の加入する健康保険に「第3号被保険者」として加入できます。健康保険に加入すれば医療機関での自己負担割合は3割です。

年金制度においては、扶養する人の配偶者のみが「被扶養者」として扱われます。国民年金保険料の支払いなしに「第3号被保険者」として国民年金に加入できます。

社会保険上の扶養に入るための条件はいくつかありますが、特に重要なのは収入条件です。

勤務先の企業規模などによっては106万円(月額8.8万円)を超えると、勤務先で社会保険に加入しなければなりません。これを「106万円の壁」といいます。130万円(月額10万)を超えると、企業規模にかかわらず、すべての人が扶養から外れ、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。これを「130万円の壁」といいます。

雇用保険の条件と、社会保険上の扶養対象になる条件は異なるため、雇用保険に加入するからといって社会保険上の扶養から外れるわけではありません。しかし、雇用保険の条件である週20時間以上の労働を1か月することで、社会保険上の扶養から外れる可能性もある点に注意しましょう。

参照:『パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。』政府広報オンライン

 

税法上の扶養とは

税法上の扶養とは、納税者の配偶者や子どもが、納税者に養われている状態のことを指します。税法上の被扶養者になると、納税者の所得から一定の金額が控除されます。納税者が配偶者を扶養している際は、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用されます。配偶者控除を受けるためにはいくつかの条件がありますが、配偶者の収入条件に注意が必要です。配偶者控除の場合は、給与収入が103万円以下、配偶者特別控除なら給与収入103万円超201万6,000円までが対象です。

雇用保険と税法上の扶養(配偶者控除)は直接的には関係ありませんが、雇用保険の加入条件である所定労働時間が週20時間となり、収入が増えすぎると税法上の扶養から外れてしまう可能性もあるため注意しましょう。

なお、2025年の税制改正により、配偶者の所得税が発生する収入要件が123万円まで引き上げられました。配偶者控除(配偶者特別控除)をふまえた年収要件が緩和されるため、これまでよりも多くの収入を得られます。

参照:『令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について』国税庁

配偶者控除・配偶者特別控除についてはこちらにもまとめています。

こちらも参考にしてみてください。

厚生労働省「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」

 

雇用保険はいくらかかるの?

さて、メリットはわかったけれども、実際いくらくらい天引きされるのか?が、気になりますよね。

保険料の目安ですが、負担額が3/1000(一般事業の場合)なので、給与の0.3%が保険料(※)になります。

主婦パートの平均収入は、月10万円くらいといわれていますので、月額10万円働いたとしたら雇用保険料は月額300円。

雑貨を1つ我慢したらすぐ節約できるくらいの金額で、失業手当など受給ができるのです。

※雇用保険料率:年1回、金額が見直されるので、毎年確認をしておくようにしましょう。厚生労働省のHPに料率表が公表されています。

厚生労働省「平成31年度の雇用保険料率について」

※上記URLの記載について「平成29年から変更ありません」と書かれていますが、平成29年3月に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が成立したことにより、平成29年4月から1年間、雇用保険料率が引き下がりました。平成30年4月以降も1年間、この料率が継続されます、という意味になります。 

 

雇用保険加入に手続きは必要ない!?

では、雇用保険に加入するにはどのような手続きをしたらよいのでしょうか?

雇用保険は、条件を満たしていれば加入しなければいけないため、雇用主である会社が加入手続きをしてくれます。

働く側が行うこととしては、雇用保険被保険者証に記載されている「雇用保険被保険者番号」を企業にお知らせすることです。

条件を満たしているにもかかわらず、何らかの理由で加入していなかった場合には、まずお勤めの企業へ相談してみましょう。

 

会社が雇用保険加入の手続きをしてくれない?場合

通常は企業が手続きを取ってくれるのですが、中に手続きをしたがらない会社もあります。

保険料は企業・雇用者で折半支払いであるため、企業側が保険料を払いたくない、などの理由が大半です。

その場合には、最寄りのハローワークに事情を説明して相談しましょう。

企業に雇用保険の手続きを取ってもらうために、労働基準監督署に相談するという方法もあります。

場合によっては早めに転職を考えた方がいいかもしれません。

そうならないためにも、採用前に求人情報に記載があるか確認し、もし記載がない場合でも面接で確認しておけると安心です。

この記事の末尾に、週20時間以上のお仕事特集を加筆しました。よろしければ、ご活用くださいませ。

雇用保険で受けられる手当

雇用保険では、状況によってさまざまな手当や給付金を受け取れます。代表的な手当や給付金を以下でご紹介します。

給付種類 詳細
求職者給付 ・基本手当(失業手当)

・技能習得手当

・傷病手当

・高年齢求職者給付金

・日雇労働求職者給付金など

就職促進 ・就業手当

・再就職手当

・就業促進定着手当

・広域求職活動支援費など

教育訓練を受講した際の給付金 ・教育訓練給付金

・教育訓練支援給付金

雇用継続のための給付金 ・育児休業給付金

・介護休業給付金

・高年齢雇用継続基本給付金

・高年齢再就職給付金など

 

パートでももらえます!育児休業給付金

最後に、育児休業給付金についてご説明します。

「育児給付金」とは、育児休業開始から180日まで休業前の賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給される制度のことです。

雇用保険加入のメリットとして挙げられるこの育児休業給付金ですが、実はパートとして働いている方も条件を満たせば受給できることをご存知でしょうか?

近年の法改正により育児休暇取得の条件が緩和され、パートの方でも育児休暇が取りやすくなりました。

育児休暇取得の条件は以下のようになっています。

  • ・申請をしたときに、(同一事業者に)1年以上雇用されていること。
  • ・子どもが1歳6カ月になる時点で、雇用契約の期間が満了することが明らかでないこと。

 

復帰するかどうかはわからなくとも、契約終了が決まっていなければ、取得資格はあることになります。

さらに育児給付金取得するのに必要な条件は、育休前と育休中のもので、2つあります。


育休前の条件

  • ・雇用保険に加入している
  • ・休業前の2年間で11日以上出勤した月が12カ月以上ある

 

育休中の条件

  • ・休業前の8割以上の賃金が支払われていない
  • ・働く日数が月10日以下である。

育児給付金は雇用保険に加入していることが前提となっていますが、万が一加入できていなかった場合、さかのぼって加入もできます。

これから検討される方は、下記の記事もおすすめします。

 

パートは失業給付ももらえる

パートで働く方は、条件を満たせば失業給付ももらえます。失業給付とは、失業中の生活維持を目的とした手当です。具体的な条件は以下のとおりです。

  • ハローワークで求職申込みを行い、働く意思といつでも働ける状態であることが揃っているのにもかかわらず、努力しても就職できない失業状態であること
  • 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること(ただし、状況によっては6か月以上で認められるケースあり)

 

このように、失業給付を受けるためには、「働きたいという前向きな意思」と、「ハローワークに通って求職活動をすること」が必要です。どちらかが欠けている状態の方は、失業給付を受給できません。

 

まとめ

雇用保険は、条件が満たされていれば強制的に加入となりますが、安い保険料でとてもメリットのある制度です。

加入条件は、下記の3つ。


・31日以上雇用見込みがある

・1週間の所定労働時間(契約上の労働時間)が20時間以上である

・学生でないこと


雇用保険に加入して働きたい場合、週20時間以上&31日以上雇用見込みがあるお仕事を探す、ということが一つのポイントになってきます。

雇用保険に加入したい場合は「週20時間以上

雇用保険に加入したくない場合は「週20時間未満」がキーワードです。

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よろしければ下のURLもご活用くださいませ。

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この記事の監修:山田 稔幸氏(山田稔幸税理士事務所 代表)
山田稔幸税理士事務所 代表。1977年京都府生まれ。2001年同志社大学商学部を卒業。同年、税理士事務所に入所。2013年、山田稔幸税理士事務所を開設。多くの知識と経験を活かし、フリーランス向けの節税・確定申告など税務関連セミナーなどに登壇し講師を務める。「中小企業と組合」に寄稿、執筆も行う。

 

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