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【最新版】年金制度改正法とは?概要や改正点をわかりやすく解説
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2020年5月末に年金制度改正法が成立し、6月5日に公布されました。この法律により、厚生年金の加入対象となるパートらの範囲が拡大されます。 この記事では、法改正の目的や改正される4つのポイント、採用市場への影響まで、年金制度改正法についてわかりやすく解説いたします。
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【目次】
年金制度改正法とは
改正の目的
少子高齢化に伴い人手不足や健康寿命が延びている昨今では、中長期的にみると働き盛りの世代の割合が減ることが予測されています。
そこで女性や高齢者の就業を押し進めることで、より多くの人たちが長く働くことができ、結果的に人口減少を補填する動きがとられています。
こうした社会や経済の変化を年金制度に反映し長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るために、年金制度を改正しました。
改正の概要
今回の改正では以下の4つが行われます。(赤文字をクリックすると詳細にジャンプします)
◆1.被用者保険(厚生年金保険法・健康保険法等)の適用範囲が拡大
◆2.在職中の年金受給の在り方の見直し(厚生年金保険法)
◆3.給開始時期の選択肢の拡大(国民年金法、厚生年金保険法)
◆4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し
現在の短時間労働者の加入条件などは
現在の法律に関して、「【社労士監修】短時間労働者とは?雇用・社会保険の加入条件まとめ」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
改正の内容及び4つのポイント
1.被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲が拡大
現在、パートなどの短時間労働者を厚生年金に加入させる義務を負うのは、従業員「501人以上」という大企業のみです。
この基準が変わって、2022年10月からは「101人以上」の企業、2024年10月からは「51人」以上の企業にも、短時間労働者を厚生年金に加入させる義務が生じます。
<画像参照>年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました/厚生労働省
つまり、厚生年金・健康保険被保険者となることで、将来、基礎年金に上乗せする形で報酬比例部分(厚生年金)が終身で受け取れます。
<画像参照>年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました/厚生労働省
2.在職中の年金受給の在り方の見直し(厚生年金保健法)
現在、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。
今回の在職定時改定の導入によって、早期に年金額に反映することで年金を受給しながら働く在職受給権者の経済基盤の充実が図られます。(ただし見直しは毎年です)
また、60歳から64歳までの人たちは、賃金と厚生年金の合計額が月28万円を超えると支給される年金が減らされていました。
2022年4月からは月47万円へと緩和されます。
なお65歳以上の人たちは現在でも基準が月47万円となっており、今回変更はありません。
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3.受給開始時期の選択肢の拡大(国民年金法、厚生年金保健法)
現行制度では、支給開始年齢を65歳としていますが、受給時期を前後5年ずらすことが可能になり、60歳から70歳で選べるようになっています。
繰り上げた場合(年金を早くもらう)は、毎年の年金額は減額され、繰り下げた場合(年金を遅くもらう)は、増額されます。少ない例かもしれませんが、75歳で受給を始めた場合、65歳からの受給開始より年金月額は84%増えます。
<参照>年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました/厚生労働省
<参照>年金改正法案の4つのポイント、シニアの働き方は今後どう変わるのか?/FinTech
4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、自分自身で掛金を積み立て、さらにそれを運用して老後に受け取る年金のことです。
掛金を運用する確定拠出年金には、企業型と個人型があり、企業が掛金を出すものが企業型で、個人が掛金を出すものが個人型です。
今回、今まで確定拠出年金の加入可能年齢が60歳未満だったところ、65歳に加入可能年齢を引き上げ、受給開始時期等の選択肢を拡大します。
またこれまで企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員の多くがiDeCoと併用できませんでしたが、2022年10月から併用可能となります。
なおiDeCoに加入する従業員に対して事業主が掛金を上乗せする中小事業主掛金納付制度 (iDeCo+)、及び制度設計や事務手続きを簡素化した企業型 DC(簡易型 DC)について、企業年金を実施していない従業員数(厚生年金被保険者数)100名以下の企業でも、実施可能となっていますが、この人数要件が「300 名以下」に拡大されます。
iDeCoは、パート主婦/主夫も無関係ではありません。
毎月の掛金全額が所得控除になる、運用中の利益が非課税になる、受け取り時の税負担が軽減されるなどの税金面で優遇措置があります。
<参照>中小事業主掛金納付制度について/iDeCo公式サイト
<参照>iDeCo+ってなに?iDeCoとどう違う?/MoneyCarrerHappily
この改正で採用市場はどうなる?
<画像参照>我が国の人口ピラミッド/総務省
日本の労働人口は周知のように減少しています。一方、この労働人口が減っている状況と実際の採用場面では、ギャップは生じてはいないでしょうか。
採用現場では、「若手を希望しているが応募が来ない」といった声が多く耳にします。
上記のグラフのように若年層の人口は今後常に減少し、団塊ジュニア世代と言われる労働者が多い世代は、50代に差し掛かっていきます。
労働市場が縮小しているなか、人口が多い層=シニア層の求人市場への再流入が見込まれます。
今回の法律の改正で、企業側には社会保険料の負担が生じます。新型コロナウイルスで業績が大打撃を受けた業界では、より負担増になるかもしれません。
ここで考えたいのは、どのような目的で「パート」を募集するか?です。
以前は、「欠員を補充するため」や「簡単な仕事をさせるため」にパートを利用する会社が多くありましたが、最近では「良い人材確保のため」や「女性やシニアを活用する」という目的で採用している会社も多くなってきています。
パート労働者を「貴重な人的資源」と位置付けるならば、厚生年金を適用し、企業が社会保険料を半額負担することは、良い投資となるのです。
最後に
今回の年金制度改正法は、日本の労働人口が減少し続けるなか、女性やシニアなどが今後の日本経済の担い手となることが目的ですが、一方で企業にも優秀な人材を長く雇用することができる、というメリットがあります。
社会保険料を負担期間は増えますが、労働生産を改善するにもぜひ着手していきたいところです。
また、企業が出す求人サイトに「社会保険完備」などと掲載することは、貴社の福利厚生が充実している強力なアピールとなります。
企業は、今後の人材活用戦略を雇用形態を問わず、本格的に見直してみてはいかがでしょうか。
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