ダブルワークとは?確定申告や社会保険、税金の注意点
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お金と法律

ダブルワークは、2つの仕事を掛け持ちすることです。収入を増やしたいと思ったり、新しい仕事にチャレンジしてみたいと思った時、今の仕事を辞めずに「ダブルワーク」としてかけ持ちすることも1つの方法です。
しかし、ダブルワークではあらかじめ注意しておかなければならない点があるのも事実です。特に、確定申告や年末調整の対応、税金関係について理解する必要があります。
今回は、ダブルワークとはなにか、ダブルワークにおける確定申告や年末調整、社会保険、税金についても解説します。ダブルワークをしている方やこれからダブルワークを検討している方はぜひ参考にしてください。
もくじ
ダブルワークとは
ダブルワークとは2つの仕事を掛け持ちすることです。意味合いとしては、2つの仕事を同じ程度で行うことを指します。ダブルワークそのものは誰でもできるため、パートとしてダブルワークするケースも珍しくありません。ダブルワークを行う人を、「ダブルワーカー」と呼ぶこともあります。
| ダブルワークの例 |
| ・日中は事務職や製造業、夜間はファミレスなどのサービス業 ・メインは平日にお休みがあるパート、休みの日に単発のパート ・スキマバイトや業務委託など、時間や場所を問わないスタイル |
複数の仕事をするという意味合いの言葉には「副業」や「兼業」もあるので、何が違うのかわかりにくくなっています。ダブルワークと混同しやすい言葉について、まずは整理してみましょう。
ダブルワークと副業は違う?
ダブルワークと副業の違いは、本業と定義できるものがあるかどうかです。副業とは主たる収入源の本業があり、加えて副次的な収入手段としてこなしていくものです。
一方、ダブルワークでは、本業・副業の区別は生まれません。抱えている2つの仕事に比重差はなく、どちらかが本業と言い切れない場合が多いです。
ダブルワークと兼業の違い
ダブルワークと兼業は「複数の仕事をすること」として、ほとんど同じ意味合いで使われるため大きな違いはありません。使い分ける場合は、ダブルワークが2つの仕事をもつことに対して兼業は2つ以上の仕事をもつこととして使われます。また、兼業は複数の仕事に同程度の労力をかける意味合いがあります。たとえば、朝はコンビニで働き、夜は飲食店で働くなど、同じ程度の労力で仕事に取り組むようなことを指します。
ダブルワークとパートの掛け持ちの違い
朝と夜別のパートを掛け持ちをしたりなど、まとまった時間が取れない方は、パートの掛け持ちをしているケースもあると思います。
仮に朝と夜、別の会社でパートをする場合は2社の掛け持ちとなります。パートの掛け持ち自体は、法律上認められていますのでご安心を。
またパートの掛け持ちとダブルワークって何が違うのか?に関しては、定義やルールが異なるわけではなく基本的には、2つのお仕事(仕事先)を持って働く状態を指します。
ダブルワークと確定申告
ダブルワークでは、年末調整だけでなく確定申告が必要な場合があります。具体的にはどのようなケースで確定申告が必要なのかをご紹介します。確定申告とはなにかについても解説しますので、併せて理解しましょう。
確定申告とは
確定申告とは、1年間の所得から正しい所得税額を計算し、申告(納税)する手続きのことです。納税額に過不足がある場合は、追加納税や還付によって精算を行います。ダブルワークや副業などをしていない会社員など、1つの企業による給与収入のみで年末調整を受けていたり、所得が一定以下の場合は不要ですが、それ以外の方は確定申告をしなければなりません。
関連記事:【税理士監修】確定申告に関する3つの基礎知識
ダブルワークで確定申告が必要なケース
ダブルワークをしていて確定申告が必要なのは以下のようなケースです。
- (1)2か所以上からの給与収入があり、1か所のみで年末調整を受けている場合
- (2)2か所以上からの給与収入があり、年末調整を受けていない場合
- (3)2か所以上で年末調整を受けている場合
- (4)給与以外に20万円の所得がある場合
それぞれのケースについて、詳しく確認してみましょう。
| (1)2か所以上からの給与収入があり、1か所のみで年末調整を受けている場合 |
| ダブルワークで1つの企業で年末調整を受けていて、もう一方での給与収入(額面総額)が20万円を超える人は確定申告が必要です。たとえば、1つの企業で年末調整を受けた場合、もう一方の企業の収入は含めずに年末調整が行われます。そのため、確定申告で正しい所得税を申告する必要があります。ただし、年末調整を受けていない企業での給与(額面総額)が20万円以下であれば、確定申告は必須ではありません。しかし、確定申告することで払いすぎた税金が戻ってくるケースも多いため、確定申告するのがおすすめです。 |
| (2)2か所以上からの給与収入があり、年末調整を受けていない場合 |
| 企業で働いているのに年末調整を受けていないと、所得税の申告ができないため、確定申告が必要です。ただし、ダブルワークで得た収入が年間160万円以下である場合は、控除が適用され所得税の課税対象外であるため、確定申告は不要です。しかし、給与支給の際に所得税の源泉徴収を受けている場合は、確定申告によって払いすぎた税金が戻ってきます。 |
| (3)2か所以上で年末調整を受けている場合 |
| 本来、年末調整は1か所のみでしか受けられません。そのため、ダブルワークにおいて誤って2か所以上の企業で年末調整を受けた場合は、確定申告をする必要があります。複数の勤務先で年末調整を受けると、控除が重複して本来納めるべき税金よりも少なく計算されてしまうため、確定申告で正しい税額を申告しましょう。 |
| (4)給与以外に20万円の所得がある場合 |
| ダブルワークとして給与収入以外に20万円の所得がある場合も、確定申告が必要です。たとえば、パート勤めの給与収入と給与以外の収入があるような場合です。年末調整では給与以外の所得が含まれていないため、正しい税額を申告しなければなりません。ただし、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。 |
ダブルワークで確定申告が不要なケース
ダブルワークをしていても確定申告が不要なケースもあります。
- ・給与以外の所得が20万円以下
- ・ダブルワークにおいて年間の給与収入が160万円以下
ダブルワークで確定申告が必要なケースでも触れましたが、一部確定申告が不要な場合もあるため、理解しておきましょう。
ダブルワークと年末調整
ダブルワークしている場合、年末調整の対象になるのは1つの勤務先のみです。複数の企業で年末調整をしてしまうと、控除が重複してしまい、正しい納税額を計算できなくなるためです。ダブルワークの場合、一般的には、給与収入額の多い勤務先で年末調整を受けます。年末調整ではもう一方の勤務先の収入を含めずに計算されるため、基本的には確定申告が必要です。ただし、ダブルワークの収入金額が年間160万円以下である場合などは、確定申告は不要です。
関連記事:パートの年末調整を解説|書類の書き方や扶養基準も
ダブルワーク社会保険
社会保険は、加入条件を満たしていれば、社会保険に加入する必要があります。
社会保険の加入条件
- ・週の勤務時間が20時間以上
- ・給与収入が月88,000円以上
- ・2か月を超えて働く予定
- ・学生以外
- ・勤務先の企業が従業員数51名以上
たとえばダブルワークで2つの勤務先で両方とも加入条件を満たしていれば、どちらも加入するということです。逆に、どちらの勤務先も条件を満たしていない場合は、加入する必要はありません。
参考:『パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。』政府広報オンライン
ダブルワークと税金
ダブルワークでも、所得税と住民税を支払う必要があります。所得税や住民税は、年末調整や確定申告で正しい納税額が決まります。そのため、年末調整や確定申告を適切に行わなければなりません。
ダブルワークと扶養内
ダブルワークで扶養内に収めたい場合は、扶養内の目安を意識しなければなりません。
| 所得税が発生する | 160万円(2024年までは103万円)
※収入により変動、上乗せ措置は2年間の時限的措置 |
| 住民税が発生する | 110万円(2026年度支払い分から適用) |
| 配偶者(特別)控除控除が満額受けられなくなる | 123万円:配偶者控除が受けられなくなる
160万円:配偶者特別控除が満額受けられなくなる(段階的に減少) |
| 社会保険への加入義務が発生する年収目安 | ・106万円(社会保険の適用拡大により、他の要件も満たしている場合は加入対象になる)
・130万円(配偶者の社会保険上の扶養から外れ、加入義務が発生) ※106万円の壁は2025年6月20日から3年以内に撤廃予定 |
扶養については、2025年の税制改正において大幅な変更点が生じています。詳しくは、国税庁の公的情報を確認しましょう。
参考:『令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について』国税庁
参考:『No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか』国税庁
ダブルワークする際の注意点とは
現に、より多くの収入を得るためにダブルワークを検討する人が増えています。
ダブルワークをする際は、会社の就業規則やもう一方の仕事への影響など注意すべき点がいくつかありますので、以下にて詳しく見ていきましょう。
- ・扶養内で働く場合は収入や時間を管理する
- ・確定申告の対応を行う
- ・会社の規則を確認する
- ・他の業務に支障が出ないようスケジュール管理する
扶養内で働く場合は収入や時間を管理する
ダブルワークで扶養内で働く場合は、収入や労働時間を意識し、範囲内に収めるようにしなければなりません。また、扶養の範囲内で働くためには、2025年の税制改正や社会保険の適用拡大などを理解しましょう。
確定申告の対応を行う
ダブルワークでは、基本的に年末調整だけでなく確定申告も必要になるケースが少なくありません。自分がどれくらいの収入があるかどうかを把握したうえで、年末調整や確定申告を行い、正しい納税額を申告しましょう。
会社の規則を確認する
正社員やアルバイトなどの雇用形態に関係なく、ダブルワークを検討する前に現在勤めている会社の就業規則を確認しましょう。
就業規則とは、会社が定めた雇用に関する規則を指し、労働基準法第89条により常時10人以上の従業員を雇用している企業には、就業規則の作成と行政官庁への届け出が義務付けられています。
就業規則の雇用条件で、副業・兼業が禁止されていなければダブルワークができますが、トラブルを防ぐためにもダブルワークを始める前に上司へ確認を取る方が賢明です。
参考:第九章 就業規則(作成及び届出の義務)第八十九条労働基準法 | e-Gov法令検索
他の業務に支障が出ないようスケジュール管理する
ダブルワークをする場合、本業に支障が出ないようにしなければなりません。
スケジュールをしっかり管理していないと複数の仕事の時間が重複してしまったり、移動に想定外の時間がかかり、遅刻してしまう可能性もあります。
また、就業日時を間違えてしまう重大なミスにも注意が必要です。従って、スマホのカレンダーやスケジュールアプリを上手に使って、しっかりスケジュール管理をしましょう。
ダブルワークしやすい「内職」は特に注意が必要!
内職で収入を得ている場合、特に注意が必要な場合があります。
アフィリエイト、ネットオークションなどのネット内職で得られる収入のことを「雑所得」といいます。
パートの合計収入が住民税・所得税の課税対象の条件を満たす場合、税金を納める必要があります。それと同様に、雑所得で一定額を超える場合でも住民税・所得税を納めるケースがあることを覚えておきましょう。
雑所得は33万円以上だと住民税、38万円以上だと所得税の課税対象となることが定められています。
雑所得に対する課税は、たとえ他のパートとの合計収入が住民税の課税基準である100万円を下回っていても、支払わなければなりません。ただ、雑所得が33万円未満なら課税対象にならないのですが、盲点になりやすいので注意が必要です。
ダブルワークをするメリット
ダブルワークをこなすことで得られる主なメリットは以下の3点です。
- ・総収入がアップする
- ・経験・スキルが身に付く
- ・新しい人脈開拓ができる
- ・自分の可能性が広がる
ぞれぞれのメリットについて、詳しく解説します。
総収入がアップする
今まで1つの職場からもらっていた給与が2つに増えるため、単純に総収入額がアップします。時間や体力に余裕があり、より収入を増やしたい方にはダブルワークは有効な手段になります。
また、収入源が2つになるため、どちらかの職場で不測の事態が起きても収入源を失わず安定した収入を得る環境を作ることが可能です。
経験・スキルが身に付く
ダブルワークをすると、働いた分だけ収入が増えるのはもちろんのこと、スキルや経験も比例して身に付けられます。
また、ひとつの仕事で行き詰まった際などの気分転換になったり、独立や起業のきっかけになることもあり、キャリアのきっかけを作る可能性も秘めています。
それぞれの仕事で違う経験を積むことで、スキルアップにつながったり、自分の適性に気付いたりできる点もダブルワークの魅力です。
新しい人脈開拓ができる
ダブルワークで全く異なる分野の業種を選択した場合、自分のスキルアップにつながるだけでなく新しい人脈開拓の機会を得ることができます。
たとえ2つの仕事が同じような内容・業務であったとしても、職場環境や細かな違いへの適応力が上がっていくでしょう。また、同じ内容を違う現場でこなしていくからこそ、双方の現場で培った経験をすぐに実践していくことができます。
自分の可能性が広がる
2つの仕事をこなすことで、今まで気づくことのできなかった自分の強みや特徴を認識し、新しい可能性につなげることもできます。収入を増やしたいと思い始めた2つめの仕事がそのまま天職になることもあるでしょう。
また人間関係も、今後長く続く掛け替えのない人と出会うことがあるかもしれません。
ダブルワークをするデメリット
一方ダブルワークをすることで起こり得るデメリットは以下の2つです。
- ・労働時間が増える
- ・スケジュール管理に気をつかう
- ・働きすぎて体調を崩す可能性も
ダブルワークもいいことばかりではありません。デメリットも理解しながらどう進めていくのか検討しましょう。
労働時間が増える
2つの仕事を掛け持つことによって労働時間は長くなります。給与の計算が時給になっている場合、単純に働いた分が収入になるため、労働時間が長くなりがちです。
負担に感じていないうちは問題ありませんが、生活や心身に影響が出ないようにしましょう。
スケジュール管理に気をつかう
2つの仕事をこなしていると、いつ、どちらの職場にいくのかを管理する必要が生まれます。
自身の責任でダブルワークの体制をとっているのであれば、スケジュール管理にも注意を払うことが求められます。いつ・どちらの職場にいくのか、休みはどこで取れるのかを常に意識しておきましょう。
働きすぎて体調を崩す可能性も
ダブルワークによって、無理に働きすぎると、睡眠や休息の時間を十分取れず、体調を崩す可能性もあります。結果、仕事を休まなければならず、収入が減るだけでなく通院や治療で出費が増えてしまうかもしれません。
ダブルワークする際は、自分の体力を考えて無理のない範囲で行うことが大切です。
まとめ|ダブルワークをする上で確定申告や社会保険の対応も理解しておこう
ダブルワークとは、2つの仕事を掛け持つことです。ダブルワークにおいて大切なことは、確定申告や年末調整の対応、税金について理解しておく必要があります。また、配偶者の扶養内で働く場合には、収入や労働時間にも注意しなければなりません。
パートのかけもちは収入がアップするほか、職場が2つあることで一方のストレスが緩和されたり、知見を広めることができて良い刺激にもなるというメリットがあり、副業をする人は年々増えてきています。
税金・保険について、お仕事をスタートする前に確認をしておくことがポイントです。
好奇心旺盛にいろいろなお仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
ダブルワークなら「ご近所ワーク」もおすすめ
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