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シニア世代は要確認!働き過ぎで年金停止!?知っておくべき制度

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お金のこと

「年金が貰えるようになっても働きたい!」

このように考える、元気なシニアは多いもの。

そこで今回は、60代以上(シニア世代)が働く上で知っておくべき制度について

・生涯現役を希望するシニアが増加中!?
・シニア世代が知っておくべき制度は?
・年金が停止されずに働く方法とは?

の3点からご紹介します。

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生涯現役を希望するシニアが増加中!?

内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると、高齢者を対象に「いつ頃まで収入を伴う仕事をしたいですか」と調査したところ、以下のような結果となりました。


【高齢者の就労希望年齢】

・働けるうちはいつまでも(42%)

・70歳くらいまで(21.9%)

・65歳くらいまで(13.5%)

このように、願わくば定年後も働き続けたいと、高い就業意識を持っているそうです。

実際に60代後半の男性は約53%、女性も約33%の人が何らかの仕事をしています。

企業や団体も、60歳以上の雇用を増やし、定年年齢の引き上げをはかっています。

 

次に、高齢者の働き方や、働く目的についてご紹介します。

【高齢者の働き方の特徴】

以下のような働き方を選ぶ方が多いようです。

・正社員

・パート、アルバイト

・契約社員

・嘱託社員

もともと社員として働いていた企業に再就職として嘱託社員で入社したり、

心機一転パートのお仕事を探して就職する方も多くいらっしゃいます。

 

では、働く理由も見てみましょう。

【働く人の目的】

・収入

・老化を防ぐ

・友人や仲間を得る など

高齢者になっても働くことは、世帯収入がアップするほか、働くことで若々しくいられる、友人や仲を得ることが出来るなどといったメリットがあるようです。

(参考:内閣府「平成29年版高齢社会白書」)

 

 

シニア世代が知っておくべき制度は?

しかしシニア世代が働くにあたって、若い世代と大きく違うところがあります。

それが年金や、保険など制度の違いです。


シニア世代が働くにあたって知っておくべき制度

社会保険

原則、75歳以上は後期高齢者医療制度の対象となるため、移行手続きが必要になります。

75歳未満でも「後期高齢者医療広域連合」の認定を受けた人は、後期高齢者医療制度の対象となります。

 

雇用保険

いわゆるハローワークに申請し、給付される失業保険。

平成29年から65歳以上でも適用対象となりました。65歳以上でも転職する、という前提のあらわれです。

(参考:厚生省「雇用保険の適用拡大等について」)

 

確定申告不要制度

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの間で生じた所得の全てと、その所得にかかる所得税と復興特別所得税の金額を計算して、確定申告書を申告期限までに提出し、源泉徴収された税金や予定納税で納税した税金から過不足を精算する制度のことです。

基本的には、公的年金の受給による収入も雑所得として課税対象となっています。

一定額以上を受給すると、所得税と復興特別所得税が源泉徴収されているので、確定申告で税金の過不足を精算しなければなりません。

しかし、「確定申告不要制度」を設け、年金受給者の申告手続きの負担を減らしています。一定の条件を満たせば確定申告をする必要がなくなるのです。

対象者は以下の通りです。

・公的年金等の収入が合計400万円以下で、さらに公的年金等の全てが源泉徴収の対象となっている場合
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合

上記条件の対象者に自分が当てはまるか確認するには、毎年1月から2月までに郵送される公的年金等の源泉徴収票の記載をチェックしましょう。

 

在職老齢年金

年金給付対象者であっても、仕事をして厚生年金保険に加入している場合、以下のように年齢と合計収入額によっては年金が減額、もしくは停止される制度です。

・60歳~64歳以下の場合

年金(基本月額=年金年額を12で割った金額)と給与(総報酬月額相当額=毎月の賃金+年間賞与を12で割った金額)の合計が28万円以上の場合、制度の対象となります。

現行制度では、月額28万円を超えると、超えた分の年金支給が停止されます。

2022年4月の年金制度改正法が施行されたら、支給停止基準額が月額28万円から47万円に緩和されます。

 

・65歳以上の場合

年金と給与の合計が「47万円」を超える場合、制度の対象となります。

※2022年4月の法改正では64歳以下の場合28万円から47万円に停止基準額が引き上げられますが、65歳以上はもともと47万円なので変更はありません。

また、現在は65歳以上で在職中の場合、退職時に年金額が改定されるまで受給額が変わりません。2022年4月の改正以降は、65歳を過ぎて働いている場合、毎年10月に保険料納付額をもとに年金受給額が見直されます(これを在職時定時改定と呼ばれています)。

 

※金額について

年金…基本月額=加給年金額を除いた年金年額を12で割った金額

給与…総報酬月額相当額=毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額

 

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給条件である10年以上の受給資格があり、厚生年金保険の被保険者期間がある方が65歳以上になると受給できます。

また、厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あることも条件です。

さらに、特別支給の老齢厚生年金という制度もあります。厚生年金保険の被保険者期間が1年以上、かつ年齢が65歳未満であることが条件です。

特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分と定額部分に分かれています。

また、男女と生まれた年によっても受給できるかどうかが決まります。

・男性の場合は、昭和36年4月1日以前に生まれていること
・女性の場合は、昭和41年4月1日以前に生まれていること

上記に当てはまらない場合は、支給開始年齢は65歳からとなります。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者本人とその配偶者が特定の条件を満たす場合、納税者の所得から一定の金額の控除が受けられる制度のことです。

適用条件は以下の通りです。

・法律で定められている配偶者である
・納税者本人と控除の対象者が生計を一にしている
・控除対象者の年間所得合計金額が48万円以下である
・青色申告者の事業専従者として1年を通じて、一度も給与の支払いを受けていない
・白色申告者の事業専従者ではない
・控除を受ける対象者の年間合計所得金額が1,000万円以下

上記条件に当てはまらない場合は、配偶者控除を受けられません。

しかし、納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円を超え133万円以下の場合は、配偶者特別控除を受けられます。


 

特に重要なのが、在職老齢年金。

働くことで、年金を全額もらうより収入が減った、ということになってはもったいないので、年金と給料を調整して、損しないように働くことが必要になってきます。

(参照:日本年金機構「在職老齢年金の支給停止調整変更額などが平成27年4月1日より変更になりました(46万円⇒47万円)」)

 

 


年金が停止されずに働くには?計算例を紹介

ここでは「確定申告不要制度の計算例」および「老齢厚生年金の計算例」の2つに分けて解説をしていきます。

確定申告不要制度の計算例

確定申告不要制度は、公的年金等の合計収入金額が400万円かつ、それに係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合に利用できることを前述しました。

企業年金やその他の団体から公的年金を受け取っていたり、株式運用や投資信託によって配当所得があったりすると条件に当てはまらなくなってしまいます

。また、年金を受給しながらもアルバイトやパートタイムで働いても雑所得以外の所得金額は20万円を超えるかもしれません。

ここでは、パートタイムで働いていた場合の計算例を紹介するので参考にしてみてください。

・パートタイムによる給与所得が65万円

税金の制度により、給与収入に対して55万円から195万円までの給与所得控除が適用されます。162万5000円以下の給与収入の場合は、55万円の控除が受けられるので、計算方法は以下の通りです。

65万円−55万円=10万円

この場合は、20万円以下なので確定申告が不要です。

給与所得や配当所得などによる雑所得以外の収入は全て合計して計算するので、自分に当てはまる収入の合計金額を当てはめてみてください。

老齢厚生年金の計算例

老齢厚生年金の受給額は、 生まれた年によって変わります。

報酬比例部分と定額部分の2つに分かれていますが、ほとんどの場合は報酬比例部分によって受給額が決まるので、ここでは以下の通りの計算方法を紹介します。

・老齢厚生年金受給額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金金額

経過的加算とは、20歳未満もしくは60歳以降に厚生年金に加入していた場合に加算されます。

加給年金とは、厚生年金加入期間が20年以上かつ、条件を満たした配偶者や子供がいる場合に加算されるものです。

また、報酬比例部分の計算方法は、厚生年金保険に加入した時期により異なります。

・平成15年3月31日までの場合
平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月31日までの加入月数

・平成15年4月1日以降の場合
平均標準報酬月額×5.769/1,000×平成15年4月1日以降の加入月数

上記の計算方法を用いて計算例を紹介します。

平成15年の4月1日から厚生年金保険に35年間加入していたとして、40年間の平均月収が約40万円(年収500万円程度)だったとした場合の報酬比例部分は以下の通りです。

40万円×5.769/1,000×420=96万9192円

上記で計算した約97万円に経過的加算と加給年金を足します。

 


 

年金カットを恐れすぎて働くのを諦める前に、自分が対象かどうか、カットされない働き方はないかを冷静に判断しましょう。

(参考:平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)

 

 

シニア世代のお仕事はどう探す?

シニア世代が「こんなお仕事で働きたい」と希望する職種と、実際に「働きやすそうな職場だ」と感じる職場では、ギャップがあることをご存知でしょうか。

どんなお仕事をしたいか、という問いには”過去の経験や資格を活かした仕事をしたい”と答える人が多い中、

どんな環境で働きたいかという問いには”世代的なギャップを感じることなく、同年代が働いている職場で働きたい”と考えている方が多いようです。

こちらの記事ではランキングで職種について紹介しています。よろしければ併せてお読みください。

 

まとめ

損しない働き方を意識すれば、60歳以上で働くメリットはたくさんあります。

年金の受給年齢がどんどん後ろ倒しになり金額も目減りしていく中、年金以外の収入を得ることができるのは世帯収入としても大きなメリット。

さらに60歳以上でも厚生年金に加入することで、この先受給できる年金額を増やすこともできます。

健康で、働くことができる環境であれば、生涯現役でお仕事していたいですね。

 

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