パートも育休手当をもらえる?支給条件や手続き、もらえないケースも解説
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お金のこと

パートは育児休業給付金をもらえるのでしょうか。パートでも育児休業は取得できますが、収入がなくなることへの不安は大きいはずです。
「育児休業を取れてもパートの収入がなくなると困る」
「育児休業給付金は、正社員だけしかもらえないのではないか」
パートとして働く主婦のなかには、このような不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、パートにおける育児休業給付金を解説します。パートにおける育児休業給付金の取得条件や手続き方法、そもそも育児休業とはなにかについてもご紹介します。パートで育休を取得する予定の方はもちろん、将来の妊娠や出産、育児について考えている方もぜひ参考にしてください。
もくじ
パートでも育児休業給付金はもらえる
パートでも、条件を満たしていれば育児休業給付金をもらえます。育児休業給付金は雇用保険の被保険者を対象とし、一定の条件を満たす方に給付されるお金です。雇用形態にかかわらず、パートでも条件を満たしていれば受け取れます。
育児休業給付金がどのような制度によってもらえるお金なのかを、詳しく確認してみましょう。
育児休業給付金とは
育児休業制度は、1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得する労働者を対象とした給付金制度です。一般的に、育児休業中は給料が発生しないことが一般的です。そのため、労働者が育児休業を取得する間は、収入が減少してしまいます。
そこで、労働者が安心して育休を取得できるよう、1972年に育児休業手当が考案されました。
その後、1975年に育児休業法が成立し、1992年には、男性も育休を取得できるようになるなど、何度か改正されています。
パートにおける育児休業給付金の条件
育児休業給付金を受け取るためには、以下の要件を満たす必要があります。
- ・雇用保険の被保険者である
- ・1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得している
- ・育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上ある
- ・1支給単位期間中の就業日数が10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下である
- ・有期雇用契約の場合は、子が1歳6ヵ月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでない
※支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間のことであり、その1か月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間を指します。
育児休業給付金は、育休を取得する人を対象とした給付金であるため、育休の取得条件を満たす事が前提です。
パートとして育休休業給付金をもらうために特に注意したいのが、有期雇用契約者に対する労働契約期間の条件です。具体的には、子どもが1歳6ヶ月になる日までの間に労働契約が終了する場合は対象外として扱われます。
そもそも育休(育児休業)とは
育休とは、1歳になるまでの子どもを育てる男女労働者が取得できる休業制度です。育休は、正社員だけでなく、パートや派遣社員であっても取得する権利があります。
しかし、2015年に労働政策研究・研修機構が非正規社員と企業に対して行ったアンケートでは、パートタイマーで約4割、契約社員などのフルタイム有期雇用者で約3割と、正社員に比べ低い実施率となっています。
さらに、取得後仕事に復帰する人は正社員7割に対して、パートは5割というのが実情のようです。
そこで、直近では2017年法律が改正され、取得条件を緩和し、パートでも育休が取得しやすくなりました。
育休の期間は、男性と女性で異なる点も注意が必要です。
- ・女性は、産後休業終了の翌日から子どもが1歳に達する日(誕生日の前日)まで
- ・男子は、子どもの出生日(出産予定日)から子どもが1歳に達する日(誕生日の前日)まで
女性と男性で育児休業の開始日が異なるのは、女性には産後休業期間があるためです。産後休業が終了したら、育児休業期間に入ります。なお、男性は通常の育児休業とは別に「出生時育児休業」を取得できます。
パートにおける育児休業の取得条件
パートが育休を取得するための条件は、以下の通りです。
- 1.1歳未満の子どもを育てていること
- 2.子どもが1歳6ヶ月になる時点で、雇用契約の期間が満了することが明らかでないこと。
以前は、同一事業主に1年以上雇用されていることが条件のひとつでしたが、2022年の法改正により、この条件は廃止されました。
ただし、労使協定を締結している場合、以下の従業員は育児休業取得の対象外とされます。
- ・その事業主に継続されて雇用された期間が1年に満たない従業員
- ・育児休業を取得できない合理的な理由がある労働者
育児休業を取得できない合理的な理由とは、以下の2点が上げられます。
- ・休業申し出の日から1年以内に雇用関係の終了が明らかな従業員
- ・1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
パートの場合、労使協定の内容に該当するケースも少なくないため、あらかじめ確認しておきましょう。
参照:『育児休業や介護休業をすることができる有期雇用労働者について』厚生労働省
参照:『育児・介護休業法のあらまし』厚生労働省
パートにおける育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金の基本的な計算方法は以下のとおりです。
| 支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×給付率67%
※休業開始181日目以降は給付率を50%で計算 |
ただし、育休中に給料の支払いがあった場合は、別途計算方法が異なります。
育休手当以外にパートが出産や育児でもらえるお金
| 出産育児一時金 | 公的医療保険制度の被保険者が出産費用としてもらえるお金です。妊娠4ヶ月目以降の出産を対象としており、早産や流産などでも支給されます。 |
| 出産手当金 | 出産手当金は、被保険者が出産に伴い休業を取得し、給料が支給されない場合に受け取れるお金です。出産日以前42日(多胎児は98日)から出産翌日以降56日目までの休業期間を対象としています。 |
| その他(地域による支援金など) | 出産育児一時金や出産手当金、育児休業給付金以外にも、自治体によって独自の支援金制度などを設けていることもあります。お住まいの自治体で支援制度があるかどうかを確認してみましょう。 |
育児休業給付金もらえるケース、もらえないケース
育児休業給付金は、育児休業開始から180日までは休業前の賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給されます。
日額の計算方法は、休業前6か月間(180日間)の合計金額を180日で割って算出します。
給付開始時期は育児休業に入ってからおおむね3か月後になり、原則として2か月に1回の支給になります。
給付金をもらえる条件は、育休取得の条件とは異なり、以下の通りとなります。
育休前の条件
- ・雇用保険に加入している
- ・休業前の2年間で11日以上出勤した月が12か月以上ある
育休中の条件
- ・休業前の8割以上の賃金が支払われていない
- ・働く日数は月10日以下である(勤務時間が月80時間以下である)
育児休業給付金は雇用保険から支給されるため、雇用保険に加入は必須になります。
万が一加入していない場合は、遡って加入することも可能ですので、手続きできないか相談してみるのも良いでしょう。
ちなみに、一定期間以上、雇用保険に加入していれば対象となるので、夫の扶養枠内であるかどうかは問われません。
12か月の勤務期間については連続していなくても、合計して12か月あれば大丈夫です。
パートの育休手当における手続き方法と注意点
育休の申請は、出産日から起算して58日目から4か月となる月の月末までに行わないと給付されなくなります。
申請に必要な書類は、
- ・育児休業給付受給資格確認票
- ・育児休業給付金支給申請書
です。
初回の手続きは必ず会社から行ってもらわないといけないので、会社に提出して手続きをしてもらいます。
給付金支給中は月の労働が80時間以内となっています。労働時間がそれを超えた場合、あるいは、給付金額と給与の合計が育休前の給与の80%を超えた場合、超えた分だけ減額して支給となります。
産休・育休に入り年収が201万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることができます。
夫の所得税・住民税を抑えるとともに、保育料も抑えることができます。
子どもが1歳を迎えて復帰が難しい場合には延長申請ができます。その場合には、保育園の入園を断られたなど証明できる書類を用意しましょう。
パートであっても条件を満たしていれば育休や育児休業給付金は受けることができます。
原則として1年間の給付期間がありますので、賢く活用しましょう。
大体いくら給付金がもらえるのか自動計算してくれるサイトもありますので、それらも活用しながら事前に出産にかかわるおおよその収支を計算できているとお金の面で安心ですね。
まとめ
パートが育休手当を受給するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- ・雇用保険の被保険者である
- ・育児休業を取得している
- ・育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある
- ・1支給単位期間中の就業日数が10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下
- 有期雇用契約の場合は、子が1歳6ヵ月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでない
育休手当は、給料の67%(181日目以降は50%)を受給できます。また、育児休業中は社会保険料も免除されるため、働けない期間も給付金を受け取れることで安心して休業できます。
ただし、パートとして育児休業を取得する際は、特に労働契約期間の条件を理解しておく必要があります。心配な方は、雇用契約書などで事前に労働契約期間を確認してみましょう。



















